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第09話:ワイバーン、ピザの耳でカルチャーショック!

【ウラヌス内部・ガミのログハウス庭】



(ガタガタガタ……キキーッ!)ミサキが泥だらけの軽トラで到着。不機嫌そうにドアを閉めるーーバタン!



GAMI:あ、ミサキさん! あれ? 今日はポチに乗ってこないんすか?



ミサキ:……あいつ、私の呼び出し()()()したわね。



GAMI:へ? ……あ、すみません。あのー、ミサキさん。その「呼び出し」って、ちなみにどうやってるんすか?電波とか5Gとかとは違うんすよね?



ミサキ:……企業秘密。



GAMI:うわ、教えてくんないんだ……。



ミサキ:とにかく、入り口まで迎えに来させようと合図送ったのに、全然来ないのよ。おかげでこの悪路、軽トラで走る羽目になったじゃない。腰痛いわ。



GAMI:あー……それは災難でしたね。



ミサキ:で? どこいんのよ、あの駄犬。



(GAMIが指差した先、ログハウスのリビングに、ポチが、昨日設置した『人をダメにするソファ』に背中から埋まり、白目を剥いて爆睡している)



ポチ:……クゥ〜ン……ムニャ。(幸せそうな寝言)



ミサキ:……なるほどね。文明の利器に骨抜きにされたわけだ。



GAMI:昨日から一歩も動いてないっす。トイレすら行ってないかも。



ミサキ:あとで減給ね。ジャーキー抜き。(気を取り直して荷台からバッグを下ろす)



ミサキ:はい、ドミノピザ。Lサイズ、チーズ増量、クワトロ・ジャイアント。



GAMI:キタァァァァァ!! 待ってましたァァァ!



ミサキ:揺らさないように運転すんの、マジで疲れたんだから。特別配送量、上乗せしとくわよ。



GAMI:全然OKっす! 見てくださいよこの釜!



ミサキ:無駄に本格的ね。【土魔法】で焼いたの?



GAMI:そうなんす! でも肝心の「小麦粉」と「チーズ」がドロップしなくて! ハードだけあってソフトがない状態っす!



ミサキ:で、わざわざ現実からデリバリーさせたわけね。



GAMI:……はい。(箱を開ける)うおお……美味そう…… でも、さすがにちょっと冷めてますね。



ミサキ:当たり前でしょ。海ほたる越えてきてるんだから。



GAMI:大丈夫っす!この釜で焼き直せば…… あ、薪がない。



ミサキ:はぁ? 段取り悪いわね。ポチ、ちょっと森で薪拾って……



ポチ:(ソファからピクリとも動かない)……Zzz。



ミサキ:……あいつ、マジでクビにしようかしら。



——と、その時だった!



GAMI:うわぁぁぁ! ワイバーンだ! 空の災厄だぁぁ! ピザが奪われるぅぅ!



——ワイバーン。前脚の代わりに強靭な翼を持つ、空を統べる凶暴な飛竜。猛毒を宿す尾と鋭い鉤爪で獲物を屠る、空から降る理不尽な暴力の化身である。その巨大な影が落ちた地に、生きとし生けるものが再び安息を創ることは決して許されない。



ミサキ:……うるさいわね。ポチ! 敵襲! 働きなさい!



ポチ:(耳だけピクッと動くが、目を開けない。面倒くさそうに寝返りを打つ)



GAMI:ダメだぁぁ! 野生失ってるぅぅ! ミサキさん逃げて! ブレス来ます!



(ワイバーンが口を大きく開け、火球を吐き出そうとする)



ミサキ:……ちょうどいいじゃない。



GAMI:え?



ミサキ:おいトカゲ!(ピザ釜の蓋を開け)ここ! ここに吐きなさい!



ワイバーン:!?(突然の指図に困惑しつつ、勢いでブレス発射)ボォォォォォ!!



ミサキ:回避!(サッと横に避ける)



GAMI:ええええええ!?



(業火がピザ釜の中に直撃。釜の温度が一瞬で500度に達する)



ミサキ:今よ! ピザ投入!



GAMI:はいぃぃぃ!?(条件反射でピザを釜に滑り込ませる)



(ジューーーッ! 香ばしいチーズの香りが爆発的に広がる)



ミサキ:よし、焼き上がり。



ワイバーン:ギャ?(俺のブレスが……?)



ミサキ:ありがとね、電子レンジ代わりになってくれて。これ、耳の部分あげるから帰りなさい。



ワイバーン:(放られたピザの耳をパクッ)……ギャウ!(美味い!)パタパタパタ……(嬉しそうに帰っていく)



【GAMIチャンネル コメント欄】

:は?

:ワイバーンが電子レンジ扱い

:ピザの耳で買収されたw

:この配達員、猛獣使いのスキル持ち?

:いやただの餌付けだろ

:手際が良すぎる

:ポチ(Sランク)はニート化してるのに

(視聴者数:16,331人↗︎)



GAMI:……ミサキさん、マジですげぇっす。一生ついていきます。



ミサキ:さ、熱いうちに食べるわよ。……あ、飲み物は?



GAMI:あります! こっちも頼んでたやつ!



(クーラーボックスから取り出されたのは、銀色のロング缶。『ストロングゼロ(ダブルレモン)ALC9%』)



ミサキ:……出た。通称「福祉」。合法の麻薬。



GAMI:ダンジョンの果実酒じゃ度数が足りないんすよ! やっぱこの、脳髄にガツンと来るケミカルな味が……プシュッ! うめぇぇぇぇ!



——と、その時だった!



「ブモォ……」「ブヒィ……」



ミサキ:……何あの集団。



GAMI:あ。



オークA:ブヒヒ!(その酒、美味そう!)



GAMI:やべぇ! オークの群れだ! 略奪される!



——オーク。飽くなき食欲と闘争本能だけで動く、暴食の徒。ただでさえ強靭な魔物が、今や視界を埋め尽くすほどの軍勢と化している。泥と血の嫌悪感を催す悪臭を撒き散らしながら、濁った咆哮とともに押し寄せるその様は、まさに歩く絶望であった。



ミサキ:……あんた、また余計な客を。



オークB:(金貨を差し出す)ブモ。(これで売ってくれ)



ミサキ:あら。



GAMI:え? 金払うの?



ミサキ:話が早いわね。いいわよ、一本につき金貨一枚。



GAMI:ボッタクリすぎでしょ!? 定価の百倍、いや千倍、いやそんなもんじゃないっすよ!? 



ミサキ:ここはダンジョン価格よ。嫌なら帰んな。



オークたち:ブモォォォ!!(買う買う!)



(数十分後。庭ではオークたちとGAMI、そして匂いにつられて起きてきたポチが入り乱れての大宴会が開催されていた)



GAMI:いぇーい! オークさん飲みっぷりいいっすねー!



オーク:ブヒヒ! (ストゼロを一気飲みして顔を赤くする)



ミサキ:(離れた場所で、山積みの金貨を数えながら)……チョロい。



GAMI:ミサキさんも飲みましょうよ!



ミサキ:私は運転があるからノンアルよ。……ていうか、あんたたち。



GAMI:はい?



ミサキ:これ、酒税法とかどうなってんのかしらね。



GAMI:……異世界なんで、時効っす!



ミサキ:都合のいいこと。



【コメント欄】

:は?

異種族交流会ストゼロ

:オークと飲み会www

:平和すぎる

:ミサキさんボロ儲けで草

:金貨一枚って10万くらいじゃね?

:錬金術より稼いでる

:このチャンネル何なんだよw

(視聴者数:17,001人↗︎)



(第9話 完/第10話へ続く)

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