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幼馴染に振られた少女と家族を失った孤独な少年の慰め合い同盟〜いつの間にか離れられなくなってしまって〜  作者: めのめむし


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第94話 いじめ

「そういえばさ、お姉ちゃん」

「何?」


 奏と天音は夕飯を取った後、2人で勉強をしていた。


「お兄ちゃんとはその後どうなの?」

「どうって?」

「お姉ちゃん、お兄ちゃんへの恋心を自覚した後、かなり取り乱していたのに、今はそんなでもないよね」

「ああ、今も気を抜くとすごいよ。意識しちゃうと涼君のこと見れなくなっちゃうし、勉強してても涼君のことで頭いっぱいになっちゃう時あるし。でも、一緒に出かけてから、少し落ち着いたんだ」

「ああ、餃子デート?」

「うん。あれから、そこまで焦ることもないかなって思ったら、余裕が出てきたの」

「そうなんだね。じゃあ、もうお兄ちゃんがキラキラして見えない?」

「いや、それとこれとは別だよ。今でも涼君、すっごくかっこいいの。まあ、元々かっこいいんだけどね。もう200%はかっこいいよ。」

「200%は言い過ぎなんじゃない?」

「控えめだよ、これでも。もっと言ってもいいぐらいなんだよ。本当にドキドキするんだから」

「そんなにすごいんだ。恋するって」

「うん、恋愛脳になっちゃう気持ちもわかるよ」

「そっか。いいな」

「天音も恋するとなっちゃうと思うよ」

「一度体験はしたいかも」

「天音は学校にそう言う人いないの?」

「いないなぁ。告白はよくされるんだけどね」

「とりあえず付き合ってみるとかは?」

「お姉ちゃんはそういうことしてないでしょ。好きでもない人と付き合うとか無理だよ。

とりあえず付き合ってみるとか面倒すぎる」

「そうよね」

「それに、付き合ったら、今までみたいにお兄ちゃんのうちに行ったりとか、なかなかできなくなっちゃうと思うんだよね。

お兄ちゃんのうちに行き始めて、あまりたってないけど、もう私には欠かせないの」

「そうなんだ。まだ当分無理そうね」

「偉そうなこと言って、お姉ちゃんこそお兄ちゃんにアプローチしないくせに」

「そ、それはそうなんだけどね」

「まあ、その気になったっら協力するからさ。言ってよ」

「うん、ありがとう。さ、勉強の続きしましょ」

「はーい」



 翌日昼休み。弁当を食べた後、涼は1年3組の教室の前に来ていた。

扉に手をかけようとすると、


ガシャン


と言う音が聞こえてきた。


 なんだろうと、そのまま教室に入ってみると、教室の真ん中あたりの机が倒れていた。

周りには教科書や、小物が散らばっている。

その前には1人の生徒が立ち尽くしていた。

その周りには、ニヤニヤした数人の体格のいい男子と、それを遠巻きにしている生徒たちがいた。

涼はポケットに手を突っ込んで再び手を出すと、康太に近づいた。


「黒田」

「あ、羽山君」

「お前の机か?」

「え? うん」


遠巻きにしている生徒が、涼を見て驚いている。


「あれ、羽山君」

「なんでこのクラスにいるの?」

「どうしたんだろ。黒田くんの知り合いなのかな」


 涼が気にせずに、黒田の机を元に戻す。

その後、教科書や小物を拾い上げにいくと、我に帰った康太が慌てて涼に言った。


「そんな、羽山君悪いよ。僕のなんだから」

「いいって、気にすんなよ」


 近づいて、小さな声で言った。


「それに、羽山君まであいつらに目をつけられちゃう」

「あいつら?」


 すると、ニヤニヤしていた数人の男子が声をかけてきた。


「おいおい、部外者が何勝手なことしてんだよ」

「そうだ、帰れよ」

「お前、最近話題になってる羽山だろ。あんま調子こいてんじゃねえぞ」


 涼は無視して、荷物を拾い上げている。

全く3人の方を見ていない。


(あいつらっていうのは、こいつらのことだよな。こんな時に人の心配するなんて、黒田いい奴だな)


 1人が声を荒げてきた。


「何シカトしてんだよ!」


 ようやく涼はそちらを向く。


「シカトしてないが、名前は?」

「後藤だよ」

「1年3組?」

「そうだよ、それがどうかしたか」

「そっちの2人は」

「柴崎だ」

「浦沢だ」

「ご丁寧にありがとう。ちゃんと教えてくれるなんて、すごく嬉しいよ。俺は1年1組羽山涼だ。それで、なんか用か?」

「それをなんで拾ってんだって言ってんだよ」

「ああ、黒田のだから拾うの手伝ってたんだ」

「勝手なことしてんじゃねえよ」

「もしかしてだけど、黒田の机を倒して、荷物をぶちまけたのって、黒田じゃなくて、後藤と柴崎と浦沢?

