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ふわりと、身体が溶けていくような感覚。
次に意識が戻ったとき、フルールは柔らかな光の中にいた。
風が葉を揺らす音。
水がきらめく気配。
「……音也……?」
そっと目を開ける。
そこに広がっていたのは、見渡す限りの森と、宝石のように澄んだ湖だった。
「まあ……」
思わず息をのむ。
こんな景色、日本では見たことがない。
「ここ……どこなのかしら……」
湖の縁へ歩み寄り、そっと覗き込む。
映った姿に、言葉を失った。
雪のように白色に輝く長い髪。
金色に澄んだ瞳。
細くしなやかな、美しい少女の身体。
「……まあ……私?」
頬にそっと触れる。
「髪は白いけど艶があるわね。何より
ずいぶん若くて……可愛らしくなったわ」
ふと、孫の顔が浮かぶ。
一緒に読んだ漫画。
剣と魔法と転生の物語。
「これって……もしかして、
異世界転生、というやつかしら」
その瞬間――
パチパチッ!
湖から電気をまとった魚が跳ねた。
青白い火花が散る。
「……まあ……光った?」
胸がきゅっと縮む。
(普通の湖じゃ……ないわよね)
森の奥から漂う気配に、背筋が冷える。
「危険な場所かもしれないわ……」
少し考えてから、控えめに呟く。
「こういう時は……ステータスオープン、だったかしら?」
淡い光が広がり、空中に文字が浮かぶ。
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名前:フルール
年齢:15歳
スキル:アイテムボックス/鑑定/料理/???
魔力適性:魔法(不可)/召喚魔獣(極)
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「あらぁ……本当に出てきたわ」
目を丸くしながら微笑む。
「十五歳……若返りすぎね」
くすっと笑って、
「魔法は使えないけれど……召喚魔獣……」
視線が止まる。
「アイテムボックス……なにかしら」
呟いた瞬間、空間がぱっと開いた。
「……まあっ!?」
中には鍋、包丁、キャンプ道具。
「音也と使っていたもの……一緒に来てくれたのね」
胸がじんわり温かくなる。
さらにフード付きコートを見つけ、すぐ羽織った。
「目立つのは面倒事のもとだもの」
再び湖がぱちっと光る。
「……やっぱり、ここは安全じゃなさそうね」
胸に手を当てる。
「守ってくれる存在が……ほしいわねぇ」
恐る恐る、
「召喚魔獣……出てきて?」
――沈黙。
「……あら?」
頬に手を当てる。
「出てこないわねぇ……」
少し考えて、はっとする。
「そういえば孫……ゲームで、変なセリフ言ってたような……」
頬がほんのり赤くなる。
「……言うの、ちょっと恥ずかしいわね」
周囲をきょろきょろ見回してから、小さく息を吸う。
「――舞い降りろ、七色の守護翼……クリエ!」
光が弾けた。
七色に輝く巨大な鳥が現れ、翼を広げる。
「……まああああっ!?」
思わず後ずさる。
強い羽ばたきと同時に、透明な結界が周囲を包み込んだ。
森の気配が一気に遠のく。
「こ……これが……召喚獣……!」
胸を押さえ、目を輝かせる。
「本当に出たのね……孫のゲーム、侮れないわ……」
焚き火を起こし、結界の中で腰を下ろす。
「とりあえず……今日はここで様子見ね」
炎を見つめながら微笑む。
「まさか、この歳で異世界デビューするなんて」




