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ネット最底辺  作者: クルッポー
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1章 2 現実感

1話 現実感

「IIOの世界へようこそ。ユーザーネームを設定してください」


ふと気がつくと白っぽい多彩な色で彩られた白い空間に立っていた。


そして、どこからか声が聞こえてくる。


ここが…


ゲームなのか?


…まぁこんな空間、現実にありえないからゲームなのだろうが、にしてもすごいリアルだなぁー、感心するな。


「ユーザーネームを設定してください」


再度、透き通るような声がした。


ユーザーネームか…自分の名前ってことだろう?


じゃあ、と謎に目の前に現れた空色のガラス板のキーボードに


[佐々木 喬太郎]

と打ち込んだ。


「ユーザーネームを認証中…完了しました。」


「IIOの世界へようこそ。この世界は雄大な自然、巨大な都市、そこに潜む大小なるダンジョンがあります。さらに動物や魔物などもいます。他にも、様々な武器を自由に使うことができ、大量の敵を一気に倒せる剣術、魔術など、パーティを組むことによってさらに色々な展開を望めます。」


と、セリフと共にアニメーションが目の前で流れてきた。


…へぇ〜!


けっこう綺麗だなぁ


おぉ!魔術とやらが何か分からないが氷とか炎が宙を美しくて舞っている。綺麗だしカッケェ!


「これよりチュートリアルを選択することが可能になります。チュートリアルではアイテム選択のやり方や戦闘方法などの行為を学ぶことができます。 チュートリアルをプレイしますか?」


ふむ…


チュートリアルねぇ…


別にいいや。俺、体で覚えるタイプだし。


液晶パネルの<いいえ>を軽く押した。


「それではこれよりIIOの世界へ転送させて頂きます」


プワァー


自分の周りに白い粒が点々と現れて次第に増えていく 気付けば白しか見えなくなる


どこに行くのだろうか ワクワクが止まらない


ふいに視界が色を取り戻していく


そこには…


「うおぉ…!」


そこには石レンガで敷き詰められた道路、西洋の中世ごろのような建物


そして、後ろを振り返ると見える樹齢五百年あたりのとてつもなく大きい樹木


爽やかな風が服をなびかせる


心地よい。とても居心地が良い。初出勤はそれなりに緊張したみたいで、肩の力が抜かれリラックスしていくことが分かる。


「ん〜いい天気だねぇ…痛っ」


手を頭の上で伸ばしていると背中に誰かがぶつかった…誰だぁ?


そのぶつかった人は何かに夢中と言うか、焦っているような顔をしてこちらを気にすることなくどこかへ向かって走って行った。


ふと周りを見渡すとほとんどの人がおんなじ方向に向かって走ってく


…?何かがあるのだろうか?ま、今はどうでも良い。


りんごが食べたい


この衝動に駆られている


皆が走り去っていくその反対側、様々な店と思わしき建物が広がっているのだが、そのセンターにある店のりんご


何故か食欲が湧いてきた


あるんだよなぁ、たまにこんな動機もクソもない衝動が。


…食べよ


「すみません、このりんごください。」


「…百ゴールドだ。…」


「…?なんですか?それ、からかってます?」


りんごを売ってる大柄な男がそんな意味不明なことを言う。


下に見てんのか?


「え?…あぁ、おめぇ知らねぇの?」


「…なんだよ」


「うっ…おめぇガラ悪いな?怖ぇよ。ゴールドはこの国の共通通貨だ。金払う気ねぇの?…帰れ、うちはそんなに裕福じゃねぇ」


あ、そうだっんだ


それは知らなかった。いいこと聞いた。別にこの人は俺を下に見たわけじゃないな。


「すみません、少し警戒してしまって…お金は…無いかもしれないので帰ります」


「あのさ…いや、別にいいんだけどよ…なんでインベントリを開かねぇ?お前多分プレイヤーだろ?」


「プレ…?イン…なんですかそれ?」


「お前まじか…いいよ、教えてやる。その代わり情報代でりんご10個買ってくれ。多分お前多少は金あるはずだ」


「教えていただけるんですか?ありがとうございます」


さて、ゴールドとイン…イン…まぁいい、を教えて貰うとするか。


っと、その前に…


「あと、ちょっと疑問なんですけど、あなたAIですよね?世界観壊していいんですか?」


「ん?あぁ別に、そこの木に現れる人がなんなんだって気になってな…勘違いするなよ?他のNPCは疑問にすら感じねぇ。プレイヤーか、どうなのかも知る気がねぇし存在自体知らねぇ。」


このAI…!シンギュラリティに踏み込んでいる…!


危険だ


明らかに危険だ。そもそもAIはこんなに進歩しているのか?ニュースでは、シンギュラリティを迎えるのは何十年も先と言っていた。


そもそも、AIにこんな高度な意志を持たして良いのか?


このゲーム、本当に楽しませるだけが目的なのか?


