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幼馴染に振られた少女と家族を失った孤独な少年の慰め合い同盟〜いつの間にか離れられなくなってしまって〜  作者: めのめむし


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第43話 球技大会の日の朝

 球技大会の日の朝


 涼は自宅の洗面所の鏡の前で、ワックスを使って、髪を整えていた。

しばらく鏡と睨めっこをしていた涼は小さくつぶやく。


「こんな感じかな。いよいよ今日から変えるんだな。なんだか照れ臭い」


 家を出る前に両親の遺影の前に座り、りんを鳴らす。


「お父さん、お母さん、今日からまた一歩前進するよ。

正直、受け入れられるか不安なんだけどね。でも、前に進むって決めたんだ。

だから、格好も変えたし、球技大会でも控えめなやり方はしない。

他の人にはなんでもないことかもしれないけど、俺には結構勇気がいるんだ。

でも……全力で行くよ。見ててね」 


 大きく息を吸って、吐き出す。


「よし。行こう」


 胸を張って、背筋を伸ばし、顔は少し笑みを浮かべ、自宅を出た。



 校門から昇降口までの間でちょっとした騒ぎが起きた。


「あれ、誰? 転校生かな」

「すごいイケメン」

「何年生だろう」

「あんな人見たことないよね」


 特に女子生徒たちが騒いでいた。


 騒ぎの中、颯爽と歩いていたのは涼だった。

奏と歩いている時は男女問わず注目されていたが、あれはあくまでも奏を見るついでに見られていただけだ。

自分だけで注目されるのに慣れていないので、居心地が悪い。

かといって、背中を丸めて歩くわけにはいかない。


(堂々と行こう)


 教室まで辿り着き、中に入ると騒がしかった教室が静まり返った。

そして、小さな囁き声があちこちで聞こえてくる。

 

「あれ、誰?」


 と、言う疑問が主流のようだ。


(まあ、席に行けば分かってもらえるだろう)

 

 席に行こうとすると、聞き慣れた声をかけられる。


「涼君、おはよう。すごい注目だね」

「奏、おはよう。そうだな、学校入る前から注目されてたよ」

「涼君、おはよう。って言うか、やっぱすごい変化だね、似合っててかっこいい。いいと思うよ」

「まどか、おはよう。それとありがとう。なんだか照れ臭いけどな」

「なんで、いいじゃない。今の格好」

「そうだよ、堂々としてればいいよ」

「そうだな、分かったよ。2人とも」


 と、話しながら3人は涼の席に向かっていった。

他の生徒はあれが涼だと知ってびっくりしている。


「え、嘘。あれ、羽山……くん?」

「嘘、前と全然違う」

「イケメンすぎるんですけど」

「栗山さんと古賀さんは知ってたの?」

「なんか、私たち乗り遅れてない?」

「って言うか、昨日まで無視してたし。どうしよう」


 などと、色々と混乱しているクラスメイト。

そんなこと気にせず3人は涼の席で話していた。


「今日の球技大会楽しみだね。私と涼君は結構練習したもんね」

「ああ、そうだね、奏。あと、今日は奏にも見せてない大技をやってやるからな」

「何それ? 教えて」

「何やんの涼君」

「それは、球技大会の時のお楽しみだ」

「そうか、随分1on1やったけど、まだ隠し球があったか」

「何それ、すごく気になるんですけど」

「まあ、1on1ではあまりやる必要性がないって言う感じだったんだけどな」

「へー、そうなんだ。楽しみ。自分の試合と被ってなければ全試合応援しないとね」

「私も応援する」

「2人ともよろしくな」

「「うん」」

「俺も、2人を応援するからな」

「「よろしく」」

「じゃあ、私たちちょっとお手洗いに行ってくるね」

「うん」

「じゃあ、また後で」


 奏とまどかが去ったタイミングを見計らったように向井がやってきた。


「羽山、おはよう」

「向井、おはよう」

「髪の毛切るとそんな顔してたんだな」

「変か?」

「いや、驚くくらいのイケメンになったよ。注目の的だよな」

「そうか、ありがとう」

「今日はバスケでポイントガードの件頼むよ。他のバスケ部員のいるチームに負けるわけにはいかないんだ」

「なるほどね。まあ、どこまでできるかわからないけど、全力を尽くすよ」

「よろしく頼むよ。羽山にかかってるって言っても過言じゃないからな」

「プレッシャーはかけないでくれ」

「はは、悪い悪い」

「じゃあ、後で体育館でな」

「ああ、後でな」


 トイレで奏とまどかは話をしている。今はトイレに誰もいないからちょうど良い。


「わかっていたけど、涼君すごいイケメンになっちゃったね」

「そうね。私も昨日見た時、見惚れちゃったわ」

「注目もすごいされてるし」

「そうね」

「しかも、絶対に球技大会活躍するから、もっと注目されるね」

「そうかも」

「どうすんの、奏」

「どうするって?」

「うかうかしてると取られちゃうよ」

「うーん、でも私はまだ……」

「もう、元彼のことは忘れてもいいんじゃない?」

「そうなんだけどね……感情的にはまだ」

「涼君のことはどう思ってるの?」

「それもわからないんだけどね」

「私から見たら一目瞭然なんだけどね」

「何、まどか」

「ううん、なんでもない」

「そろそろ行こうか」


 奏とまどかが廊下に出ると、賢治が奏を見つけて走ってきた。


「奏!」

「大山君……」

「なんだよ、賢治って呼べばいいだろ」

「この間、もう下の名前では呼ばないでと言ったよ」

「いいじゃないか、俺たち幼馴染っていうのは変わらないだろ」

「はぁ、それで、何か用?」

「ああ、今日の球技大会、俺バスケで出るんだ。絶対活躍するから、応援してくれよな」

「それは、遠慮しておくわ」

「なんでだよ」

「元カノが応援してたら、今の彼女はどう感じると思う?」

「瑠美には幼馴染だって言ってるから大丈夫だ」

「大丈夫じゃないわよ、全然。それに私たち応援する人は決まってるのよ」

「……また、羽山か」

「ええ、そうよ」

「あんなやつ俺より活躍できるはずないだろ。俺の応援していた方が楽しいって」

「私は羽山君のプレーは華があって、見てて楽しいと思うわ。賢治より上手いかも」

「絶対にそんなことない! 羽山のチームと当たったら、俺がボロボロにしてやるよ」

「そう。頑張ってね。それじゃ」


 顔を真っ赤にさせて怒っている賢治の横を奏とまどかがすり抜けていく。


「ねえ、奏」

「何、まどか」

「あんな人のこと、まだ好きなの?」

「うーん、正直わからないんだけど、子供の頃から一緒だったから、なかなか切り替えられないのよね」

「そうなんだ。でも、もっと自分の気持ちと向き合う必要があると思うよ」

「ありがとう。そうしてみるわ」


 教室に戻ると、半数が更衣室に移動していたから、奏たちも移動することにした。


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― 新着の感想 ―
WSS(私が先に好きだったのに)案件にならなければよいのだけれど。 NTRや強姦等の性描写がないのがとても良い なろうもカクヨムもそればっかりで。 これからが楽しみ!
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