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幼馴染に振られた少女と家族を失った孤独な少年の慰め合い同盟〜いつの間にか離れられなくなってしまって〜  作者: めのめむし


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第25話 いやだけど

 放課後

涼は帰る準備をしていると、奏に声をかけられた。


「涼君、今日うちに行っていい?」

「いいけど、なにするんだ?」

「えへへ、また1on1やりたいんだ」

「ああ、いいね。俺もやりたかったんだ」

「じゃあ、決まりね。私、一度うちに帰ってから、着替えて自転車に乗っていくね」

「ああ、分かった」

「じゃあ、ちょっとまどかと話があるからまた後でね」

「分かった、俺は先に行ってるよ」

「うん」


奏が離れると、すぐに3人の男子生徒がきて取り囲んで来た。


「ちょっといいか羽山」

「ん? なんだ」

「ちょっと、ツラ貸せよ」

「え? いやだけど」


 断られると思っていなかった、3人は目を剥く。


「は? なんでだよ」

「それはこっちのセリフだろ。なんで断られないと思ってる?」

「いいからこいよ」

「やだって言ってるだろ」

「なにビビってんだよ」

「安い煽りだな」


 涼の、軽い煽りに3人は見事に引っかかってしまい、口調をさらに強める


「なっ、調子に乗ってんなよ」

「乗ってないけど。って、いうか3人いて調子に乗ってんのはそっちじゃないか?」

「あー、なんでこねーんだよ」

「言う義務ある?」

「クソ陰キャのくせに」

「陰キャ関係ある? っていうか、いきなり3人でツラ貸せって、誰が貸すのかな?」

「舐めてんのか?」


 3人のイライラは間も無く頂点に達する。


「舐めてほしくないなら、舐められないようにするべきだよ。

人数揃えて上から目線で、理不尽なこと言ってれば、そりゃあ人間として舐められるよ」

「調子付きやがって」

「なんか、同じようなこと言ってるけど、このままじゃ埒が開かないから言うけど、これから用事があるんだよ。

君たちに付き合っている暇ないな」

「用事ってなんだ」

「言う必要ある?」

「栗山さんと遊ぶのか?」

「だから言う必要ないだろ」


 3人は明らかに焦ったように言う。


「いいか、栗山さんと遊ぶのはキャンセルにしろ。

お前みたいなクソ陰キャと栗山さんが遊ぶなんてお情けに決まってる。

だから身の程を知って、今日は遊べないと謝ってこい。

そうすれば、栗山さんに迷惑がかからない」

「ふーん」


 考えている様子の涼に3人はやっと話が通じたと思い、ニヤリと笑う。


「分かったら、さっさとくり」

「おーい、奏」


 3人が言いかけている途中で、涼が大きめの声で、奏を呼んだ。

奏はなにがあったのだろうと涼の方を向いていたから、すぐに反応する。


「なに、涼君」

「俺と、遊ぶのって迷惑か?」

「え? なにそれ。誰が言ったの?」

「この3人。俺と遊ぶのは奏のお情けだから、身の程を知って、今日はお断りしろってさ」


 3人は、顔を青ざめさせている。


「な、羽山、てめ」

「どう言うことなのかな? 佐竹くん鹿島くん佐々木くん」


奏は、顔を怒らせて問い詰める


「い、いやこれは、その」

「鹿島くんは今朝も言ったよね。私の友達は私が決めるって。

他の2人もなんで、私と涼君の仲を邪魔しようとするの?」

「いや、こいつじゃあ栗山さんには相応しくないから」

「なにそれ?私に相応しいかどうかを、なぜあなたたちに決められなきゃならないの?

