4 幼馴染の苦悩
今回はジオル視点です。狂気っぽいかもです。
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俺の国、ベルー国は豊かで平和な国だ。だが、権力争いはそんな国でもない訳ではない。
俺は第1王子であり、皇太子の宣旨を受けた者でありながら、ライバルとなり得る弟がいる。
第2王子ベルゼ。ベルゼの母レアは元々側室で弟を産んだが、俺の母フローラが亡くなった為、繰り上がって王妃になった。ちなみに第3王子のアルスは俺と同母の兄弟だ。
つまり、現王妃の子はベルゼな訳だ。現王妃の子と言う立場は強く、俺の廃太子とベルゼの立太子を望む声は常にあった。その事もあり、俺側の者たちは父王に強い影響力を持つアディード公爵家との縁談を進めた。その甲斐あって俺は18になっても皇太子の地位にいる。そう、アディード家のリンダとの婚約は政略的に必要なものなのだ。
そう知っていながら、マデリーンに出会い真実の愛を知ってしまった。マデリーンの事しか考えられない。マデリーンに振り向いて欲しい。
ドンドンと胸を叩く音。正気になれともう一人の俺が叫んでいる。
ダメだ。俺にはマデリーンが必要なんだ。そのためにリンダは邪魔なんだ。
ドンドンと胸を叩く音。違う違う違う!狂う狂う狂い咲く!ああ、リンダ、リンダ、マデリーン!失うぞ!!失うぞ!!リンダを王位を全てを失うぞ!!心の正気が言う。マデリーンだって手に入らない!!地位も名誉も愛も全てを失うぞ!!
ああ、ああ、嫌だ嫌だ。そんなのは嫌だ。
なのに、洪水のようにマデリーンへの想いが募る。リンダが邪魔だ!あの女さえいなければ、マデリーンも地位も名誉もお前のものだ!排除せよ!リンダを排除せよ!と何かが叫ぶ。お前は何だ?なぜこんなにも狂おしく、俺を破滅させようとする?ああ、やめろ、やめろ、首が絞まる。首が絞まる。やめろやめろやめろ!!手を離せ!!苦しい。苦しい。苦しい。苦しい。