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幼馴染に振られた少女と家族を失った孤独な少年の慰め合い同盟〜いつの間にか離れられなくなってしまって〜  作者: めのめむし


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第32話 栗山家での食事

 賢治とのいざこざがあったが、涼はコンビニでワックスを買い、無事に髪をオールバックにして栗山家に着いた。


(ちょっと緊張するな)


 ピンポーン


「はーい。あ、涼君。ちょっと待ってね。玄関開けるから」

「ありがとう」


 すぐに玄関が開いた。

奏は着替えたようで、半袖カットソーに黒のフレアスカートを履いている。


「いらっしゃい、涼君」

「さっきぶり、奏」

「うん、さっきぶり。時間ぴったりだね」

「ああ、時間ぴったりになった面倒ごとがあったからな」

「ん? 何があったの?」

「いや、なんでもないよ」

「そうなの?」

「まあ、そう言うことにしておいて」

「わかった。それにしても髪をあげてきたんだね。やっぱりかっこいいと思うよ」

「あ、ありがとう。その、奏も着替えてる。可愛いと思うよ」

「えへへ、ありがとう」

 2人して、顔を赤くして照れてると、奥から声が聞こえてくる。


「かなでー、そんなところで話してないで、早く入ってもらいなさい」

「はーい。ごめんね、涼君。上がって」

「お邪魔します」


 リビングに行くと、男性が1人と女性が2人座っていた。

男性はお父さんで年上の女性はお母さん。

中学生くらいの女性は妹で間違い無いだろう。


 3人は涼をみて、驚いた顔をする。

「すごいー、イケメンだー」

「あらあら、本当にかっこいいわね」

「こらこら、お客さんに失礼だろ」

「そうだよ、天音もお母さんもやめてよ」

「「はーい」」


 仲の良い母娘だ。

静かになったところで、涼が口を開く。


「こんばんは、今日は招いていただいてありがとうございます。

羽山涼と申します。よろしくお願いします」

「あらあら、ご丁寧に。私は奏の母の栗山初音です。

今日は来てくれるのを楽しみにしてたのよ」


 初音はセミロングで奏の母親というだけあって美人だ。


「そう言っていただけると嬉しいです」


 涼が、初音の歓迎に返す。


「私は、奏の父の進だよ。奏がいつもお世話になっているようで、ありがとう。」


 進は180センチは余裕で超えるような長身で、凛々しい顔をしているが、目には優しさを湛えている。


「奏さんには私の方がいつも気にかけてもらっています。

おかげさまで楽しく過ごさせてもらってます」

「今度、私ー! 私は妹の天音です。中二でバスケ部です。

羽山さんは好きな女性のタイプはどんな人ですか?」


 天音は髪型は外にはねたボブで顔はとても可愛く整っている。

人懐っこい表情をしている。


「こ、こら天音。そんなこと聞いたら失礼でしょ」

「はは、いいよ、奏。

天音ちゃんでいいかな」

「はい、それでいいです」

「好きなタイプは、優しくて前向きになれる人かな」

「お姉ちゃんはどう思いますか?」

「え?」

「天音!」

「ああ、うん。奏はとても素敵な女性だと思ってるよ」

「だって、よかったねお姉ちゃん」

「もう、やめてよ」


 奏が真っ赤になってうずくまっている。

涼も赤くなって、そっぽを向いた。


それをニコニコ見守っていた、初音が声をあげる。


「はいはい、それじゃあ、ちょっと早いけど食べましょうか。

話はその時にね。奏と天音は手伝って。

涼君は進さんと一緒にソファーで待っててね」

「はーい」

「もう、天音ったら調子いいんだから」


 涼は、ソファーの空いているところに座る。

すると、進が話し始める。


「涼君、奏から聞いたよ。強引なナンパから助けてくれたんだってね」

「いえ、たまたま居合わせたんで」

「もっと早くお礼を言いたかったんだけど、遅くなって悪いね。

娘を救ってくれてありがとう」


 進が頭を下げた。


