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第7話 初戦闘と昇格試験

出てきたミスリルの腕輪に、感嘆の声が周りから聞こえる

希少な金属らしいので当然だろう


「ミスリル製の腕輪…

しかも見たところマジックアイテムのようですね

さすがに効果まではわかりませんが」


ヒースクリフさんの言葉に

僕は『鑑定』を使用してみる


『ミスリルの腕輪

レアリティ スーパーレア

防御5

スロット ①フィット

②HP回復2(1分間に最大値の2%回復する)

③MP回復1(1分間に最大値の1%回復する)

限界値 3 』

と出た


相変わらず限界値はわからないが、スロットはつけられる、或いはついている特殊効果の数を表すのだろう


「体力と魔力回復の効果、あとフィットが…」

「わかるのですか!?」


ヒースクリフさんの驚きの声に、僕は慌ててごまかす


「あ、確か昔聞いた覚えがあって…」


「なるほど、お祖父様の言葉からここを掘ってみたのでしたね

では早速着けてみてください」


僕は言われた通り左腕に着けてみる

するとブカブカだった腕輪が縮み、丁度いい大きさに変わった

これがフィットの効果だろう


「素晴らしい、本当にマジックアイテムですね

しかも回復効果まであるとは…

レアどころかスーパーレアの価値がありそうです」


「スーパーレア?」


「レアを超えるレアアイテムのことですよ

さすがにアーティファクトやオーパーツほどではないでしょうが」


ヒースクリフさんによると、アイテムの価値は

コモン(一般)<アンコモン(高品質)<レア(希少)<スーパーレア(超希少)<アーティファクト(伝説クラス)<オーパーツ(伝説超え)<ミソロジー(神具)とあるそうだ


ちなみにレア以上からマジックアイテムになるそうで、アーティファクト以上は国宝クラスらしい


「ヒースクリフさん、『これ』はどうしましょう?」


「アキラ君が持っていてください

ジェイス様がお買いになったのものは食料品でした

それに農具や民芸品もおまけで付いてきたのですから十分ですよ

第一そんなレアアイテムを購入できるほどのお金は払っていません

最低でも5万Gは下らないでしょうから」


「5万………」


思ってもみない金額に僕は絶句した

たかがお墓を作って埋葬しただけで、日本円で500万円とは


「では、そろそろ出発しましょう、今からなら昼前にはアワインに着けるでしょう」




■□■□■□■□



「はい、指名依頼達成ですね」


アワインに帰ってきた僕たちは、冒険者ギルドに依頼達成の報告をした


ティナさんは僕のカードをチェックして、さらに入金までしてくれた


「それでは私たちは出発することにします

アキラ君もお元気で」


ヒースクリフさんたちは昼食も食べずに出発するそうだ

馬車で移動しながら携帯食で済ませるらしい

いくら訓練を兼ねているとはいえ、相変わらず忙しい人だ


「お世話になりました

ジェイス様にもよろしくお伝えください」


そう言うと、ヒースクリフさんは去って行き、代わりにティナさんが話しかけてきた


「これで2つ達成ね

あと1つで試験が受けられるけど、内容は知ってる?」


「確か獣の討伐、ですよね?」


「あら、知ってたのね」


トライエッジの皆さんに聞いた覚えがある

チャージボアかホーンラビット、トライデントディアーが多いらしい


「アキラ君はソロよね?

ならばそろそろレベル上げを始めたほうがいいわよ

この辺りには強い獣はいないけど、万一はあるからね」


「そう言われましても

僕はFランクですから」


Fランクには討伐依頼は無い

ティナさんが一番よく知っているはずなのだが


「実は裏技があるのよ」


そう言うと、ティナさんは常時依頼と書かれたボードを指差した


「常時依頼にランク制限はないの

採取依頼などを受けておいて、出会ったホーンラビットあたりを狩るのは問題無いわ」


「そうなんですか?」


「試験でトライデントディアーが当たったら嫌でしょ?」


「そうですね、では…」


「山人参採取がいいんじゃない?

ホーンラビットがよく出るそうだし

たまにチャージボアも出るそうよ」


「わかりました、山人参採取を受けますね」


ティナさんにカードを渡し、手続きをしてもらってから

僕は再び町の外に出て行った




■□■□■□■□




「うわぁ、本当に出たよ」

山人参を取りに来た僕の前に50〜60センチくらいの猪が、人参を鼻で掘りながら食べていた


「運がいいんだか悪いんだか」


僕は鋼の剣を抜きながら戦いに備える


僕の気配に気付いたのか、猪が食事を中断して僕の方を向いた


「思ったよりは強そうだ……

うわっと」


突然猪が弾丸のように飛びかかってきた

距離があったおかげでなんとかかわせたが、思った以上に速い


突撃チャージボアか、なるほどね」


ならば、剣の切っ先を猪の眉間に向ける

これなら突撃はできないだろう


「さあ、どう来る?猪君?」


猪はサイドステップをしながら僕に向かって来た

ジグザグに動いているが、明らかにさっきより遅い


「甘い!」


遅い突撃を軽くかわし、『カウンター』を発動させる

戦士スキルのバトルマスタリー、剣技スキルの攻撃上昇、命中上昇も同時に発動し、鋼の剣が猪の首を正確にとらえて鮮血が飛び散り一撃で絶命した


「よしっ」


猪が倒れると同時に頭の中に機械的な声が響いた


(レベルが上がりました、レベルが上がりました、レベルが上がりました)


タレントスキル完全修得のおかげか、一気にレベルが4になった


なんとなくだが、強くなった実感がある


「これで試験が受けられるな」


僕はロープでチャージボアを吊り下げて、血抜きをしながらそんなことを考えていた

次回タイトル予告 試験とトラブル



用語解説

トライデントディアー


トライデント(三ツ又の槍)の名の通り、左右の角が三ツ又に分かれた鹿で

スターハ村、アワインの町の辺りで最強クラスの獣

(はぐれブレードベアを除く)


角が尖っているだけでなく、刃のように鋭いため、頭を左右に振るだけでも恐ろしい攻撃になる


普通の鹿と違い、冬になっても角が生え代わることはない


ちなみに肉は最高に美味い

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