なぜか教えてもらえる?」

「い、いや」

「いやってなに?」

「……」

「じゃあ、本当はいやだけどあなたたちに合わせて、相応しいかどうかで考えてみましょう」

「そうだよ、よく考えてみたら相応しくないって」


 奏が冷たい目で睨む


「黙って」

「うっ」

「涼君は、成績もいいし、強いし、優しいし、私のこと守ってくれるし、

人を貶めたりしないし、私のことを真摯に考えてくれるし、

いやな顔ひとつしないで話を聞いてくれる。

それにはっきり言って悪いけど、あなたたちよりもイケメンよ。

もっと言うなら」


 3人は、言われて呆気に取られて青い顔をしている。

逆に涼は真っ赤な顔をして言った。


「か、奏。その辺で……流石に恥ずかしい」


 奏が熱くなりすぎて自分の言った言動に気づき顔を赤くさせる。


「あ、言いすぎた……かな」

「……口説いてんの?」


 そういうと、奏はイタズラっぽく笑い、


「……さあ、どうでしょう? どう思う?」


 上目遣いで涼を見てくる。


「い、いや」


 涼は目が離せなくて、しばし見つめ合う。


 そこに、間に入ってくるまどか


「いきなり、いちゃいちゃしないの? なにしてたか忘れちゃったの?」


 そう言われて、ハッとして周りを見ると、クラス中が興味深そうにこちらをみている。

それをみて奏は恥ずかしくなって両手を頬に当てる。

涼は下を向いて、顔を見られないようにする。


 まどかが3人に向けて続ける。


「奏と涼君は、仲がいいの。邪魔しないであげてもらえるかなぁ」


「「「あ、ああ」」」


 3人は奏の言動に絶望の表情を浮かべていた。

そして、誰からともなく、力無く教室から出ていった。


「2人して、いつまで惚けてんの?」


 まどかの言葉に2人して、ハッとする。

そして、涼が口を開いた


「奏もまどかも、ありがとう。絡まれて面倒だったんだ」

「いいよ。今度絡まれたらまた言って。撃退するから。

もっとも涼君だったら物理的に排除することも簡単だろうけど」

「へー、涼君って強いんだ」

「うん、空手の鍛錬もかかしてないからね。ね、涼君」

「奏がなんで得意げなのかって感じだけど、そうなんだね」

「見てみて、この手すごいでしょ」


と、涼の手を奏がとり、拳の部分をまどかに見せる。


「うわ、すごい硬そう。触っていい?」

「いいよ」

「なんで奏が言うんだ? 触っていいけど」

「おー、硬い。これはどうやって鍛えたの」

「それは……」


と、話しているうちに時間が過ぎてしまい、


「あ、奏、そろそろ行かないと遅くなる」

「そうだね。すぐ行こう」

「涼君も途中まで一緒に帰ろう」

「ああ、分かった」


 そういうと、3人は教室を出て行った。


 その後、涼の家で1on1をする2人。

涼もだいぶ慣れてきているが、まだ奏のテクニックには追いつかない。


「うわー、やっぱ奏はうまいなぁ」


 コートに尻をついて涼が言う。


「でも、涼君は成長が早くてびっくりよ。すぐに追い抜かれそう」

「いや、それはないだろ。奏はスポーツ万能だからな」

「でも、鈍った体力を取り戻さないと、ついていけなくなるわ」

「じゃあ、毎日一緒にトレーニングする?」

「え、いいの?」

「いいよ。でも俺のトレーニングはバスケだけじゃなくて、色々するけどね」

「いいよ。私も色々やってみたい」

「分かった。じゃあ無理ない程度においでよ」

「うん、それじゃあ、明日から来れる日は来るね」


 奏は嬉しそうにいう。

しばし無言の時間を過ごし、奏が口を開く。


「私ねー」

「うん」

「決めたんだ」

「なにを?」

「私が涼君と仲良くしてると、よく思わない人がいるでしょ」

「いるね。奏は人気者だからな。やっかみを言ってくるやつはいるよな」

「うん、だからね、もっと涼君と仲良くしようと思って」

「え、なんで?」

「だって、学校でも仲良くしていれば、文句を言う人もいなくなってくるでしょ」

「まあ、そうだな」

「だけど、心配なのは、最初のうちは絡んでくる人がいるかもしれないことなの」

「そんなことか。まあ、俺は大丈夫だよ。

そんなにおとなしくないから、言われたら言い返すし、言われるからって、奏との友達をいやになるってことはないから」

「ありがとう。それだけが心配だったんだ」

「そんなこと気にしないでな」

「うん。じゃあ明日から涼君の席まで頻繁に行っちゃおう。まどかも来るかもだけどいい?」

「いいよ」

「学校が楽しみになってきたよ」

「俺もだよ。それじゃあ、ストレッチでもして、ちょっとお茶でもしようか」

「うん」


 それからお茶をして雑談してから、涼は奏を家に送って行った。


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