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幼馴染に振られた少女と家族を失った孤独な少年の慰め合い同盟〜いつの間にか離れられなくなってしまって〜  作者: めのめむし


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第61話 3人で囲む食卓

 奏が買い物から帰り、天音と奏が順番に風呂に入る。

そして現在、涼対栗山姉妹で絶賛言い争い中だ。


「いや、もう自分で体拭けるから大丈夫だって」

「ダメよ、涼君。きちんと拭けないでしょ」

「そうよ、お兄ちゃん。きちんと拭かないと不潔でしょ」

「いや、普段から風呂出たら自分でやってるし」

「ただの水滴でしょ。力入れなくても拭けるじゃない」

「そうだよ。ゴシゴシ拭かないと汚れ落ちないよ」

「でも、今日は大人しくしてたから、あまり汚れていないよ」

「甘いわ涼君。若いうちは新陳代謝が激しいから、すぐに汚れは溜まるの」

「そうなんだよ。お兄ちゃんにはいつも綺麗でいてもらいたいな」

「……んだよ」

「何? 涼君」

「どうしたのお兄ちゃん?」

「2人に拭かれるなんて、恥ずかしいんだよ」

「大丈夫、私も恥ずかしいから」

「そう。私もお兄ちゃんの裸見るなんて恥ずかしいよ」

「それなら無理することないじゃないか」

「いいえ、涼君の体を拭くことは無理をする価値はあるわ」

「うん、しっかり拭けばお兄ちゃんは健康でいられるんだよ」

「でも、自分でできるし……」

「涼君の役に立ちたいのよ。ダメなの?」

「私もお兄ちゃんのために役に立ちたいの。ダメ?」


 2人とも悲しそうな顔をして、上目遣いで見てくる。


「う……ずるいよ。2人とも」

「じゃあ、いいのね」

「任せといて、お兄ちゃん」

「うん……よろしくお願いします」


 こうして、涼対栗山姉妹の言い争いは姉妹の勝ちになった。


「それじゃあ、涼君」

「お兄ちゃんいい?」

「「服脱いで!」」

「……間違いなく姉妹だな」


 涼は観念して服を脱いで短パンだけになった。


「はい、ここに立って、涼君」

「美人姉妹に体を拭かれるなんて嬉しいでしょ。お兄ちゃん」

「そりゃ嬉しいよ」


 涼が真っ赤になって言う。体は所在なさげにしている。


(ふふ、涼君、恥ずかしがってかわいい)

(えへへ、イケメンのお兄ちゃんが恥ずかしがってるのかわいい)


 姉妹で、同じようなことを考えながら顔を赤くしている。


「それじゃあ、天音は背中を拭いてくれるかしら。私は前を拭くね」

「私、背中も拭きたいけど前も拭きたいかも」

「うーん、じゃあ半分拭いたら交代しようか?」

「うん、それでいいよ」

「じゃあ、天音は右半分で私は左半分ね」

「分かった。じゃあ始めようか」


 奏は前半分と天音が背中半分を拭きはじめた。


「すごーい、お兄ちゃん背中の筋肉すごいね。背中大きい」

「うん、前も胸板も厚いし、腹筋も綺麗に割れているよ」

「お兄ちゃん本当に鍛えてるんだね。素敵」

「素敵よね。

あとね、涼君は昨日汗かいていたはずなのに、ベタベタしてないでサラサラだったのよ」

「えー、そうなんだ。サラサラの男の子、ポイント高いね」

「うん、ポイント高いよね」


 涼がプルプルと震えている。


「どうしたの涼君?」

「どうしたのお兄ちゃん?」

「恥ずかしいんだよ。拭いてもらっといて悪いんだけど、何も言わずに拭いてくれないかな?」

「あら、女の子は喋るものだよ」

「そうだよ、これをネタにしないともったいないよ。お兄ちゃん」

「そうですか……」


 それ以降もキャイキャイ言いながら、姉妹に体を拭かれた涼は終始赤い顔をしていた。


 (ふう、気持ちいいんだけど疲れた)


