表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「番探しの王子と転生おばあちゃん~王子様、私は黒髪黒目じゃありません~」  作者: 栗原林檎
第1章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/38

8

フルールは王家の夕食会場に向かう途中で、小さな嘘を整えた。


(異世界あるあるの流れが早すぎてついていけないわ!なんとか、なんとかこの流れを止めないと!

転生したばかりなのに不敬罪で死刑なんて嫌よ~!)


(えぇっと、物心ついた頃には両親がいなかったことにして…、旅人として生きてきたこと、はるか東から来たこと、魔物を食べて生き延びてきた……って感じでいいかしら?)


長テーブルには王、王妃、ギディオン、双子――レオンとリリア、そして自分。

メイドと給仕が入口で硬直して、目を見張っている。

フルールは深く息を吸い、顔を赤らめながら頭を下げる。


(カーテシーって言うのかしら!?わ、わからないわよ!?お辞儀でいいかしら!?)


「いいのよ楽にしてちょうだい。お名前を

教えてくださる?」


王妃が優しく問いかける。


「は、はいフルールと申します。

はちじゅ..じゃなくて15歳です!」

「物心ついた頃には両親は亡くなっておりまして、旅人として、さまざまな地を巡りながら魔物を食べて生き延びてきました」

「あ、はるか東の地から参りました!」


焦るあまり早口で聞かれていないことまで

喋ってしまう。


その言葉に、周囲がざわつく。

王はメイドや給仕を全員下がらせ人払いをした。


ギディオンが静かに、少し疑い混じりに尋ねる。


「あの魚はどうやって仕留めたのだ?」


フルールは少し肩をすくめ、控えめに答えた。


「えぇ……言わなきゃだめですか……」


ギディオンの眉がぴくりと動く。


(あ、目の前の人って王子様?だったわよね!?不敬罪になっちゃうかしら!?)


王妃は微笑みながら付け加える。

「すべての人は一人一つの魔法を使えるはずですが、そなたはどうなのですか?」


(え!?そうなの!?

ちょ、ちょっと暴露するだけなら大丈夫…よね?)


「…魔法は全く使えないのですが...召喚獣を少しだけ……結界と氷ぐらいなら出せます」


「召喚獣...だと?しかも2つ?」


「はい(本当は2つどころじゃないんだけど)」


「出してみろ」


フルールは深く息を吐き、少ししり込みしながらも小さく頷いた。


「……分かりました」


小声で呟き、呪文を叫ぶのは恥ずかしいので

手を組み小声で唱える。


「舞い降りろ、七色の守護翼……クリエ」


淡い虹色に輝く小鳥が、ひらりと現れた。


「氷晶の静謐なる守護蛇、フロストリーネ」


透き通る氷の蛇が宙に滑るように現れ、静かに巻きつく。


その瞬間、リリアが目を輝かせた。


「か、可愛い!」


いつもクールなお姫様から感嘆の声が上がる。

小さな手を胸の前で握りしめ、喜びを隠せない。


「すっげぇ綺麗!」


レオンは目を輝かせて声を上げる。


王は微笑み、何かを察したように頷き

ゆっくりと口を開く。


「お前が保護をしたというから、

どんな人物かと思えば……これは素晴らしいな」


「私も、実際に目にしたのはこれが初めてです」


ギディオンも目の前にいる召喚獣に驚きを隠せない。


「ちなみに、これらは回復もできたりするのか」


ギクッ


「で、できません。こうして結界を張ったり

凍らせたりすることのみですね」


言いながら召喚獣に小さな技を出してもらう。

蝋燭の炎が消えるようにフッと目の前から召喚獣達が消えると、ギディオンの表情が曇った。




王は静かに続ける。


「わが国の現状をそなたに説明しよう。最近、魔物の数が増え、各地の畑や森林が荒らされている。人々の生活も脅かされている状況だ」


フルールは深く頷きながら、心の中で思う。


(なるほど……あの大きな魔物のことね。確かに、あんなのに出くわしたら一般市民は手も足も出せないわ。)


王はさらに話を続ける。


「ここルミナリア帝国では、先祖代々、番の伝説に従い、この地を守ってきた。ユニコーンの末裔である私と王太子以外にも、さまざまな動物の末裔がおり、それぞれの動物特有の身体能力に優れている。末裔たちも番が見つかるかどうかは運次第だが、多くの場合は自然と引き寄せ合うため、見つけやすいのだ」

「だが、ギディオンの番は一向に見つからず、魔物も増えるばかりでな...」


「なるほど、だからさっき偽物の番とかなんとか」


キラキラの笑顔でフルールを見ていた

レオンがあからさまにショボンとした顔になる。


(表情がくるくる変わって、ギディオン様とは

まるで正反対ね)


またしても孫を見るおばあちゃんのような

表情になってしまう。危ない危ない。


それにしても、なぜ王太子の番が見つかることが、

魔物が減ることに繋がるのだろう?

そもそも魔物はどうやって産まれて?

なぜ増えているのだろうか?


その頭に浮かんだ疑問に答えるかのように

ギディオンが口を開いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