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「番探しの王子と転生おばあちゃん~王子様、私は黒髪黒目じゃありません~」  作者: 栗原林檎
第1章

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1

ふわりと、身体が溶けていくような感覚。

次に意識が戻ったとき、フルールは柔らかな光の中にいた。

風が葉を揺らす音。

水がきらめく気配。


「……音也……?」


そっと目を開ける。

そこに広がっていたのは、見渡す限りの森と、宝石のように澄んだ湖だった。


「まあ……」


思わず息をのむ。

こんな景色、日本では見たことがない。


「ここ……どこなのかしら……」


湖の縁へ歩み寄り、そっと覗き込む。

映った姿に、言葉を失った。

雪のように白色に輝く長い髪。

金色に澄んだ瞳。

細くしなやかな、美しい少女の身体。


「……まあ……私?」


頬にそっと触れる。


「髪は白いけど艶があるわね。何より

ずいぶん若くて……可愛らしくなったわ」


ふと、孫の顔が浮かぶ。

一緒に読んだ漫画。

剣と魔法と転生の物語。


「これって……もしかして、

異世界転生、というやつかしら」

 

その瞬間――

パチパチッ!

湖から電気をまとった魚が跳ねた。

青白い火花が散る。


「……まあ……光った?」


胸がきゅっと縮む。

(普通の湖じゃ……ないわよね)

森の奥から漂う気配に、背筋が冷える。


「危険な場所かもしれないわ……」

 

少し考えてから、控えめに呟く。


「こういう時は……ステータスオープン、だったかしら?」


淡い光が広がり、空中に文字が浮かぶ。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

名前:フルール

年齢:15歳

スキル:アイテムボックス/鑑定/料理/???

魔力適性:魔法(不可)/召喚魔獣(極)

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


「あらぁ……本当に出てきたわ」


目を丸くしながら微笑む。


「十五歳……若返りすぎね」


くすっと笑って、


「魔法は使えないけれど……召喚魔獣……」

 

視線が止まる。


「アイテムボックス……なにかしら」


呟いた瞬間、空間がぱっと開いた。


「……まあっ!?」


中には鍋、包丁、キャンプ道具。


「音也と使っていたもの……一緒に来てくれたのね」


胸がじんわり温かくなる。

さらにフード付きコートを見つけ、すぐ羽織った。


「目立つのは面倒事のもとだもの」

 

再び湖がぱちっと光る。


「……やっぱり、ここは安全じゃなさそうね」


胸に手を当てる。


「守ってくれる存在が……ほしいわねぇ」

 

恐る恐る、


「召喚魔獣……出てきて?」


――沈黙。


「……あら?」


頬に手を当てる。


「出てこないわねぇ……」


少し考えて、はっとする。


「そういえば孫……ゲームで、変なセリフ言ってたような……」


頬がほんのり赤くなる。


「……言うの、ちょっと恥ずかしいわね」


周囲をきょろきょろ見回してから、小さく息を吸う。

 

「――舞い降りろ、七色の守護翼……クリエ!」

 

光が弾けた。

七色に輝く巨大な鳥が現れ、翼を広げる。


「……まああああっ!?」


思わず後ずさる。

強い羽ばたきと同時に、透明な結界が周囲を包み込んだ。

森の気配が一気に遠のく。


「こ……これが……召喚獣……!」


胸を押さえ、目を輝かせる。


「本当に出たのね……孫のゲーム、侮れないわ……」

 

焚き火を起こし、結界の中で腰を下ろす。


「とりあえず……今日はここで様子見ね」


炎を見つめながら微笑む。


「まさか、この歳で異世界デビューするなんて」


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