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ちょーだい!ちょーだい!

ピンポ~ン♩ピンポ~ン♩ピンポ~ン♩・・・・


「ミリーいるんでしょう!帰って来なさい!!」



若い女の子だ。恐らく姉か?


「あのね。お母さん。貴方の願いを叶えてあげるから・・・もう、大変なのよ。社交界で皆も心配しているわ。貴方がいないと、社交界の話題がないわ」


「うむ、当主命令だ。お前がいないと、領地経営の失敗をごまかせない」


「私の能力を示さないわ!」



勝手な事を・・・



ダンダンダン!とドアを叩く。



ミリーは布団を被ってブルブル震えている。


こいつらを見ないで会話をしなければセーフだ。


「魔法を掛けるわ!!セバス!魔法をお願い!」


「ダメです!魔法コードで時空をゆがめられています。この世界にも術者がいるようです」


え、お札が効いているのか?


「なら、外からだわ」


助かったのか?あっけなかったな。



しかし、ここは2階だ。こもっている部屋の窓の方から声が聞こえた。カーテンをかけ雨戸も閉めている。

姉の声だ。空を浮かんでいるのか?


「ミリー、帰って来なさい。貴方には大事な役目があるの。王宮のパーティーで欲しがりをしなさい。婚約者の物よ。ぜ~んぶ。貴方に物をあげるから・・・」



フリフリとミリーは首を横に振っている。

いつからか、この子は道化を演じるようになったのだな。


数時間経過した。そしたら、理子の声が聞こえた。



「・・・お父さん!!何か、古い服装をした外人に捕まったわ!」



理子・・・


「お父さん助けて!お父さん!今までごめんなさい!」


これは本当だ。あの巫女さんが、言っていた。




『いいですか?幻覚魔法は奴らの知っている事しかできません。例えば別れたお子さんを人質にする幻覚は出来ませんわ』

見てはいけない。

玄関においた姿身の所まで行く。



いや、俺は欲しがり妹を守ると決めたのだ・・・・

だから。


無視をした。


「おい、交渉だ。聞こえているのだろう。この子を返えして欲しくば、ミリーを返してもらおう」


おかしい。理子は何故、この夜中に来た。おねだりか。夜遊びか。



「お父さん!やっぱり誘拐はいけないよ。その子返そうよ!」



そう教えられた事は奴らと会話をして、騙された事か。問答無用に捕まったのではない。


今更、助けてくれと言われてももう遅い!

でも、確かめる。

奴らを見てはいけないのだ。


この世の理子なら問題はない。

理子だけを見れば・・・理子の声はドアのすぐ近くから聞こえる。


俺はチューンを掛けたままドアを少し開けてのぞいた。

理子はやっぱり、拘束はされていなかった。

ニヤニヤ笑っている。手には金貨が入っているだろう袋を持っていた。



ガチャガチャ!


え、どこからか、鉄線鋏が出てきた。

この世界の物ではない。

しまった。物理か。

ガチャ!





「バ~カ、おっさん。騙されてやんの。ダメだよ。この人達の子供を誘拐しちゃ」


「馬鹿・・!こいつら」


姉は異形の形をしている。姉は足が伸びて、道路からこの階をのぞいていた。


「さあ、返してもらいましょうか・・!」

手が伸びてきたその瞬間。




「そうわ。行きませんわ!障壁!!」


突然、後ろから巫女の声がした。

鏡から・・・出てきたのか?


そう言えば、鏡に呪文を唱えていた。


「☆〇※☆~~~かしこみ。かしこみ!異世界に帰りたまえ」


巫女が叫ぶと、ピカッ!と光り。床に魔方陣が浮かんで、奴らは消えた。


「「「「ギャアアアアーーーーー」」」




「ダメですよ。宇佐田さん。何かを犠牲にしなければ助ける事は出来ませんわ。見捨てると決めたら躊躇してはいけませんわ」


「はい・・・すみません」

「取り替え子完了ですわ」


あ、理子がいない。異世界に行ったのか?



「ズルイ!ズルイ!・・・お父さんズルイ!」


「え、話した」

「これからですわ。家族になるのわ」

「ええ、決断をしました」




それから、俺は会社に辞表を提出した。



そのまま、お世話になったゼネコンのボスのところに行く。前から誘われていた。


「おう、やっときたか。でも、32歳だっけ?うちで雇えないから、協力企業を紹介しちゃるけん。そこに登録して、うちのユニフォームを着ろや」


つまり、出向だ。施工管理者の世界では良くある。この世界も現場は派遣がほとんどだ。


「はい!」


良い所は、福利厚生が一流企業と変わらない。

ゼネコンは鼻血が出ても、法令は守るのだ。

現場で元いた会社を指揮監督する立場になった。


「あの会社の窓口は最近変わってダメじゃ。お前が責任とれや」

「はい、厳しくします」


現場でゼネコンの作業服を着た姿で沢田に会う。



「・・え、宇佐田?」


「沢田君、君ね。呼びつけはやめてくれないか?安全計画やり直しだよ」



あの間男を使う立場になった。

理子は中学でさっそく悪い仲間とつるむようになり。あの日もお金をほしさにアパートに来たようだ。


欲しがり妹は普通に話すようになり。今もアパートにいる。


「フフフフ、お帰りなさい。昼間、ミリーちゃんと図書館に行って絵本と児童文学の本借りましたのよ」


「ああ、星代さん。有難う。学校も教育委員会に相談しようか?」

「ええ、明日行きますわ。今日のご飯は肉じゃがですわ」

「お、いいね。ミリーは?」

「はい、呼んで来ます」


あれ、何故か、巫女さんはあれから、神社に帰らずに、アパートに住み込むようになった。

巫女さんも外人ぽい外見になった。

まるで欧米人と結婚したみたいだ。



「もっと、広い所に引っ越しましょう」

「ああ・・・」


とりあえず。3人で仲良くやっている。


いびつな関係だが、決して、誰かを犠牲にして結束するようないびつな本物の血縁家族にだけはしないでおこうと心に誓った。


とりあえず。沢田と明美に、慰謝料をちょうだい!するか。

皆、欲しがりの心を持っている。

最後までお読み頂き有難うございました。

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