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幼馴染に振られた少女と家族を失った孤独な少年の慰め合い同盟〜いつの間にか離れられなくなってしまって〜  作者: めのめむし


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第85話 奏の恋 ※奏視点

「じゃ、じゃあ、お弁当食べようか」

「ああ、今日もありがとうな、奏」

「う、うん。わ、私がやりたいことだから」

「どうしたの? さっきからちょっと変な気がするけど」

「な、なんでもないよ。本当に」


 さっきから私変なんだけどー。

さっきって、大山くんに怒った後、何か吹っ切れた気がするんだけど、その後の涼君の優しさにドキドキしちゃって、涼君の笑顔がいつもよりキラキラして眩しくって、そばに寄りたいんだけど、くっつきたいって思うんだけど、そんなことしたら死んじゃいそうなんだけど。


どうしたんだろう。離れると寂しい。けど、近寄れない。でも近寄っちゃおう。


「奏? 隣に来てどうしたの?」

「う、うん、なんでもないんだよ。なんとなく」

「そう。でも近すぎて食べにくくないか?」

「あ、ああ、そうだよね。ごめんね」


 近すぎちゃった。涼君に嫌われちゃうかな?

落ち込んじゃう。


「ああ、えっと奏?」

「何?」

「いや別に奏が来たければ来ても構わないよ」

「っ!……」


 涼君優しい。気を遣ってくれた。嬉しい。

じゃあ、ちょっと近くに行こう。


 さっきはお腹空いたって言ったけど、なんか恥ずかしくて言っただけで、食欲全然出ないんだよね。

でも、食べないと変に思われちゃうかな。

よし、無理にでも食べよう。


「奏、お腹空いてたんだな」

「なんで?」

「すごい勢いで食べてるから」


 きゃー!

余計に変に思われちゃった。どうしよう。

えっと、どんなペースが普通なんだろう。分からなくなっちゃった。


「ね、奏」

「へ、何、まどか」

「だから、さっきの奏、すごかったね。大山くんに怒った時」

「え、そんなに?」

「うん、怖かったよ。焦っちゃった」

「え? 嘘? りょ、涼君、普通はあんなに怒ったりしないんだよ! 本当だよ!」

「おわっ! そ、そうなのか。でも話題出したのはまどかだから、まどかに言ったほうがいいんじゃないのか?

あと、近い」

「っ! 涼君が私を怖がってる気がしたからなんだよ。怖くないんだからね」

「ああ、分かってるよ。奏は優しい子だからな」

「えへへ」


 涼君に褒められちゃった。

あれ、なんで涼君が言うことに私、いちいちこんなに反応してんの?

おかしくない? いや、おかしいよね。


 お弁当食べて落ち着こう。


「奏」

「何! 涼君」

「ああ、今日の放課後、生徒会に割り当てられた部室見にいかな」「行く!」

「そ、そうか、じゃあ行こうな」

「うん」


 今日は、放課後校内デートか。嬉しいなって、デートなわけないじゃない。

私どうしちゃったの?


「奏」

「何、まどか」

「さっきから変だよ。妙に勢い良かったり、ずっと下向いていたり。そう思ったら、チラチラ涼君見てるし大丈夫?」

「……大丈夫」


 だって、顔あげると、涼君の顔があるんだもん。なんか直視できない。でも見たくなっちゃう。


 どうしよう。とりあえずもう少しでお弁当食べ終わるから、それで一息つける。


「まどかは部活の方はどうなんだ?」

「大きな大会は期末の直後にあるんだよ」

「そうなんだ。大丈夫なのか?」

「テスト期間中は自主トレかなって思ってるけど、テスト前も入れて2週間潰れちゃうでしょ。調整大変だよ」

「そうだよな。上は目指せそうなのか?」

「全国は厳しいかな。私は一般的に言うと足速い方だけど、競技者としてはまだまだだからね」

「そうなのか」

「だから、このまま陸上をやり続けるべきなのかも微妙なんだよね」

「悩んでるのか?」

「うん。ほら、陸上だけに囚われても、全国に行けないで終わるんだったら、もっと別のことやってもいいかなってね」

「そうかー、続けたとしても、やめて違うことやったとしてもどっちも一理ありそうだな」

「そう思ってくれる? 私この相談すると、決まって勿体無いって言われるんだ」

 

 涼君とまどかが話し込んでる。ずるいまどか。私も涼君と話したいのに。でも、話したら話したで何も言えなくなりそう。


「ああ、大概の人はそう言うだろうな。でも、それを決めるのはその人だし、何が悪いとかないし、どの道を選んでも得難いものってあるからさ。」

「嬉しい、そう言ってもらえると、別の道を考えてもいいって思えるよ。ありがとうね、涼君」


 ちょっと、まどか、何、涼君といい雰囲気になってるの?

でも、涼君が優しいアドバイスしてるの素敵。


「まあ、よろず同好会に本腰入れるんだったらそれはそれで大歓迎だからさ」

「うん、楽しそうだよね。私もいろんな経験ができるチャンスだから、1つのことだけじゃ、勿体無い気もするんだ」

「そうか、もしそうなったら、思いっきり楽しめるように色々考えないとな」

「でも、現時点で色々考えてるんでしょ」

「ああ、そうだな。最近運動できてないから、持て余した時間にな」


 ふう、やっと食べ終わったよ。食べ物が胸を通らないってこのことだよ。

あれ、喉を通らないだっけ? 胸がいっぱいだっけ?

よくわからない。


 あ、でも食べ終わっちゃったら、下向いてるとおかしくない?

じゃあ、1人で教室にもどる?

ありえないし、涼君とまどか2人っきりとか心配だし。

涼君のそばにいたいし。でもそばにいると顔を見れない。


 あ、そうだ、前に天音がやってたように涼君にもたれかかってれば、くっつけるし顔見ないで済むし一石二鳥かも。


「奏? なんでもたれかかってるの?」

「涼君はいやなの?」

「いやじゃないけど。むしろ嬉しいし」


 きゃー、涼君、私がもたれかかると嬉しいって。


 こうしてると、涼君の体温を感じて幸せ。

すごいドキドキするけどね。

6月も下旬だから暑いけど、そんなの関係ない。


 それにしても私どうしちゃったんだろう。

今朝はこんな感じじゃなかったのに。

 

 涼君は元々かっこいいけど、ここまでキラキラしてなかったしな。

もしかして、これがフィルターってやつなのかな?

こんなの大山くんの時は感じなかった。

そこまでドキドキもしなかったし。

 

 もしかして私、恋をしているのかな?

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