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第18話 中級職と方針

はぁ? 一体何を言い出すんでしょうか、このお姫様は


「いきなり何を言っているんですか、僕が騎士ですって?

冗談にも程がありますよ」


確かに子供のころは騎士や英雄に憧れていたが、さすがに今は現実が見えている


「駄目でしょうか?」


「僕は平民ですよ

しかも礼儀も常識もろくに知らない田舎者です

騎士なんて務まるはずがないですよ」


「そんなことはありません

平民出身の騎士も何人もいますし

礼儀や常識もすぐに身につきます

騎士に重要なのは実力と武功です

アキラさんはあんなに恐ろしいブレードベアをたった1人で倒し、私を救ってくれました

これは本当に凄いことなのですよ」


「…あれ?」


いきなり僕の頭の中に、レベルアップ時の音が鳴ったのだ


「どうしましたか?」


「い、いえ別に…」

(戦闘なんてしてないのに何で?)


とりあえず後で検証することにしてアリーシャさんとの話を続ける



「…それに、お義母さまが私達を暗殺しようとしたかもしれないのです

……不安で…ですから…」

(そうか、そうなんだ)


急に泣きそうな表情になるアリーシャさん

家族に裏切られたと思い、不安と恐怖を感じているのだろう


「わかりました、僕でよければ騎士になりますよ」


「本当ですかっ

ありがとうございます」


「はい、ただし僕はまだまだ若輩者で未熟です

先日も試合で負けましたし

ブレードベア戦でも油断から武器を手放しました

こんな僕では騎士は務まらないでしょう

ですから僕は、しばらくは冒険者として修行を続けます

騎士として仕えるのはその後でお願いします」


「そうなのですか?

それならば仕方ありませんね

ですが、いつかは私の騎士になってくださるんですよね?」


「はい、お約束します」


アリーシャさん本人は気づいていないようだが、第1王子と第2王女の暗殺未遂はとんでもない大事件であり

おそらく徹底的に調べられて首謀者は一族ごと死刑になり、2人の安全は確保されるだろう


つまり、不安に感じる必要はないのだが、おそらくもう会うことはない人を、安心させる嘘は悪いことではないはずだ


「私の騎士…

私の初めての騎士…」


……笑顔のアリーシャさんを騙しているのには罪悪感を覚えるが


「あ、それでは略式ではありますが、騎士任命を行いますね」


「任命ですか?」


アリーシャさんからやり方を聞いて、早速始めようとしたのだが


「じゃあ剣を…って

武器は預けているんでした」


「そうでしたね、ですが大丈夫ですよ

略式ですから」


「はい、それでは」


僕はアリーシャさんの前で片膝をつき、何も持っていない両手で剣を持っているようにして、アリーシャさんに手渡す

アリーシャさんは受けとる演技をし、僕の首に添えてから僕に返す


「汝アキラは、私アリシ…アリーシャの騎士となりますか?」


「はい、我が剣はアリーシャ様に

我が力は弱き者の為に

我が魂は正義の為にあり

我が忠誠はアリーシャ様にあります」


「では、汝アキラを我が騎士に任命します」


「つつしんでお受け致します」


これで僕は彼女の騎士となった

再会すれば仕えることになる

…再会すればの話だが


一介の冒険者とお姫様が会うことなど、滅多にないだろうし

公式の場では誰かが止めるだろう


「…しばらくお別れですね」


「再びお会いする時まで修行を続け、アリーシャ様の騎士として恥ずかしくないように致します」


「次に会う時のアキラさんは、勇者かもしれませんね」


「さすがにないと思いますよ」


「アキラさんなら、必ずなれますよ」


「必ず、ですか?

さっきはきっとだったのに?」


「はい、必ずなれます

なぜなら…」


アリーシャさんは、これまでで一番の笑顔になると


「アキラさんは私の騎士ですから」


「なっ…」


思わぬ不意討ちに僕の顔が紅潮する


「うふふっ、さっきのお返しです」


…やられた

さっきの教会前での会話を根に持たれていたらしい


「…では、僕はそろそろ行きます

アリーシャ様もお元気で」

「はい、またお会いしましょう」


そして僕はストライヴァ邸を後にした




■□■□■□■□




「何なんですか!?

