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アンニュイな午後 選民たちの憂鬱  作者: カキヒト・シラズ


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第1話

これはすべてフィクションです。


 午後の日差しが煙草の煙に解け混じり、物憂い気分を醸し出す。

 中央合同庁舎5号館の屋上から、一人の男が下界を見降ろしていた。

 コロナワクチン接種反対のプラカード。ワクチン死亡者の遺族たちのデモ行進。

「政府はワクチン被害の責任を取れ!」

「厚労省は殺人集団だ!」

 メガホンから繰り返されるシュプレヒコールが男の耳にも入ってくる。

 ゴイムめ。こいつらは低能のサルだ。

 男は胸の中で毒づく。

 煙草の煙を口から吐き出すと、りっぱな輪ができる。

 

 ネイビーのスーツは三つ揃いの仕立服。黒のストレートチップの革靴はビスポークシューズ。

 世間的には分相応の装いと思われているが、省内にはカッコつけすぎと陰口をたたく者もいた。

 それでも左手に巻いたローレックスの腕時計にくらべれば、こんなコンサバファッションは安物だと男は思っていた。

 男の名は水原浩一。年齢30歳。

 厚生労働省健康生活衛生局予防接種課主任。これが水原の肩書だった。


 スマホが鳴る。部下の島崎京子からだ。

「主任、第三応接室へ来ていただけませんか」

「どうした」

「デモ行進の代表者が責任者と話したいと言ってきてます」

「そうか。すぐ行く」

 灰皿スタンドに煙草を押しつぶす。



「ですから、そうしたデータはこちらにはありません」

 水原が言う。

 第三応接室は折り畳みの椅子と机があるだけのだだっ広い殺風景な部屋だった。

「そんなふざけた話があるか」

 デモ団体代表の小林が怒鳴る。

 厚労省職員のコロナワクチン接種率は何パーセントなのか、さっきから小林は執拗に質問している。

 データを出すまで動かないとも言った。

 以前、ヤフー知恵袋に厚労省職員のワクチン接種率は10パーセントという書き込みを見つけた。水原は匿名でそれを否定する書き込みをした。

 厚労省職員の正確な接種率は把握していなかったが、どれだけ多く見積もっても3パーセント以下だ。だから10パーセントは間違いだ。

 しかし3パーセント以下という数字はネットには書き込めなかった。厚労省職員が3パーセントしかワクチン接種してないならワクチンは危険だと国民は考え、接種しなくなる。

 国民にもれなくワクチン接種させるためには、こうした情報は隠蔽しなくてはならない。

「いいか、明日までに厚労省職員の接種率を広報発表すること。でないと訴えるぞ」

「しかしですねえ」

「いい加減にしろ。おれは家族をワクチン死で失ったんだ」

「お気持ちはわかりますが」

「おまえにおれの気持ちなどわかるわけないだろう。公務員のおまえに、おれたち庶民のくやしさがわかってたまるか」

 小林は吐き捨てるように言い、第三応接室を後にした。

「水原君、ご苦労だったね」

 課長の柳原だった。

 柳原は水原の後方にただ座っていただけで何もしなかった。嫌な仕事はすべて部下に押し付けるのが柳原のやり方だった。

「課長、これからどうしましょう」

「これからも国民には黙っておくんだ。真実をしゃべってはいかん。国民はバカだから、マスコミのプロパガンダには簡単にだまされる。そういうもんだ」

「そうですね」

 まったくその通りだ。水原はそう思った。

 今どき、コロナワクチンが毒であることを知らない者はキャリア官僚には皆無だった。そして毒と知りながら国民全員に接種させるのがキャリア官僚の仕事だった。

「ところで例の書類作成の件だが進捗はどうなってるかな」

 柳原が言う。

「明日までには完成すると思います。島崎にデータ収集を手伝わせてますが、彼女は結構、優秀ですよ」

「そうか、それならいい」

 65歳以上の国民が帯状疱疹など各種ワクチンを定期接種する運びとなったが、各自治体に配る資料作成を水原が担当していた。

 それにしろ、65歳というのが憎い設定だ。水原はそう思う。

 省内のうわさでは財務省からの提案で65歳という数字が出たらしい。

 65歳は国民が年金を受け取る年齢だ。だから受け取る前にワクチンの毒で国民を殺す。

 若いうちは政府に年金を納めるから生かしておき、彼らが年金を受け取る年齢になったら殺す。

 こうしたせこい手口はいかにも財務省が考えそうなことだ。

 水原は柳原に一礼して第三応接室を後にする。


 日本の政治家、皇室、財界人、高級官僚、その他この国を支配する階層の人間はほとんどワクチンを接種していない。

 それはこの国のエリートはワクチンが毒であることを知っているからだ。

 世界を支配するディープステートが地球人口削減のために、生物兵器のコロナとそのワクチンを開発した。コロナ自体の殺傷能力は低かったが、遅効性の毒性を持つmRNA入りワクチンは直実に地球の人口を減らしつつある。

 ところが一般の国民は真実を知らされていない。

 ディープステートの命令を受けたこの国の支配層はマスコミを操り、一般国民ができるだけ多くワクチン接種するようプロパガンダで情報操作した。

 二極化という言葉がある。

 通常はアベノミクス以降、資産や収入で金持ちと貧乏人に国民が二分されたことを指す。

 ところが水原に言わせれば、ワクチンが毒であることを知らされたエリートと、マスコミの嘘にだまされてワクチン接種した一般国民の二つがこの国の真の二極化だ。

 水原は喫煙室に立ち寄り、煙草に火を点ける。

 

(つづく)


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