……んー…ま、俺がどうこうとか出来ないし、


ほら!これはゲームだ。楽しまなくてどうする


「んじゃあ教える…ん?お前そんな無知なのにチュートリアルも受けてないのか?」


「あぁ、あはは…体で覚えるかな〜って」


「「…」」


「…まぁいいか。で、え〜とだなぁ…確か…親指を握り拳の内側に入れて…軽く二回握る。やってみてくれ」


言われたままに手を動かしてみると…


「うおっ」


急に目の前に青い壁が出来た。なんだこれ


「あー…出たか?俺見えねぇんだよなぁ。その青い板にインベントリが写ってるはずだ。ほら、左側にステータス書いてあるだろ」


「すて…?」


「赤子と話す態度で話したほうがいいのか?」


基本用語らしいのだが何一つ分からない俺に相手はとうとう心配になって来たようだ。


…あはは…なんだか申し訳ないな…


まぁいいか、目の前に現れた壁には何やらこの商人が言いたかった事なのか、文字が書かれている。


内容はHP557 MP36 SP824 1000G 装備なし


「エス…ピー…ジー…」


「SPはスタミナ。走ったら疲れるだろ?あれのことだ。Gは金だ。いくら持ってる」


「えと…1000ジーですかね」


「ゴールドっつうんだよ。んじゃそれりんご代、よこせ」


「…どうやってとり出すのでしょうか…」


「取り出すというか、俺が要求したら取引画面が出るはずだからそれに書いてある、[はい、いいえ]のボタンの[はい]押せ」


すると、青い壁、正確には半透明な空色の壁にの手前に新たに現れた[取引]と書かれた壁が現れた。


いわれるがまま、取引の[はい]と書かれたところに触れると…



1000Gと書かれた壁の数字が900...800...700と減っていく!


ついに0のところでピタッと止まった。


「…もう説明めんどくせぇからこれで終わらすわ。お前のインベントリ…そのパネルの中にりんごを9個入れてやった。そいつはタップすれば出てくるよ。最後の一個はそのままくれてやる。あとはお前が考えろ。」


そういうと、りんごを1つこちらに投げつける。


「ありがとうございます!」


「いいよ別に……あっ」


その男は額に汗を一筋垂らし、少しこちらに哀れみの表情を向ける。何だ?


「お前、今、金、いくつだっけ…」


「え?0ですけど…」


「…すまねぇ」


「あっちのプレイヤー…お前みたいなやつがこぞって向かってる方向あるだろ?そいつらは武器屋で武器を買っているんだが、金かかるんだよなぁ」


「あっ…金…0…」


「…俺の剣…よこすよ。どうせ使わねぇし」


ゴソゴソとその男は足下を探し始めた。


「いいんですか?」


「しゃあねぇしな。た、だ…だ。よっとぉ!その代わりに俺の商品を週一で買ってくれ。」


「分かりました。ありがとうございます!」


そして、シンプルだけどかっこいい剣を取り出してこちらに差し出す。


「持ってみろ」


剣の持ち手を掴み、相手は手を離す。


「うおっ!」


急にずっしりとした重量が一斉に腕や肩、手の筋肉に圧力をかける。


「重ッ…!」


カンッッ!!!キーーーーーン!!


負荷に耐え切れなかった筋肉は抵抗をやめ、情けなく剣先を地面にぶつける。


「おいおいっ…!大事に扱えよなっ!」


「すっ…すみませんっ!!」


よろっ よろっと何とか剣を前に向けて持ち、なんとか剣道のように振りかざす。


ビュンッ! ガチンッ!


「ッ!!いッ〜〜〜!!!!」


再び地面にぶつかった衝撃で今度は腕に激しい衝撃と強い痺れが加わる。…いや痛って!


「…大丈夫かよほんとによ…」


流石に見てられなくなったのか心配そうな顔で、俺の近くに歩み寄り剣を持つのを手伝ってくれる。


「いいか?おめぇはまだ剣を振れそうにねぇから魔物は突き殺すんだ。それでな…」


「ちょっ、ちょっと待ってください。魔物居るんですか!?」


「当たりめぇだろ?お前それが目的じゃ無いなんていったい何が目的で来たんだよ!ここに!」


「目的…目的か…目的、」


「あぁもぉ!お前の相手疲れたから俺の話聞いて後に考えろ!いいか!?ここらの魔物は小さい!しかも動きも遅い!だから、剣の先で突き刺すんだ。剣は下を向けたままでな。あと!もうちょっと筋力上げてから剣を振りやがれ!終わりだっ!」


「あっ、ありがとうございました!」


「ん、…まぁ、またこい。」


俺はあの場所を去り、あの男…そういや名前聞いてなかったな…ま、いいや。


そう、あの男に魔物の狩り場所を教えてもらった。


あの男曰く、南の方向、あの木に現れた俺みたいにゲームをしてる人たちが向かってる方向にこの街の出口があるらしい。


どうやら、街を抜けたら魔物が現れるそうだ。


この街の近くの魔物はとんでもなく弱いらしいから、大丈夫であろう。


…しかし、この街をよーく観察するとこの街中世の西欧と現代の建物が入り混じっているっぽい。一見めちゃくちゃではあるがどこか神秘的で、どこか懐かしい気分を彷彿とさせる。


「…っと」


街の出口には白く塗装された模様の彫られた4〜5メートルほどのアーチがあり、俺はそこに行き着いた。


背中に斜め掛けしてある剣を横目で確認し、そのアーチを潜り抜ける。


魔物って何が出るんだろうなぁ


スライム?うさぎ?猪?クマ?ゾンビ?オーク?何が出るか分かんなくてメチャクチャワクワクする。


少し歩いていくと周りの雰囲気がガラッと変わり、霧が立ちこみ木々に包まれた。


何かでそうな予感がプンプカする…なんかもうすでに面白れぇ…!


しばらく歩くとふいに「ガサッ!ガサガサ!」と草木が切り分けられる音が聞こえてきた。


「うおっ!なんだ!?」


いきなり鳴った音に肩を跳ねさせるのとは別に何かが道に姿を現し、俺の行手を阻む。


「なっ…」


こいつは……!!

喬太郎のいる世界は今より少し先の時代です。

喬太郎は少年時代、ボーっとしていることに全力を注いでいました。


●F3ぐらいの知識の模様(ちょっと違う)

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