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第12話 再会と試合

僕は今、イーヴァの町の壁の外、中に入ろうとする人達の列に並んでいる


アワインを旅立ち、徒歩で3日ほど移動してようやくたどり着いた


ただし、野宿をしたわけではなく、途中に素泊まりできる施設がいくつかあったため、食料さえ持っていれば意外と快適な旅だったのだが


イーヴァはアワインと比べてかなり大きい町で、周りを囲む外壁も高く分厚い


これはこの辺りにはブレードベアやブラックウルフなどの危険な生物はもちろん、山賊までいるかららしい

ここイーヴァはストライヴァ家の直轄地の一つなので人が多く集まり、その分大金も動くのだ



「よし、次…

見ない顔だが冒険者か?」


「はい、アワインから来ました

運搬の依頼を受けています」


僕は身分証にもなるギルドカードを門番に提示する

彼は確認するとすぐに返してくれた


「よし、入っていいぞ

冒険者ギルドは大通りにある

看板が出ているからすぐにわかるはずだ」


「ありがとうございます」



イーヴァの大通りを歩いてみると、やはりアワインとは全然違う

なにしろ、『まっすぐ歩けない』のだ

大通りなのでそこそこの広さがあるのに、人が多くて直進できない


面白いのは亜人をよく見ることだ

アワインにもドワーフはいたが、イーヴァには猫耳や兎耳の獣人たちも多いようで、数人とすれ違った


さすがにエルフや小人ショーティはいなかったが


「と、ここか」


僕は冒険者ギルドの看板を見つけ、扉をくぐって中に入った




■□■□■□■□




「あら、いらっしゃい

初めての人ね、登録かしら」


「えっ!?ティナさん?

なんでここに?」


冒険者ギルドに入った僕を迎えたのは見知った顔だった


「あら、妹を知っているの?

ああ、君が噂のアキラ君ね

冒険者ギルドイーヴァ支部へようこそ」


「ティナさんのお姉さんでしたか

そっくりで驚きました」


彼女はティナさんの姉のティアさんというそうだ


顔は区別できないほど似ているが、ティアさんの方が少し背が高く、さらにショートヘアのティナさんと違い、長めの髪を後ろでポニーテールにまとめている


椅子に座っていてかつ正面からでは全く区別できないが


「おぅ、来たかアキラ

早かったな」


今度はギルドマスターのドレイクさんが奥から出てきた


アワインで僕を見送ったはずのドレイクさんが

先にイーヴァにいるのにはやはり違和感がある


まあ、マーカーポイントをアワインとイーヴァの近くにそれぞれ設置したので、僕も『ワープ』で同じようなことが可能だが



ちなみにドレイクさんはアイテムボックス持ちだそうだ


大剣を虚空から取り出しながら斬撃を繰り出すという必殺技で、Aランクまで登り詰めたらしい


また、アイテムボックスとテレポートを併用して物資運搬も行っていたそうだ


だからこそ2つの町のギルドマスターを兼任するという、文字通りの離れ業が可能なのだろう


余談だが、運搬任務中にたまたまティナさんがドレイクさんの部屋に入り、丁度転移してきたドレイクさんをおもいっきり見てしまい、それ以来顔を合わせる機会が少ないアワイン支部に転勤したらしい(他の支部には空きがなかった)


道理でセクハラスキルとか言っていたわけだ



閑話休題


「そういえば指名依頼を受けていたな

ストライヴァ家の別邸は大通りの突き当たりだ

教会の横のでかい建物だからすぐにわかる」


「指名依頼を受けていたの?

それもストライヴァ家から」


「まあ色々ありまして

詳しくは達成の後でいいですよね?」


「もちろんよ、じゃあ待っているわね」


そして僕は再び大通りに出て、ストライヴァ家別邸に向かった




■□■□■□■□




「誰だ?ストライヴァ家に何か…

と、アキラだったな」


「えっ?」

(『鑑定』発動)


「…ああテムスさんでしたね、お久しぶりです」


おもいっきり忘れていたが、ヒースクリフさんと一緒にいたアイテムボックス持ちの人だった

『鑑定』を使用すれば名前はわかる


「指名依頼を受けて来ました

ジェイス様は御在宅でしょうか?」


「指名依頼を?

カードと依頼書を見せてくれるか?」


「はい、『カード』

どうぞ」


「うむ

……確かに、少し待っていてくれ」


テムスさんはカードを返すと、そのまま屋敷の中に消えて行った


そして2〜3分ほどすると再びテムスさんがメイドさんと共に現れた


「お会いになるそうだ

このメイドについて行け

あと、武器はそこに置いて行けよ」


要人の前に出るのだから当然だろうが


「…僕はアイテムボックス持ちなのですが」


「なにっ!?

あれからもう覚えたのか?


…まあいいだろう

ジェイス様に危害を加えるつもりなら、わざわざ言わないだろうからな

だが一応俺が共に行こう」

「はい、お願いします」


実はテムスさんに会う前から覚えていたのだが、敢えて言う必要もないだろう


そしてメイドさんを先頭に、テムスさんを後ろに応接間に向かった



「ジェイス様、お客様をお連れしました」


「入っていいぞ」


「お久しぶりです、ジェイス様

再びお会いできて光栄です」


応接間に入ると、そこにはジェイス様と神官の女性がいた


「久しぶりだなアキラ

ん?なぜテムスもいる?」


「僕がアイテムボックス持ちだからです

依頼品を出す際にどうしてもアイテムボックスを開く必要がありますから」


「ほう、その年でアイテムボックス持ちだとは

やはり私が見込んだ通り、素晴らしい才能を持っているようだな」


「ええ、本当に凄いですね

ああ、申し遅れました

イーヴァの教会で侍祭アコライトを勤めております、エルミアと申します」


「明です」

(アコライトって確か司祭の補助をする役目の人だったかな)


「よし、アキラ

依頼品を隣のキッチンに置いた後、鍛練場に来てくれ」


「わかりました

…鍛練場ですか?」


「ああ、こんなに早くDランクになったんだ

私に腕を見せてくれ

ふふ、腕が鳴るな」


「えっ?

まさかジェイス様と試合ですかっ!?」


ジェイス様は20レベルを超える騎士だったはず


……正直逃げたい

次回タイトル予告

騎士の実力


用語解説

ショーティ


ユピトアースにいる亜人の一種で小人ショーティの名の通り、大人でも130センチ未満の種族


他作品では、ホビット、ハーフリング、ケンダー、グラスランナー、フィルボルに該当する


一見すると人族の子供に見えるが、体格のわりに足が大きく、足の裏に毛が生えているので靴を履かないため区別が可能


酒と煙草をこよなく愛し、のんびりと1日を過ごすのが好きだが、いざとなると真面目に行動する


魔法は苦手でリーチが短いので戦士も合わないが、手先がドワーフ並みに器用で、さらに足音を立てずに歩けるため、盗賊や弓使いに向いている






上の名前全てわかる人がいれば凄いです


正解しても何も出ませんが(笑)

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