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第21話 パーティ編成と検証

「その服も似合ってるわね、うさぎちゃん」


「…あ、ありがとうございます…」


「じゃあ次は…

スケスケネグリジェと、レオタード姿のリアルバニーガールのどっちがいいかしら?」


「!? どっちも嫌ですっ」


「……」


時間を潰し、ついでに着替えて来た僕の耳に、とんでもないやり取りが聞こえてきた


「(何?この修羅場)

あのう、そろそろ時間だと思うのですが」


「ごっ御主人様っ、助けてください」


僕の声を聞きつけ、涙目のシーナちゃんが店の奥から飛び出し、僕の後ろに隠れる


「(チッ)あら、もう時間ですか?

楽しい時間は過ぎるのが早いですね」


「(舌打ちしたよこの人)

頼んでおいた服はどうなりましたか?」


「あ、はい

普段着は3着、下着は5着選んでおきました

あとはよそ行きですが…」


僕は、改めてシーナちゃんを見た

薄緑のワンピース姿で、なかなか似合っている


…首輪でなく、ネックレス等なら完璧だっただろうが


「いいですね、似合ってます

これをいただいていきます

おいくらですか?」


「全部で875Gですが…

850にまけておきます

楽しかったですから」


いい笑顔の店員さんに、僕は料金を手渡す

シーナちゃんは、僕の背中を掴んだままである


「じゃあ、ごはん食べに行こうか

好きなものとか苦手なものはある?」


「え…

あ、あの…野菜が好きです…

苦手なものは特にありません、兎の肉も大丈夫です」


「そうなんだ、意外だなあ

店員さん、野菜がおいしい店を知りませんか?」


「そうですね、西門の近くの『ヌーベルレギューム』がおすすめですよ

野菜たっぷりシチューと若鶏のハーブ焼きがおいしかったです」


「ありがとうございます

シーナちゃんもそこでいい?」


その言葉に、シーナちゃんは、大きく目を見開いたまま頷く



「シーナちゃん、また来てね」


笑顔で手を振る店員さんに、なぜか恐怖に顔をひきつらせながら僕の背中にくっついてくるシーナちゃん


大分打ち解けてくれたようだ





■□■□■□■□




僕たちは、『ヌーベルレギューム』の個室で料理を待っている


奴隷と同じ空間で食事をするのを嫌がる人もいるので、店がサービスしてくれたのだ


当のシーナちゃんは落ち着かない様子だ

奴隷の自分がここにいていいのだろうか

主人と同じものを食べていいのだろうかと考えているのだろう


「さっきの話の続きだけど

僕は奴隷制度は好きじゃない

だけど人間社会で生きている以上は、社会のルールに従わなければならない」


「…はい、わかります」


「僕は冒険者だからね、一緒に行動してくれる仲間を探していた

できれば、相方として冒険者の仕事を手伝って欲しい」


「はい、もちろんです」


「当然戦闘もあると思う

だけど、戦闘奴隷という扱いになるから

奴隷の期限は1年になるよね?」


「…そうなります」


「1年後には、シーナちゃんを奴隷から解放するよ」

シーナちゃんは、信じられないという顔をする


「僕は奴隷制度が好きじゃない

ならばせめて僕のところに来た子だけは、幸せになって欲しいんだ

できれば、解放後も手伝ってくれると嬉しいけど」


と、ちょうどそこに注文した料理を、2人のウェイトレスさんが持って来てくれた


「お待たせしましたー」


「おっ、来たか

ありがとうございます

じゃ、早速食べようか」


頼んだ料理は、服屋の店員さんおすすめの野菜のシチューと鶏のハーブ焼きを2皿ずつ、それと少し多めのパンだ


シチューは、タマネギ、ニンジン、ジャガイモの他、ブロッコリーやグリーンピースなどまで入っていて、それをミルク入りのスープで煮込んである


一瞬クリームシチューかと思ったが、ホワイトソースではなく、とろみが少ない


食べてみると少し薄味に感じたが、バターを塗ったパンや、塩味の効いた鶏と一緒に食べるとちょうどいい


「確かにおいしい料理だね、おすすめだけある…

シーナちゃん、食べないの? 猫舌だった?」


「私、奴隷ですので…」


奴隷が主人と一緒に食事などできないということらしい


「いや、一緒に食べる方がおいしいでしょ?