それなら謝らなきゃ。気まぐれで拾ってみただけなんだ」

「ああ! そうだよ。だから、余計なことすんな」

「確かに余計なことだったな。じゃあ、きちんと謝らないと、後藤がやった?」

「ああ、俺だよ」

「後藤がやったの?」

「そうだよ。だから俺に謝れよ」


 涼が満面の笑みになる。


「そうか、教えてくれてありがとうな。あと、悪かったな。余計なことしちゃって。ごめんなさい」

「わかればいいんだよ」


 康太は下を向いている。


「すごくいじめって興味あるんだけどさ、黒田をいじめてんのって、後藤と柴崎と浦沢?」

「ああ、そうだよ。お前もやりたいのか?」

「ああ、興味ある。どういうことするんだ?」


 後藤と柴崎と浦沢は今までやってきたことを得意げに嬉しそうに話した。

ジュースを買いに行かせていること。

体育館倉庫に閉じ込めたこと。

トイレで水をかけたこと。

教室で服を脱がせたこと。

顔は避けて暴力を振るっていること。

クラス全員で無視していること。

クラスのみんなは黙っているからこの教室ではやり放題なのだと言うこと。

様々なことを教えてくれた。

涼は興味深げに喜んで相槌を打った。

3人は気持ちよく話し続けた。

教室の他の生徒たちは、黙っていた。


(こいつら大丈夫か? こんなに話しちゃって。俺は助かるけど)

「お前ら、すげえな」

「面白えだろ」

「ああ、面白い。いろいろ話してくれてありがとうな」

「ああ、お前も楽しいからやってみろよ」

「何すればいい?」

「こいつのケツを蹴ってみるか?」

「それもいいけど、ところでなんでこのクラスのやつは黙ってくれてるんだ?」

「まあ、俺たちが怖いからだよな。逆らったら、そいつがターゲットだから」

「そうなんだな」

「おっと、もう昼休みが終わりだから、一度帰れよ。」

「いや、まだ用があるから」

「流石に先生が来たらまずいだろ」

「今日の放課後に校舎裏でやろうぜ。なあ、黒田。放課後来いよな。逃げるなよ」


 康太が怯えながら答える。


「うん、分かった」

「今日は羽山も手伝ってくれるってよ。よかったな。黒田。

そう言うことだ、羽山。とりあえず教室に戻れよ」

「先生が来てもいいよ。それからなんとかするから」

「ギャハハ、お前、おもしれーな」

「お前たちほどじゃないぞ。お前たちの凄さって言ったらレジェンドだよ」

「そうか、羽山は話がわかるやつだな。ギャハハ」

「そう言ってくれると嬉しいよ」


 昼休み終了のチャイムがなる。

それと同時に教師が教室に入ってきた。

このクラスの担任の坂上だった。


「始めるぞー、席につけ。お前は、1組の羽山か? なんでここにいるんだ?」

「先生、この授業ですが、自習にしてください」

「何言ってるんだ、羽山」

「このクラスでは悪質ないじめがあります。今すぐ対処しないと、警察に暴行 強盗 窃盗 器物破損 恐喝として告訴させます。先生、対処を誤らないでくださいね」

「おい、テメー何言ってやがるんだ」

「お前、どうなるか分かってるんだろうな」

「ぶん殴られてえのか!」


 後藤 柴崎 浦沢の3人が口々に叫ぶ。


「おっと、これは俺への脅迫もプラスされたな」

「テメー」


 後藤が、涼の胸ぐらを掴んできた。


「おっと、殴らないほうがいいぞ。俺への暴行傷害も追加されるし、俺は正当防衛として対処するぞ。

学校で暴行の現行犯なんて、お先真っ暗だな。あ、考えてみたら、胸ぐら掴んだ時点で暴行罪だった。」


 動けなくなった、後藤の手を胸から外し、坂上に向きあう。


「この状況です。誰がいじめをしていたか、一目瞭然ですよね。先生は気づかなかったですか?」

「……すまん、気づかなかった。状況を教えてもらいたい」

「まあ、気づかなくてもしょうがないですよ。巧妙に隠していたようだし、クラスの生徒も脅されていたようだし。でも、巧妙に隠していた割には色々喋っちゃったけど。自己顕示欲かな?」


 そこで、我に帰った柴崎が叫ぶ。


「証拠なんてないじゃないか!」


 浦沢と後藤も続く。


「そうだ、証拠を出してみろ」

「俺たちはやってないぞ」

「あはは、俺がなんでお前たちを持ち上げて、気持ちよくさせてしゃべらせていたと思っているんだ?」


 涼はポケットから、スマホを取り出す。


「この社会は暴力的な報復が許されていないからな。警察に対処してもらうための準備をするのは当然なんだよ」


涼がスマホをいじって、音声を再生する。


『すごくいじめって興味あるんだけどさ、黒田をいじめてんのって、後藤と柴崎と浦沢?

「ああ、そうだよ。お前もやりたいのか?』


 涼がニヤリとして言った


「ずっと録音していたよ。これ以上の証拠はいらないだろう?」

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