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幼馴染に振られた少女と家族を失った孤独な少年の慰め合い同盟〜いつの間にか離れられなくなってしまって〜  作者: めのめむし


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第39話 いとこの存在

 平日の放課後。

涼と奏は涼の家で運動し、一緒に勉強をして過ごしていた。

たまに、部活が休みのまどかや天音も加わった。

また、最近は球技大会に向けて、奏にポイントガードの練習もつけてもらっている。

おかげで、チーム練習には程遠いが動きもわかってきていた。

涼にとっては今までにないような充実感を感じる毎日だった。


「でね、告白を断るのがすごく面倒なのよ」

「そうなんだ。最初から行かなければいいんじゃないの?」


 一通りの運動を終え、リビングでくつろぎ、奏特製のクッキーを食べながら話している。

今は奏が告白される数が多くて、困っていると言う話の最中。


「うーん、一応会わないと悪いかなっていう気持ちもあるしね」

「でもさ、あまりに数が多いと、他のことにまで支障がでちゃうじゃない?」

「それはあるの。

それに最近まどかに付き添ってもらってるから、告白のたびに来てもらうのは悪い気もしてるのよね」


 奏が形の良い眉を下げながら言う。

その顔もまた可愛く様になっている。


(本当に困っているんだな)


 涼はその顔を見て、思わずフッと笑ってしまう。


「あー、ちょっと! 笑ったでしょ。人が困ってるのに。どう言うこと!」

「いや、美人は困った顔をしても美人なんだなって思ったらついね。ごめんね」


 奏が、その一言で頬を赤く染める。


「むー、誤魔化すために口説いてきたでしょ」

「口説いてないって。それにしても、美人すぎるのも問題だよな。

奏の場合、美人で可愛いもんな。男としてはほっとけないよな」

「もー、そう言うことばっかり言わないでよ。恥ずかしいでしょ」


 バシバシと涼の腕を叩いてくる。全然痛くないので、ますます笑ってしまう。


「ははは、ごめんごめん」

「反省してない!」


 涼は、あまり容姿を褒められるのを奏でが好んでいない印象だったのを思い出す。

これ以上は良くないなと思い、顔を真顔に戻し奏に言う。


「悪かった。きちんと反省してこれからは綺麗も美人も可愛いも言わないようにする」


 そういうと、奏が一瞬ぽけっとした顔をして、慌てて訂正する。


「い、いいんだよ。言っても。ちょっとびっくりしただけだから。いくらでも言って」

「でも、あまり容姿を褒められても嬉しくないだろ」


そうすると、奏は少し俯き、やがて顔をあげ頬を赤くして言う。


「涼君にだったら言ってほしいな。言われると嬉しいから」


 今度は、涼が赤くなる番だった。


「く、口説いてる?」


 そう言われた奏はイタズラっぽく笑う。

その表情が涼には可愛く綺麗で魅力的に見える。


「さあ、どう思う?」


 奏の表情に見惚れてしまっていた涼は、我を取り戻すと、頭を振り奏のおでこを優しくつついた。


「あいた!」

「揶揄うな」

「えへへ」

(奏、可愛すぎだろ)

(涼君、照れてる。可愛い)


 ピンポーン

二人でじゃれ合ってると、インターホンが鳴る。


「はーい」

『あ、お兄ちゃん。こんにちは』

「あ、天音か。すぐ開けるな」

『ありがとう』


 天音は、先週末以来、部活が終わって余力があれば、涼の自宅によって、勉強をして帰るようになっている。


「奏、天音が来たみたいだ」

「じゃあ、私が行くね」

「分かった、よろしく」


 奏が迎えに行くと、すぐに二人の足音が聞こえてきた。


「お兄ちゃん、ただいま」

「ただいまじゃないでしょ、天音」

「ははは、おかえり天音」

「えへへ、ただいま」

「もう、調子いいんだから」


 涼は、キッチンにいきながら、声をかける。


「天音は何飲む?」

「アイスココアが飲みたいな。ある?」

「ああ、あるぞ。奏も飲むか?」

「私は、さっきもらった紅茶があるから大丈夫」

「はいよ」


 しばらくしたらココアと茶菓子を盆にのせ涼が戻ってきた。


「天音は、疲れてるだろうから、チョコパイなんかどうだ?」

「やったー、お兄ちゃん大好き」

「俺も大好きだぞ、天音」


 二人して、照れて顔を赤くして言い合っている二人を見て、奏はなぜだか無性に焦りを感じるが、顔に出さないで話をそらす。


「ところで、天音。部活の方はどうなの、最近?」

「んー、今は市の大会に向けてみんな頑張ってるよ」

「天音はレギュラーなのか?」

「私はレギュラーで、次期キャプテン候補よ」

「おお、すごいな天音」

「お兄ちゃんほど上手くないけどね」

「そんなことないぞ。俺はチームプレーはほとんどやったことないからな。

2年生でチームに見合った動きで活躍して、レギュラーまで取るなんてすごいことだぞ」

「えへへ、お兄ちゃんに褒められちゃった。撫でて、撫でて」

「ああ、いいぞ」


 頭を撫でる涼に、頭を撫でられる天音。二人ともすごい笑顔だ。

話を変えようとしたら、余計に二人がくっついてしまい、愕然としてしまう奏。

頬杖をついてそっぽを向いてしまう。


「ん? どうした、奏」

「別に、なんでもないー」

「そうなのか?」

「あ、お姉ちゃん。私とお兄ちゃんが仲良いからって、ヤキモチ妬いちゃったんでしょ」

「ち、違うから!」

「え? そうな「違うから!」……はい」


 奏のあまりの剣幕に、顔を引き攣らせる涼と天音。


「じゃ、じゃあ時間もないし、とりあえず勉強しようか」

「そ、そうだね。あ、私、その前にご両親にご挨拶させて」

「そ、そうか。いつもありがとうな天音。今準備する」

「う、ううん、私自分で蝋燭もつけるから。ね」

「そ、そうか」


 天音が部屋から出ていくと、部屋が静まり返る。


(な、なんか空気が……何か喋るか)

「あ、あのさ」

「……そうね」

「な、何、奏?」

「お兄ちゃんって呼ばれて嬉しそうね」

「い、いやそれは、ああ、違わないな。お兄ちゃんって呼ばれて嬉しいな」

「そんなに嬉しいの?」

「一人っ子だからな。まあ、もう一人、お兄ちゃんって呼んでくれる子はいるけど」

「えっ、誰なの? 初耳なんだけど」

「ああ、いとこの子だよ」

「もしかして、女の子?」

「うん、そうだよ」

「……何歳?」

「今、中3で誕生日まだだから14歳」

「そ、そうなんだ」


 そこで、お線香をあげた天音が戻ってくる。

話を途中から聞いていたようで、話を引き継いできた。


「えー、お兄ちゃん、私以外にお兄ちゃんって呼んでる子がいるの?」

「ああ、いとこだけどな」

「なんだぁ、残念。私だけだと思ってたのに」

「まあ、その子も天音も実の妹じゃないけど、二人とも大切な妹だよ」

「そっか、ありがと」


 そんな二人のやりとりを、奏は微妙な表情で眺めていた。


(思ったよりも涼君の周りって、女の子が集まってきそうな予感がするのよね。

これからイメチェンすれば注目されるだろうし……。

だからって、私がどうとか言える立場じゃないんだけど)


 奏は、未だありもしない涼の女性関係にまで漠然とした不安を抱えるのだが、なぜ自分がそういう気持ちになるのか、まだ気づかないでいた。

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