「頭を上げてください。お気持ちは受け取らせていただきます。

ですが、そう改まられると、ちょっと困ります」

「そうか、すまないね」

「いえ、でも奏さんを助けられて本当に良かったと思っています」

「君は、賢治くんに振られて落ち込んでいる奏を励ましてくれているとも聞いてるよ。


 知ってると思うけど、奏と賢治君は幼稚園の頃からの付き合いで、姉弟のような関係で長いこといたんだけど、そのうち付き合いだしたんだ。

でも私がみてる限り、最初の頃は奏は姉弟の関係を崩さなかったんだけどね。

最近は気持ちが変わったのか、本当に男性として賢治くんを好きになっていたようなんだ。

そんな時にあんな振られ方をしたから、本当に心配していたんだ。

立ち直れないんじゃないかってね。

でも直後に君が奏を助けてくれて、話も聞いたり遊んでくれたりしていたから、ひどく落ち込んでいる様子もなくて、立ち直りも早かったみたいなんだ。

まだ完全に立ち直ったわけではないと思うけど、それでも今の状態になれたのは君のおかげだよ。

本当に感謝しかないよ。」


そう言われると、涼は照れ臭くて頬をかく


「そう言っていただけると、奏と友達になって良かったなって思います」

「これからも、仲良くしてやってくれたら嬉しいよ」

「はい、もちろんです」


 すると、初音から声がかかる。


「そろそろ、準備できたから座ってー」

「お、できたみたいだね。行こうか」

「はい」


テーブルに行ってみると、豪華な料理がテーブルに所狭しと並んでいる。


「おお、すごい」


ローストビーフに鯛のアクアパッツァ パエリア グラタン カプレーゼ サラダなどがある。


「涼君はここね」


 奏と天音の間を指定された。

奏は言うに及ばず美人だが、天音もとても可愛いから、少し緊張して席に着く。

すると、初音に揶揄われる。


「あら、涼君。両手に花ね」


 その言葉に涼は赤くなって下を向く。


((かわいい!))


 奏と天音は同時にそう思った。

2人共いじりたい気になっている。

やはり姉妹だ。


「涼君、そんなに赤くなってどうしたの?」

「か、奏!」

「どうしたの羽山さん。照れちゃってるの?

美人姉妹に挟まれるって、どういう気持ち?」

「あ、天音ちゃん」

「あ、そうだ、涼君。私がアーンしてあげようか」

「っ!」

「それじゃあ、お姉ちゃんの次は私がしてあげるね」

「え……じ、自分で食べられるから」

「えー、いいじゃない、涼君」

「つまんないー」

「2人ともその辺にしなさいよ」

「初音さん」

「私がアーンするわ」


 涼が、呆気に取られていると


「「「ふふふ、かわいい」」」

(からかわれたー。やっぱり家族だ)


 涼がチラと進をみると、そっぽを向いていた。


(見捨てられた……)


涼がガクッと肩を落とした。


「さあ、これくらいにして、涼君遠慮しないで食べてね」

「「「「いただきます」」」」


 料理はとてもおいしかった。

どれも素晴らしく、家庭料理に飢えていた涼の箸は止まらなかった。

その姿に栗山家の人々は終始笑顔だった。


 途中、本当に奏がローストビーフを涼にアーンをしようとした。

それをみた天音もグラタンをアーンしようとしてきた。


「あら、涼君もう逃げられないわね」


 初音にまで逃げ道を塞がれてしまった涼はやけになって、奏のローストビーフを食べ、急いで飲み込んだ後、天音の

グラタンも食べてしまった。


 その後は羞恥で3人とも赤くなってしまった。


(えへへ、涼君にアーンしちゃった)

(羽山さんにアーンするのいいかも)

(あらあら奏ったら、賢治くんにもやってなかったと思ったけど)

 

 完全に蚊帳の外になった、進は少し仏頂面だった。


 会話もとても弾んだが、食事の時は涼の家庭環境には触れられなかった。


(重い空気にならないで済んだ。助かったな)


 明るくて楽しい食事の時間は涼にとって久しぶりだった。


(本当に来て良かった)

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