訓練場
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「それで? 皆で集まってやるとして、どこでやる?」
円陣から解放された一同は訓練場の話になっていた。
「そうだよな、場所決めないと」
「訓練できそうなところって言われてもね……」
座学だけが課題ではない。
もちろん休みの間に体力が落ちてしまうなんて言うことは論外であるし、1学期でつかめた何かがある者は余計にその感覚を忘れる訳にはいかないのだ。
悟であれば試験では水気を操る術を使っていたし、譲も木の霊力を纏わせた札をいくつも操っていた。
それらは実践に身を置いたからこそできる様になったもので、使わないまま時を空けてしまうと体が忘れてしまう恐れもある。
継続とは大事なものなのだ。
しかし対隠の術を民間人の居るところで訓練するわけにはいかない。
葦の矢は休み期間も開いているのだがせっかくの自由期間、いつも同じ場所で訓練するよりかは他の環境でも訓練しておいた方がいい。
「ちなみに明治たちはここ来る前はどこで訓練していたんだ?」
悟が疑問を口にする。
葦の矢に入学する前にそれぞれが修行した場所があるはずだ。
それに十二支の家の訓練場ともなれば、学校に引けを取らない場所のはず。
柚月もその話題には興味があった。
思わず耳を傾ける。
「……あ~。そうだな。俺ら分家筋は本家のような広大な敷地とかなくて、意外と狭いんだよなぁ。ここの方がのびのびやれるとは思う」
「そうだねぇ。あんまり満足に練習できないよねぇ」
「そうなの?」
二人の答えに思わず口を挟む柚月。
心底意外だった。
「そりゃあもう。じゃなかったら学校に入学しないで家で訓練を積むだろうよ」
「そうなんだ。なんだか意外だね」
「よく言われるんだぁ。分家筋とはいえ十二支の関係者だから家も訓練場も凄いんじゃないのかって」
「そうそう。本家ならまだしも、俺らにゃそんな待遇とかないよな」
「ねぇ~」
明治と友里が顔を見合わせて頷き合っている。
どうやら話の通り、みんなで集まって訓練できるような場所ではなさそうだ。
だが、困った。
いろんな環境で訓練しようにも、場所が思いつかない。
悟と譲の話でも、集まってやれるような場所は知らないということだった。
「逆に、皆休みの間はどうしようと思っていたの?」
「え、普通に家帰ろっかなって」
「あたしもー」
「俺も」
「……まあ」
譲以外は家に帰るつもりだったらしい。
なんだか含みのある言い方が引っかかったが、深くは追及しない方がよさそうだ。
「まあ、やっぱりそうなるよね。僕もそのつもりだったし……。あ、そうだ」
ふと頭にある考えが過った。
寺だったら、いろんな訓練できるし、森も山もあるのだからいろんな環境下での訓練と呼べるのではないか。
(うん。我ながら妙案では?)
柚月は一つ頷くと口を開いた。
「ねえ皆さ、家来るつもりない?」
「え、柚月の家って……」
「うん、寺」
「「「「いく!!」」」」
凄い食いつきだ。
特に今まで傍観していた譲の食いつきときたら、誰よりも前のめりになるほどだった。
皆乗り気だ。
これなら意見がまとまりそうである。
「じゃあ、聞いてみるよ」
柚月は4人の顔を見回すと頷いた。
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