冷めないうちに食べようよ」


「そういうわけには…」


強情な彼女に、僕は禁断の最終手段を取る


「じゃあ、僕の奴隷のシーナちゃんに命令をします

『一緒に食べてね』」


その言葉に根負けしたのか、ようやくシーナちゃんは食べてくれた


「…おいしいです

こんな料理初めて食べました

…ご主人様にはこんなにいい服も、着せていただきました

奴隷になる前よりいい暮らしをしているみたいで…」


「そう? それならよかった

じゃあ、これからよろしくね、シーナちゃん」


「はい、ご主人様」


「…あれ?」


僕の頭の中で、再び例の効果音が鳴り響いた





■□■□■□■□




食事を終え、お茶とデザートの季節のフルーツ盛り合わせを楽しみながら

色々考える


まずやるべきことは、冒険者になることを承諾してくれたシーナちゃんの強化である


父親が使っていた弓矢を彼女も使いたいと言うので、まずアワインに飛んで装備を整える

まあ、その前に冒険者登録の必要があるだろう


『スキルポイント』というシステムがある以上、効率的な稼ぎ方があるはずなので、かつて検証した結果


ランクFの依頼の基本値が1ポイント、Eで2、Dで3、おそらくC〜Aが4〜6となるのだろう


そして依頼達成の評価が、A評価だと基本値の2倍、B評価だと基本値+1〜2、Cだとそのままのようだ

DとEはとったことがないのでわからないが、これはソロのときのポイントであり、パーティの際はどうなるかわからない

検証は必要だろう


いずれにせよシーナちゃんの登録は最優先だろう

パワーレベリングをするにしても、ポイントゲットもついでにできれば効率がいいからだ


その後、装備と家を買うためにティアさんのアドバイス通り、ストラスを目指す


ストラスには迷宮もあるため、レベルアップと一攫千金のチャンスもある

たとえ危険なことになっても、僕には『ワープ』があるので、万一はないだろう


方針が決まり、僕たちはレストランを出て、冒険者ギルドに向かって行く

ようやくパーティプレイの始まりである


ちなみに、先ほど修得可能になったスキルは

『パーティナイズ』という、かなり便利なスキルだった

次回タイトル予告

再開そしてストラスへ



用語解説

パーティナイズ


パーティメンバーを、1つの生き物のように連携させることができる上級スキルで、完全修得には200ポイント必要


修得条件は

『①パーティ全体に効果があるスキルを複数修得する

②自身がパーティリーダーとなり、仲間にした者が4人を超える』

である(①について、明の場合はワープとサークルヒール)



内容は

L1EXP共有(経験値がパーティ全員に同じだけ入る)

位置把握(パーティメンバーの現在位置を知ることができる)


L2パーティコントロール


L3スキルコピー1


L4テレトーク(パーティメンバー同士が、テレパシーで会話できる)


L5コンビネーション(リーダーとメンバーの連携行動を可能にする。魔法の合成も可能)


L6スキルコピー2


L7スキルパサー1(リーダーの修得しているパッシブスキルをメンバーにも付与する。その数はリーダーのレベルによって増えていく)


L8パーティコンビネーション(コンビネーションの相手をメンバー同士でも可能にする)


L9スキルコピー3


L10スキルパサー2(メンバーの修得しているスキルを、パーティ全体に付与する。その数は、本人のレベルによって増えていく)



パーティコントロールとは、メンバーのスキルポイントをリーダーが自由に割り振れるスキル



スキルコピーとは、リーダーがマスターしているスキルが、メンバーにも修得可能になるスキル


当然ポイント消費は必要で、固有スキルは修得できない


また被対象者のレベルがそれぞれ10、20、40にならないと修得できず、マスターする必要があるので、マスターできない自動修得スキルやユニークスキルも修得できない

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