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幼馴染に振られた少女と家族を失った孤独な少年の慰め合い同盟〜いつの間にか離れられなくなってしまって〜  作者: めのめむし


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第56話 奏の人気

 奏の試合相手は3年生のチームで、レギュラーメンバーのバスケ部員が2人入っていた。

それに対して、奏の1年1組はベンチ入りしていないバスケ部員が1人いるだけだった。


 それにもかかわらず、後半戦になっても23対25と3年生チームに食らいついている。

これはひとえにポイントガードとしての奏の活躍によるものだった。


「すげー、栗山さん。バスケ部相手に一歩も引いてない」

「うちの女子バスケって強いんだよね」

「あのバスケ部の人ってレギュラメンバーだよね」


 奏は、的確にパスを回し、自らもドライブしてシュートをし、3Pシュートを決めていた。


(涼君との1on1の成果が出てるな。やっぱり涼君は上手いよね)


 奏は、ここにはいない涼を思い浮かべる。


(いけないいけない、試合中に他のことを考えるなんて)


 奏がボールを運び、右の選手にパスを出して、すぐにその選手の後ろを通りパスを戻してもらう。

ボールを受け取った刹那、3Pシュートを打った。

ボールは吸い込まれるようにリングに入った。


 ポスッ


「おお、栗山さんどれだけシュート決めるんだ」

「かっこいい」


 また、歓声が上がる。

ギャラリーの多くは奏を応援していた。


 結局、シーソーゲームを奏のチームが制して、勝利を収めた。


「奏、お疲れ様」

「お疲れ様、まどか」

「大活躍だったね」

「うん、調子良かったみたい。毎日のように1on1やってたからかな」

「涼君のおかげだね」

「そうだね」

「涼君にも見てもらいたかったね」

「そうだね、せっかくだから見て欲しかった」

「撮影していた子がいるから、それを涼君ちで見ようよ」

「そうだね、それはいい考えだよ」


 奏のところに3年生チームの2人のバスケ部員ともう1人の3年女子がやってくる。

「栗山さん、試合ありがとうね」

「こちらこそ、ありがとうございました」

「栗山さんはバスケットの経験者よね」

「はい、中学ではバスケ部でキャプテンをやっていました」

「そうなのね。それでも、現役じゃないのにあの動きは信じられないわ」

「友人と毎日のように1on1をやってたんですよ」

「そうなのね。なんで、バスケ部に入らなかったの?」

「まあ、入学時は色々事情がありまして」


 そこで、ついて来ていた3年女子が口を開く。


「栗山さん、私はバスケ部の部長の相澤っていうの。

栗山さん、もし今何もなかったら、バスケ部に入らない? 

栗山さんだったら、すぐにでもレギュラーになれそうなんだけど」

「ありがとうございます。部活に入ることを考えていなかったので、少し考えさせてください」

「分かったわ。こちらはいつでも歓迎だから、その気になったら、3年5組の相澤まで来て頂戴」

「はい、その時はよろしくお願いします」


 そう言うと、3年生はギャラリーの方に戻って行った。


「奏、スカウトされちゃったね」

「うん」

「どうするの?」

「どうしよっかな」

「もう、大山君のことを考えなくていいから、入ってもいいんじゃない?」

「そうなんだけどね。でも、涼君のうちで1on1やってるだけでも結構楽しくて」

「それはそうだよね。部活始めると、今ほど涼君のうちにいけなくなるもんね」

「そうなの。今の生活って楽しいんだ」

「でもさ、涼君も男バスにスカウトされそうじゃない? 

あれだけ活躍してたし、監督は涼君のこと色々聞いていたみたいだよ」

「そうなんだ。それはあるかもね」

「そうなったら、涼君どうするんだろう」

「どうすんのかね」

「涼君がバスケ部に入ったら、奏も女バスに入る?」

「確かに、涼君が部活始めたら、考えちゃうかも」

「まあ、涼君が学校に来て、実際にスカウトされないとわからないね」

「そうだね」

「ふふ、それにしても、涼君次第って、彼女みたいだよ」


 奏がカーッと真っ赤になり、慌てて否定する。


「い、いや、それは、いつも遊んでいる人がいないと時間が余るってだけで、決して

寂しいから自分も部活始めようとかって言うわけじゃなくて」

「ふふふ、別に否定しなくてもいいよ。そんなに深い意味ないから」

「もう……まどかの意地悪!」


 ギャラリーに戻ると、奏は多くのクラスメイトや他のクラスの生徒にも囲まれた。

その中には男子も混じっていて、一生懸命奏を褒めて自分の印象を上げようとしている。


 それを離れた位置で見ているまどかはつぶやく。


「涼君、この状況を見て、ヤキモチとか妬くのかな。

涼君は奏のことをどう思ってるんだろう。よくは思っているだろうけどな」


 その後、1年1組チームは快進撃を続け、決勝でバスケ部キャプテンの相澤率いる3年5組に当たった。

バスケ部スタメンメンバーが3人いるチームが相手では奏の力でもどうにもならないで、敗退した。


 しかし、1年生チームが準優勝したことは話題になり、奏はますます有名人になった。


 奏はどこに行っても、1年生だけでなく2、3年生の男子からも声をかけられて、辟易していた。

まどかが捌いてくれたので、まだマシだが、移動するたびにまとわりついてくるのでうんざりした。


「まどか、ありがとうね」

「うん、なれてるからいいよ。それにしても大変だよね。告白もまた増えるんじゃない?」

「えー、困るよ」

「そうよね。でも、告白の時は私も付き合うから」

「ありがとう。私もできるだけ行かないで済むようにするから」

「でも、そうね。告白の時は涼君に一緒に来てもらうって言うのはどう?」

「え? 男子を連れて告白を受けるの?」

「そう、安心でしょ」

「確かに安心だけど、涼君に恨みが行きそうだから」

「それはあるかも。でも、あんまり涼君気にしなそうだよ」

「そうかもだけど……」

「まあ、毎回じゃなくても怖そうな人だけとかさ。私が頼んであげようか?」

「頼むなら、私がちゃんと言うよ。でも、基本的にまどかお願い」

「それはもちろんいいよ」


「そういえば、大山君だけど、今日は学校に来てないみたいよ」

「そうなの?」

「昨日の件で、謹慎になっているって噂があるよ」

「そっか、それくらいあってもおかしくない行動だったもんね」

「奏としては複雑な気分かな?」

「ううん、今回は大山君に私も怒ってるから」

「そっか。まあ、酷かったもんね」

「うん、大山君は涼君にきちんと謝罪するべきだよ」

「そうだよね。今頃涼君は大丈夫かな」

「うん、そうだね。何もないとは思うんだけど」


 奏とまどかは、ここにはいない涼の心配をするのだった。



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― 新着の感想 ―
これは物語の分水嶺、涼と奏のバスケ入部次第で物語が変わって行く。次回からが楽しみですな 選択次第で奏との接し方、賢治君をさらに追い詰めそうで怖いですな。 色々な物語の展開を立てられる。先生がどういった…
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