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幼馴染に振られた少女と家族を失った孤独な少年の慰め合い同盟〜いつの間にか離れられなくなってしまって〜  作者: めのめむし


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第75話 スカウト

 翌日、火曜日の朝


 相変わらずの注目度の涼。

注目されたことのない涼は、それだけでストレスになる。


(この注目も、しばらくしたら収まりそうだよな。それまでの我慢)


 教室に入ると、いろいろなクラスメイトから声をかけられた。

席に座ると、例の女子5人組が現れた。


「「「「「おはよう」」」」」

「ああ、おはよう」

(いい加減、誰かに名前聞かないとまずいよ。でも奏もまどかも教えてくれないしな)


 そこへ、知らない先生が入って来た。


「おはようございます。羽山涼君はいるかな?」

「あ、はい、僕です」

「ちょっと時間もらえないかな」

「はい、分かりました。今行きます」


 女子5人組の1人が話し出す。


「ねえ、羽山くん。今の人バスケ部の監督だと思うよ。スカウトかな?」

「ああ、そうなんだ。なんだろうね。ちょっと行ってくるね」

「うん、分かった」


「お待たせしました」

「ここじゃなんだし、渡り廊下でいいかな。移動しよう」

「はい」


 渡り廊下までは教室から大した距離でもないので、すぐに着いた。


「遅れてしまったけど、私は男子バスケ部で監督をしている、川越です。よろしく」

「あ、1年1組の羽山涼です。よろしくお願いします」

「頭の方はどうかな?」

「おかげさまで、問題なさそうです」

「それはよかった……この度は、うちの部員がバスケのプレーであるまじき行為をして、君に怪我を負わせてしまったこと、大変申し訳ありませんでした。私の監督不行届です」


 と、言って、川越は頭を下げた。

いきなりのことで、びっくりした涼だった。


(なんか、大山の件で、大人に頭を下げられてばかりだな)

「頭を上げてください。川越先生が悪いとか、監督不行き届きとか思っていませんから」

「すみません」


 そう言うと、川越は頭を上げた。


「大山はベンチ入りしていたけど、ベンチから外して、本人の反省を見て今後を考えていきたいと思っています」

「そうですか、流石に危険なプレーができてしまう人はベンチに入れられませんよね」

「そうです。今の彼を試合に出させるわけにはいきませんので」

「そうですか、よかったです。彼が反省する場がありそうなので」

「はい、謹慎明けにはきっちり指導をしていこうと思います」

「はい、ぜひお願いしますね」

「それで、なんですが。君の球技大会での試合を見ていたのですが、君、バスケの経験はあるのかい?」

「中学1年の1学期はバスケ部にいたんですけど、家庭の事情で辞めたんです」

「そうなんだね。でも、その割には技術がしっかりしているように見えたんだけど」

「ああ、それはうちにバスケットのハーフコートがあって、基礎練習は欠かさずにやっていたんですよ」

「なるほど、それはいい。でも、1on1も見事な動きをしていたけど、あれは1人ではなかなかできないと思うけど」

「あれは、最近同じクラスの栗山奏さんと毎日のように1on1をやっていたから、かなりできるようになっていたんです」

「栗山さんといえば、球技大会の女子のバスケで準優勝したチームにいたね。彼女も部活やっていない割には動きが良かった。納得だよ」

「彼女は技術的にはかなり高かったですからね。スタミナにだけ問題があったけど、最近は一緒にトレーニングしていたので、その部分でも問題なくなっていたんで」

「そうなんだね。彼女も女子の方がスカウトしたがっているようなんだけど、実は私も君をスカウトしたいと思っていてね。どうかな。君みたいなシュート力もあって、ゲームコントロールに必要な周りを見る目を持っている選手が、うちのチームには必要でね。バスケ部に入ってみないかい?」

「せっかくなんですけど、栗山さんと3x3の男女混合チーム作ろうって話になっているんですよ。他にも色々やろうってことになってるんですけど、そうすると、部活やってる時間がないんです」

「そうなのかい? それは残念だけど、それならこういうのはどうだい? 時間がある時にうちの部活に練習に来て、一緒に3x3を試合形式でやったり、通常の試合形式に混じったりするのは。もし、行けるようなら、試合にも出てもらっても構わないし」

「ありがたいんですけど、3x3と通常の試合とは違うのではないですか?」

「それはあるけど、3x3はディフェンスのいい練習になるし、オフェンスも上達させやすいんだよ。それに息抜きにもなるからね。もちろん3x3をやる時はチームメンバーでやって構わないよ」

「ありがとうございます。それはちょっと栗山さんと相談してもいいですか?」

「もちろん、そうしてくれるかな」

「あと、大山が反省して謝罪しないと、同じコートには立ちたくありません」

「それはもっともだね。きちんと反省を促して、その上で謝罪させるよ。もし、それすらできないのなら、もっと重い処分は考えているからね」

「ありがとうございます」

「いや、こちらが悪いんだからね、当然なことだよ」

「お返事する時はどうすればいいですか?」

「部活の時間でなければ、職員室にいるから来てくれるかな」

「はい、分かりました」

「それじゃあ、もうすぐ時間だね。教室に戻ってください」

「はい、あ、大山の件も気を遣っていただきありがとうございました」

「こちらこそ悪かったね。それでは良い返事を期待しているよ」

「はい、失礼します」


 教室に戻ったら、向井が出迎えた。


「羽山、おはよう。川越監督と話して来たんだろ」

「ああ、おはよう。そうだよ」

「監督なんて言ってた?」


 涼は手短に監督の話をまとめて説明した。


「なるほどね、うちには羽山みたいなポイントガードが少ないんだよ。だから、誘ったんだろうな。

それにしても3x3か。興味あったから、俺もやりたい」

「そうか、行ったら、歓迎してもらえそうかな」

「多分歓迎してもらえるぞ。この間から、先輩に羽山のこと聞かれるからな」

「へー、そうか。それは嬉しいな」

「ちなみに女子の先輩からも聞かれるぞ。あ、同級生も」

「そ、そうなんだ。嬉しいな」

「いいな、モテモテで」

「まあ、一過性な感じだろ」

「まあ、落ち着きはするだろうけど、一過性ってわけじゃないと思うぞ」

「そうかな」


 そこで、担任が入ってくる。


「じゃあ、バスケ部のこと、考えておいてくれよ」

「ああ、分かった」


 涼は、自分が認められたようで、ちょっと嬉しい気分で授業を受けた

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