3 マデリーンはお友達
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待ってました!!
つ、い、に、マデリーンが来てくれました。待っていたわ。私がボロボロ泣いてからもう一週間も経っている。あれから私は泣いては風呂に入り、通信魔法の勉強をして、時間になったらご飯を食べて寝ると言う生活を繰り返していた。
少しづつ泣く回数は減ってきたけど、リンダとしては、やっぱりすごーくショックだった訳で、それで女子高生、秋月桜を作っちゃったのかな?桜こそ幻?で、ゲームの記憶は予知夢なんだろうか?実際マデリーンは来てくれたし。
「マデリーン様、ようこそお越しくださいました。」
私は、マデリーンを迎え、目一杯の笑顔を向けた。
「リンダ様おやつれになって……どうかお許し下さい。私のせいでリンダ様とジオル様との仲がおかしくなったと聞きました。私、私、どうしたら良いか……」
可愛い!!光に透ける金の髪、青い瞳は儚げで、白い肌にピンクの頬。整った爪は健康的な桜色。美少女とは彼女のことを言うんだわ。おまけに料理上手で裁縫上手ジオルでなくても好きになって当然だわ!!
「マデリーン様お気になさらないで。ジオル様の片想いだと言うことは分かっていますわ。それに私はもう吹っ切れておりますの。ジオル様は私を捨てられました。これから私は別の幸せを探します。こんな時ですけれど、マデリーン様、よろしければお友達になってくださらない?私、新しいお友達が欲しかったの。」
確か、こう言うセリフだったはず。ゲームでリンダにこう言われた時は驚いたから記憶にはあるんだけど、ぶっちゃけマデリーンをアルスとくっつける過程でしかなかったから、リンダのセリフちゃんと覚えてないのよ。
「ああ、リンダ様泣かないで……」
マデリーンの顔が至近距離に!あ、泣いてましたか?うーんやっぱり心は傷ついてるのね。
あ!涙を拭かれて頬にキスされた!!今度は桜の感情が大爆発ですよ!ドッキンドッキン!!ヒロインは正義!!ヒロインにキスされて落ちないキャラなんているの?!
「もちろん、お友達にしていただけるなんて光栄ですわ。実は私はアルス様をお慕いしているので、ジオル様とのことは本当に世間の誤解なのですわ。リンダ様がお望みならジオル様との復縁のお手伝いをしたいと思っております。」
わ、私はマデリーン様をお慕いしてますけどね。いや、マデリーンの相手はアルス!!あのカップル最高なの!!是非ともあなた方には幸せになって貰いたいし、このルートのジオルは性格悪すぎるから自国の王にはなって欲しくないし、復縁するつもりは一切ありません!!幼馴染に殺したいほど嫌われたのはショックだけど、そろそろ立ち直らなきゃ。私は、マデリーンの手をぎゅっと握り宣言した。
「マデリーン様。ではこれから私たちは友達、いえ親友ですわ!ジオル様とのことは本当にもう良いのです。復縁なんて望みませんわ。それより私に貴方とアルス様のお手伝いをさせて下さいな。これでも公爵令嬢ですのよ。色々情報は持っていますわ。これから分からない事があればなんでもお聞きになって。」
「まあ、なんでお優しいの。不思議ですわ。リンダ様のようにお美しくて、お優しくて、今を時めく公爵家の御令嬢を、なぜジオル様はぞんざいになさるのかしら。」
小首を傾げる様が本当に可愛いわ。まるで妖精みたい。
「それはマデリーン様のような私より美しくて純心で優しい方に恋をしたから、かしら。」
ふふふと笑って言うとマデリーンはびっくりしたような顔をする。
「リンダ様より私が美しいなんてあり得ませんわ。透けるような肌に、神秘的な赤い髪、空のような青い瞳、いつもセンスの良いドレスを身につけられている姿は女神様のようなのに。」
「ほ、褒めすぎですわ。」
私は恥ずかしくなって扇で顔を隠した。ああ、あの可愛いマデリーンに女神なんて言ってもらえた!!
そうよ。私だってなかなかのモノなんだから。太陽光では赤く、部屋の中では黒と言う変わった髪色は神秘的と褒められることも多い。まあ、気味悪がる人もいるけど、私は気に入っている。瞳の色は実はマデリーンと同じスカイブルーなの。ふふふ。マデリーンと並んだスチルはお互いに引き立てあっているようで好きな一枚だった。
その後も私達はガッツリガールズトークをして盛り上がり、友情を深めた。
そして、マデリーンが帰った後、ランが涙ぐみながらマデリーンを絶賛していた。
「リンダ様のお目は確かですわ。なんて素直なお嬢様でしょう。アルス様とさぞお似合いのご夫婦になられますわ。」
さすがラン!私も100%そう思うわ!