 終わったあと、涼はソファーでぐったりしていた。

奏は涼の体を拭き終わってから、夕飯を作りにキッチンへ行っていた。

天音はソファーに座っている涼に寄りかかって、スマホをいじっている。


「天音?」

「うん、なあに」

「うちのソファーって結構広いと思わない?」

「うん、そうだね。自慢したくなるよね」

「いや、そうじゃなくてな。もっと広く使わないかって言ってるの」

「え、いいよ。広く使う必要なんてないじゃない。せっかくお兄ちゃんがいるのに」

「なんか、俺が間違っているような言い方やめてくれるかな」

「え? だって、私はお兄ちゃんに寄りかかりたいのに、離れたら寄りかかれないじゃない」

「いや、これはだな。恋人の距離感っていうか」

「あれ、お兄ちゃん意識しちゃってるの?」

「いや、意識もしちゃうだろ。これは付き合ってるもの同士でやるものだろ」

「えー、私は別にいいよ。これは兄妹の距離感だよ。嫌なの?」

「いや、っていうわけじゃないけど」

「じゃあ、いいじゃない」

「そうか、いいのか」

「うん」

(また負けた。だって、実際嬉しいんだもんな。奏も天音も可愛いし)


 抵抗は一応するが、実際は自分でも望んでいるので、虚しく終わるだけだった。


 涼が天音に寄りかかられながら、本を読んでいると、奏が声をかけてきた。


「できたから、テーブルについて」

「おお、ありがとう」

「はーい」


 席に行くとすでに準備が終わっていた。

今晩はカレーとサラダだった。


「私、お姉ちゃんのカレー大好き。美味しいんだよ、お兄ちゃん」

「そうなのか。手作りカレーなんていつぶりだろう。楽しみだな」

「おかわりあるから、いっぱい食べてね」

「そうさせてもらうよ、奏」

「「「いただきます」」」


 一口食べると、辛味がある中にフルーティーな酸味と甘みもあり、とても美味しい。


「これは何かフルーツが入ってるのかな」

「うん、キウイが入ってるの」

「キウイってカレーに合うんだな。美味しいよ」

「ね、よく合うよね。私はこれが好きなんだ」

 

 涼は美味しさのあまりスプーンが止まらなかった。


「何度も言うけど、本当に美味しいよ。奏」

「ふふ、ありがと。喜んでもらえて嬉しいよ」

「なんか、懐かしいな。3人でカレーを食べてると、子供の頃を思い出す」

「そっか」

「お父さんとお母さんがいて食べるカレーは美味しかったな。

あんまり好きで毎週日曜日はカレーの日にしてもらってな。

日曜の夕食になるのが楽しみだったんだよ」

「いい思い出だね」

「ありがとうな。奏のカレーを食べられて、幸せだよ」

「ふふ、もう、大袈裟なんだから」


 奏は少し頬を染めて応える。


「おかわりは? 涼君」

「ああ、おかわり」

「はい」

(お兄ちゃんとお姉ちゃん、これで付き合ってないのよね。

もう新婚さんみたいじゃない)


 涼はカレーを5杯食べて、はち切れそうになった腹を抱えてソファーに横になった。


「はあ、うまかった」


 奏と天音が片付けを終わらせてソファーにやってきた。


「いっぱい食べてたね」

「ああ、美味かったから」

「はい、お兄ちゃん、コーヒー」

「おお、天音、ありがとう」

「どういたしまして」


 涼は体を起こして、コーヒーを受け取り一口飲む。


「うまい。

至れり尽くせりで、なんだか申し訳ないな」

「いいんだよそんなこと。ね、お姉ちゃん」

「そうね、私たちが好きでやってることなんだから。

それに涼君には普段から助けられてるんだから、これくらい当然だよ」

「そうか、ありがとう」

「それより、お兄ちゃん」

「ん?」


 天音が怪しく笑う。

涼はそんな天音を見て今度はなんだろうと警戒した。


「今日は3人で一緒に寝るよね」

「へ?」

(こう言われる可能性はあると思ってたけど、とりあえずとぼけないと。ちょっと期待しちゃってるけど)

「お兄ちゃん、昨日はお姉ちゃんと寝たんだよね」

「うん。観察のために」

「そうよね、今日も観察のために一緒に寝ないとね」

「でも、3人って言うのはどうかなって思ったりしてな」

「観察している人が1人より2人の方がいいよ。当たり前でしょ」

「まあ、そうだよな」

「じゃあ、決まりだね」

「うん」

(ああ、本当は俺、すごい嬉しいんだよな。だって奏と天音みたいな美人と一緒のベッドなんてなあ)

(また、涼君と一緒に寝れる。昨日みたいに独り占めはできないけど、でも嬉しい。あれ? でも私は涼君のことをほんとにどう思ってるんだろう。嬉しいのは確かかな?)

(きゃー、お兄ちゃんと一緒のベッドになっちゃう。今からドキドキする)


 3人とも、寝る時間に期待を馳せながら、夜は更けていく。

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