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幼馴染に振られた少女と家族を失った孤独な少年の慰め合い同盟〜いつの間にか離れられなくなってしまって〜  作者: めのめむし


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第104話 由佳、帰る

 由佳と由理恵は結局泊まらずに帰ることになった。


「泊まりたかったけど、明日外せない用事があって、帰らないといけないの」

「そうなのか、じゃあ、仕方ないな」


 由佳は奏と天音を見て言う。

3人はこの数時間で、かなり仲良くなっていた。


「奏さん、天音さん」

「由佳ちゃん」

「由佳さん」

「ごめんなさい!」

「えっ?」

「どうしたんですか?」

「感じ悪かったことしてた自覚はあるの。お兄ちゃんをどうしても連れて行きたくて」

「気持ちはわかるから気にしてないよ」

「そうですよ」

「嬉しいです。これからは仲良くしてくれませんか?」

「いいよ。Wine交換しようか?」

「はい」


 奏と天音と由佳がWineで繋がった。


「お兄ちゃんの情報とかもらえたら嬉しいです」

「由佳さんもお兄ちゃんの過去のこととか教えてください」

「天音ちゃん、敬語じゃなくていいよ。由佳ちゃんって呼んでね」

「うん、分かった。由佳ちゃん」

「由佳ちゃんも私に敬語じゃなくていいよ。奏ちゃんって呼んで」

「うん、奏ちゃん」

「3人でグループ作ろうか」

「あ、いいね」


 涼が口を出す。

「あ、じゃあ、俺もグループに入れて」

「それはダメだよ」

「お兄ちゃんは遠慮して」

「お兄ちゃんはダメ」

「ダメなのか」


 目に見えて、涼が落ち込んだので、奏がため息を吐いて言う。


「もう、涼君。3人のグループの他に4人のグループも作るから、それならいいでしょ」

「そうだね、そうしようお兄ちゃん」

「いいよ、お兄ちゃん」

「おお、ありがとう。それで頼むよ」


 由理恵が車に乗り込み、由佳に声をかける。


「そろそろ行くわよ」

「はーい。それじゃあね。みんな」

「うん、じゃあね由佳ちゃん」

「由佳ちゃんバイバイ」


 由佳は涼に振り返り、涼の胸に飛び込んできた。


「お兄ちゃん、今日は一緒にお風呂入って、一緒のお布団で寝たかったのに、残念。

お兄ちゃんも残念だったでしょ」

「ちょっとな」

「本当はすごく残念なくせに」

「まあ、そうだな」

「じゃあね、お兄ちゃん」


 そう言って、涼の頬にキスをして車に乗り込んでいった。

車が見えなくなるまで,見送った3人だったが、それから奏と天音がジト目で涼を見ている。


「涼君はキスされてよかったね」

「あれは、昔からする挨拶みたいなもので」

「涼君はどこの国の人なのかな?」

「お兄ちゃん、由佳ちゃんと一緒にお風呂に入ろうと思ってたの?」

「いや、あれは昔一緒に入っていただけで」

「いつまで入ってたの?」

「中学校になってから、俺は落ち込んでたから、そういうのはなかったな」

「じゃあ、小学校の高学年でも一緒に入ってたの?」

「まあ、そうなるかな。妹みたいなもんだし」

「アウトだよ、お兄ちゃん」

「それはダメだよ。涼君」

「いや、そうは言っても、一緒に入らないと、由佳が寂しそうな顔するから」

「じゃ、じゃあ、涼君は私が寂しそうにしたら、一緒にお、お風呂に、は、入るの」

「お姉ちゃん、落ち着いて」

「奏、落ち着けよ」

「な、なんで、私がおかしいみたいになってるかな」

「まあ、いいよ。今日は私がお兄ちゃんと一緒にお風呂に入るから」

「何がいいのよ、天音!」

「流石にダメだろ」

「由佳ちゃんが良くて、同じ妹の私がダメなわけないでしょ」

「天音、それは許しません」

「じゃあ、お姉ちゃんも一緒に入る?」

「えっ……」

(涼君と、お風呂? 一緒に? いいかも。でも、恥ずかしい、涼君に色んなとこ見られちゃう。

今日、可愛い下着着てるかな。それより心臓がもたないかも)


 天音が、奏の耳に口を寄せ、小さい声で話す。


「何想像してるの? お姉ちゃんって、むっつりだよね」


 天音がニヤッと笑う。


「天音、からかったでしょ」

「あはは、お姉ちゃん、赤い顔ー」


 2人は追いかけっこをして家に入って行った。

涼は微笑ましく思って笑う。


「さ、俺も中に入るか」



 由理恵の車の中。


「由佳、泣きたいなら、思いきり泣いてもいいわよ」

「ふえーん。振られちゃったよ」


 しばらく、由佳は泣き続けた。

やがて泣き終わった頃、由理恵が口を開いた。


「でも、まだ由佳自身が振られたわけじゃないでしょ」

「でも、奏ちゃんに敵わないよー」

「奏さん、綺麗で可愛かったもんね」

「性格も良かったから、お兄ちゃんと一緒にいても文句のつけようもなかったの。嫌な人だったら良かったのに」

「そうね、素敵な子だったわ」

「あんなの反則だよ」

「でも、涼君が心配だったけど、安心したわ。あの子達がいればね」

「うん、お兄ちゃんの心配はしなくて良くなった」

「由佳も頑張ってね」

「私、もうお兄ちゃんと結婚できないのかな」

「それはわからないわ。涼君が選ぶんだから」

「ずっと好きだったのに。……そっとしておくなんてしなければ良かった」

「でも、それは難しかったんじゃないの? 49日にあった時はまだ引きずっている様子だったでしょ。

あの直後に奏さんと話すようになったみたいだし」

「うん、絶妙のタイミングで奏さんと会ったみたい」

「それじゃあ、遠く離れたこちらでは無理でしょうね」

「お兄ちゃんと奏ちゃん、運命みたいじゃない」

「そうかもしれないわね」

「もう、他人事みたいに言わないでよ」

「もし、奏さんと付き合ったとしても、それがずっととは限らないわ。

もし、そんな時が来たときに、あなたにその気があれば、近くで力を尽くしてあげればいいんじゃないの?」

「うん、頑張る」

「そうね、頑張ってね。でも、違う相手を探してもいいのよ」

「お兄ちゃんよりいい人なんて考えたくもない」

「うふふ。あなたはそうよね」

「お兄ちゃんに会いたくなったな」

「もう? 泊まってくればよかったのに。そのつもりだったんでしょ」

「泊まったら、泣いてだだこねそうだと思ったの。でも失敗だったな。泊まればよかった」

「またすぐに来ればいいわよ」

「そうだね」



 由佳は、眩しいくらいの西陽に照らされて、金色に染まった景色をひたすら眺めていた。

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