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幼馴染に振られた少女と家族を失った孤独な少年の慰め合い同盟〜いつの間にか離れられなくなってしまって〜  作者: めのめむし


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第62話 くすぐりっこ

「「「……」」」


 3人は緊張で声もなくベッドの周りで立っていた。

涼のベッドは大きく、クイーンサイズだが、それでも3人で寝ると体が触れ合いそうになる。

3人とも想像するだけで、緊張してしている。


 沈黙に耐えきれず、涼が口を開く


「あ、あのさ。やっぱり別々に寝ない?」

「ダメだよ。涼君」

「ダメでしょ、お兄ちゃん」

「でも、2人ともすごい緊張が伝わってきてるんだけど」

「涼君、それは当たり前なの」

「そうだよ、お兄ちゃん。緊張して当たり前。でもそれは乗り越えないといけないんだよ」

「なんか、いいこと言ってるふうだけど、ただ寝るだけだよね」

「涼君にとって、今は絶対寝ないといけないの。そして、それを見守るのが私たちの仕事だよ」

「そう、だからちゃんと3人で布団に入ろう」

「ああ、分かった。じゃあ、俺は一番奥に行くな」

「それはダメ」

「お兄ちゃんは真ん中だよ。私が先に奥に行くね」


 天音がベッドの奥に行き横たわり、入りやすいように布団を持ち上げる。


「さ、次は涼君が入って」

「あ、ああ」


 涼がおずおずとベッドに入る。天音と接触しない距離に寝る。


「ダメだよ、お兄ちゃん。お姉ちゃんが入れないでしょ。もっとこっちきて」


 天音が涼の腕を掴み引っ張ってくる。

天音の柔らかさが伝わってきて、ドキドキする。


 すると、奏が入ってきて、涼によってきた。


「ごめんね涼君。落ちないようにそっちに寄らせてね」

「あ、うん」


 奏が近寄ってきて、もう腕同士は当たるくらいの距離にまできた。

昨日一晩一緒に寝たとはいえ、いまだに奏のそばで寝ているだけでドキドキする。


 3人は体をまっすぐに、触れるか触れないかの距離で上を向いて寝ていた。


「「「……」」」


 誰も、一言も発さない。

極度の緊張状態でいた。


(なんとかしないと寝れないぞ、これ)


 涼はどうすればいいか考える。


(こう言う場合は笑ったりしたらいいか。笑うって言ったらくすぐりだな。

でも、キモがられないかな。一緒に寝てるのにキモがられたら地獄だぞ。

いや、そんなことはしない子達だ……と、信じる。まずは天音からが良さそうだな)


「あ、天音」

「へ、なに?」


 返事をしたところに、涼が脇腹をくすぐり出した。


「くすぐり攻撃ー」

「え、ちょっと、お兄ちゃん、ヒ、やめて、キャハハ」

「ワハハ、どうだー」

「ちょ、もう、それならこれでどう、お兄ちゃん」


 天音もやり返してきた。


「うわああ、ヒ、ヒャハハ、天音、待って」

「待たないよー」


 お互い色々当たっているけど、気にしない。と言うか感触も楽しんでいる。

内心「これはいいと」と、2人とも思っていた。


 ひとしきり堪能したところで、奏が声を出す。


「もう、2人とも布団がぐちゃぐちゃじゃない」


と、言いながら、奏は疎外感を感じて寂しかった。


「さて、天音」

「何、お兄ちゃん?」

「この中で、1人くすぐられてない人がいる」

「いるねえ」

「そう言う人ってどう思う」

「ダメだよね。同じこと味合わないと」


 奏が引き攣った声で、言葉を返す。


「え、な、何言ってるの」


 とはいえ、奏も自分にもやってもらえるのかと、内心期待している。


「天音、これは2人でくすぐらないとな」

「そうね」

「2人って、ダメよ。そんなの卑怯よ」

「問答無用」


 涼が奏を抱きあげ、体を反転させて、真ん中に移動させる。


「キャー」

「お兄ちゃん、ナイス」

「くらえ、奏」

「お姉ちゃん覚悟」


 涼と天音が奏の両方の脇腹をくすぐり始める。


「キャハハ、や、やめて、だめ、苦しい」

「まだまだ」

「これからよ、お姉ちゃん」

「キャハハ」


 涼はくすぐりの最中、どさくさに紛れて、奏の体を堪能した。


(不可抗力だよな。これ)


 確信犯である。


「ヒー、ヒー、もうやめてよね」


 と、言いつつ奏も満足げだった。


「よし、これで緊張が取れたな」


 涼は、また奏の体を抱き、回転させ奏を元の位置に戻した。


「よっと」

「きゃー。もう、涼君」

(これは元に戻るのにしかたない。けど奏柔らかい)


 やはりこれも確信犯だった。


「ドキドキが少しおさまったな」

「うん、そうだねお兄ちゃん」

「もう、涼君強引だよ」

「でも、楽しかったでしょ、お姉ちゃん」

「……それは、うん」

「それならよかった。奏、天音それじゃあ寝ようか」

「「うん」」


 3人は寝る体制に入った。


「涼君」

「何?」

「昨日みたく、手を繋ごうか」

「ああ、そうだな」

「え、何それ。そんなことしてたの? 私も繋ぐ」


 涼は、奏と天音と手を繋いだ。


(えへへ、お兄ちゃんと初めて手を繋いじゃった。お兄ちゃんの手、おっきいな)


「奏、天音、まだ起きてる?」

「うん、涼君」

「お兄ちゃん、起きてるよ」

「昨日、今日ってありがとうな。おかげで不安を感じないで過ごせたよ」

「いいんだよ。私だって、今の状態の涼君をほっとくなんて、不安しかないよ」

「そうだよ。お兄ちゃんに何かあったら、私泣いちゃうもん」

「だから、気にしないでね」

「ああ、ありがとう2人とも」

「どういたしまして」

「2人を来させてくれた、進さんと初音さんにも感謝だな」

「そう思うなら今度うちに遊びにきてね、お兄ちゃん」

「ああ、そうさせてもらうよ」


 そういうと、奏が自然に涼の肩に頬を寄せてきた。かなり密着した態勢になったが、涼は気持ちいいので余計なことは言わない。

それを、暗いながらに感じ取った天音も同じように頬を肩に寄せてきた。


「両手に花だね、お兄ちゃん」

「ああ、本当だな」

「嬉しい? 涼君」

「うれしくないわけがないよ。幸せだな」

「ふふふ」

「えへへ」

(今朝はもう奏でと一緒に寝ないかもとか思ってたけど、また一緒に寝れてよかった)

(また、涼君と寝れてよかった。さっきは緊張したけど、やっぱり落ち着くな)


 なんともいえない幸せな気分を味わいながら、3人は眠りの世界に落ちていった。


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