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「番探しの王子と転生おばあちゃん~王子様、私は黒髪黒目じゃありません~」  作者: 栗原林檎
第1章

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7

飛び込んできたのは、金髪碧眼の少年だった。


「兄さまが連れてきた人でしょ!?」

「どんな人か見たくてさ!」


勢いよく部屋を見回したあと、ぴたりとフルールを睨む。


「……また偽物の番候補かと思ったけど、なんか違うな」


「え?偽物の何?」


「なんで髪染めてないんだ?お前、なにしに来た?」


フルールは一瞬きょとんとしたあと――


(あらまぁ……)


胸の奥がじんわり温かくなる。


(孫を思い出すわぁ……)

(この警戒心と生意気な感じ……かんわいいぃ……)


にやぁ……と、無自覚な満面の笑み。

レオンがびくっと後ずさった。


「な、なんだよ!」

「なんでそんな顔で見るんだよ!」

「い、いえぇ……」


フルールは口元を押さえ、幸せそうに笑う。


「元気で可愛らしいなぁって……」

「かっ……かわっ!?」


顔が一気に赤くなる。


「そ、そんなこと言われても嬉しくねーし!」


その後ろから、静かに少女が入ってくる。

金髪碧眼の少女――リリア。


「レオン、騒ぎすぎ」


澄んだ声でたしなめると、フルールへ視線を向けた。


「失礼します」


金色の髪を揺らしながら一歩前へ出る。

小さくスカートの裾をつまみ、軽くカーテシーをする。


「リリア=ルミナリアと申します」


凛とした声が響いた。


「ご挨拶が遅れましたが、こちらは――」


隣の少年へ視線を向け、


「レオン=ルミナリアですわ」


冷静な眼差しが、頭の先からつま先までを静かになぞる。

その瞬間、フルールの顔がぱっと明るくなった。


「あらまぁ……!」


思わず両手を頬に当て、声を弾ませる。


「こっちはお人形さんみたいに可愛らしい女の子!」


リリアが一瞬だけ目を見開いた。


「……?」


横からレオンがじっとフルールを見つめ、ぽつりと呟く。


「なんか……喋り方、年寄りくさくないか……」

「えぇっ!?」


フルールは軽くショックを受ける。


「そ、そんなことないわよぉ?」


レオンは腕を組んで首を傾げた。


「いや、絶対するって」

「おばあ様と同じ匂いがする」

「匂い!?」


思わず自分の服をくんくんしてしまい、フルールは内心で吹き出しそうになる。


(いやまぁ……当たってるんだけどねぇ)


口元を押さえてくすっと笑う。

リリアは少し首を傾げながら、


「……不思議な人」


リリアの呟きが静かに落ちた、そのときだった。


――コンコン。


控えめなノック音とともに扉が開く。


「お前たち、何をしている」


低く落ち着いた声。

振り返ると、そこにはギディオンが立っていた。

双子が同時に振り向く。


「にいさま!」


レオンが一歩前へ出て、ぎゅっと拳を握る。


「……また偽物の番候補が来たのかと思って」

「にいさまを守らなきゃって思ったんだ」


一瞬、視線を伏せる。


「でも……違ったみたいだ」


小さく唇を噛みしめてから、頭を下げた。


「ごめんなさい」


「リリアは悪くないですわ」


フルールは目を丸くする。


「まぁ……偽物とか番?とかよく分からないけど

別にいいのよ。」


ギディオンは静かにレオンの頭に手を置いた。


「もういい」


それから、ゆっくりとフルールへ視線を移す。

――その瞬間。


息を呑む。

湯上がりで整えられた、月光のような白い髪。

フードに隠れていた姿とはまるで別人だった。


(……白髪の、少女)


一瞬、脳裏に浮かぶのは黒髪の面影。


(俺が思い描いていたものとは……真反対だ)


なのに。

なぜか目を離せない。

胸の奥が、わずかにざわめく。


(妙だ……)


魔力の気配は相変わらずない。

ただの旅人にしか見えない。

それでも――


(惹かれる)


理由のない感覚。

ギディオンは小さく息を吐き、表情を引き締めた。


「……支度は終わったようだな」

「はい……」


フルールは少し落ち着かない様子でドレスの裾をつまむ。

「これから王家の夕食だ」

「陛下と王妃様が待っておられる」

「やっぱり……」


小さく肩を落とす。


「来い」

フルールは一瞬ためらい、それから小さく頷いた。

(面倒ごとは嫌だけど……)

(流れ的に逃げられそうにないわね)


こうして――

フルールは王家の食卓へ向かうことになる。

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