この金額はぁ!!」


「ちょっとアキラ君

声が大きいわよ」


「あ、すみません

ですがこれって…」


ストライヴァ邸を出て冒険者ギルドにやって来た僕は、2枚の依頼達成書をティアさんに渡し、依頼料を振り込んで貰ったのだが、問題はその金額で


『新規入金額

200300G』


と、カードに表示されたのだ

日本円にして2003万円である(300Gは薬草採取代)


王族の命を救ったのだから、20万Gは妥当かもしれないが、一般市民が一仕事で稼ぐ額ではない


「アキラ君が助けた人は

よっぽど凄い人だったみたいね」


「それでも貰い過ぎだと思いますが」

(つーか、王子様だって本当に隠すつもりがあるのかな?ルークさんは)


「仕方ないのよ

依頼料には相場があるんだけど

今回みたいな緊急で事後承諾の依頼の場合は、最低金額を超える依頼料を依頼主が決めるようになっていて

相場より遥かに高くても私達に却下する権利はないのよ

普通は高くても2倍くらいなんだけど」


「…ですが一体どうしましょう?

正直混乱してますが」


「まあ、冒険者の大金の使い道は4つしかないんじゃない?」


「4つですか?」


「1つは、冒険者を引退して別の仕事を始めること

それだけあれば、お店だって開けるわよ」


「……却下でお願いします」


僕が商人なんてできる気がしない

食堂くらいならできるかもしれないが

料理は得意だし


ちなみに2つは、装備を充実させること

そして家を買うことだそうだ


冒険者が家というのは意外な感じもするが、帰る場所寛げる場所があるというのは、生存率に大きく影響するらしい


ただし、どちらの場合も、イーヴァより王都やストラスの方がいいそうだ

装備品も依頼料も段違いらしい


「なるほど、よくわかりました

1度は王都やストラスに行くつもりでしたので、渡りに舟かもしれませんね」


1度行ってマーカーポイントを設置しておけば、何度でも往き来できるようになる


「最後の1つはパーティを組むことね」


「パーティですか?」


「そうよ、ちなみに冒険者がパーティを組む場合

一番揉めることは何かわかる?」


「考え方の違い…でしょうか?」


「まさか、冒険者ならそんなものは割り切るわよ


答えは、報酬の分け方よ」


なるほど、言われてみれば確かにそうだ


活躍の度合いもあるし

もしマジックアイテムを手に入れたりすれば、とんでもない事態になることは想像に難くない


「一番いいのは奴隷を手に入れることね

分け方で揉めることは絶対にないわ」


「奴隷…ですか」


「イーヴァにもよく奴隷商人が来るわよ

1度見ておいたら?」


「わかりました、考えておきます」


そう言って、僕はギルドの椅子に座り、これからの方針を考えることにした

20万Gもあるのだから、3つ全て買えるかもしれない


ちなみにさっきのレベルアップの音について調べてみると


『戦士レベルが6を超えました

剣、槍、盾のレベルの合計が8を超えました

王族からの叙勲を受け、任命されました


以上により、騎士の条件を満たしました

以後、騎士にクラスチェンジできます』


だそうだ


叙勲と言っても勲章を貰う必要はなく、手柄を認められればそれでいいらしい


早速メインクラスを騎士に変え、ブレードベアの素材回収のために、僕はイーヴァの外に出る


まだ見ぬ装備、家、仲間に思いを馳せながら

次回タイトル予告

奴隷商人の馬車


用語解説

奴隷


地球では違法だが、ユピトアースでは合法の

人権を持たない人や亜人


専ら犯罪者や借金を返せない者、親が奴隷の者がなる


奴隷には魔法的な処理がなされ、主人の命令に服従し、主人に危害を加えられない


奴隷には人権はないが、主人には最低限の衣食住を保証する義務がある


奴隷は主人宅以外では首輪の着用を義務付けられているが、それ以外の義務はなく、奴隷解放のシステムもあるので、意外と待遇が良いかもしれない


奴隷は魔法的な処理をされているので、年に1度は奴隷商人のもとを訪れて

隷属魔法をかけ直す必要がある


この時、両者が合意すれば奴隷から解放する魔法もかけて貰える

これが奴隷解放のシステムである


ただし、法律で奴隷の期間が決められていて

戦闘奴隷は1年

重労働奴隷は2年

ただの奴隷は4年間は

最低でも奴隷でなければならない



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