工房主・マサチカ
「ようこそ俺の工房へ
オーガと…誰だっけ?」
マサチカは工房の炉の前に腰掛け腕を組んでいた
元々いかつい見た目が相まって職人ぽさがすごい
そう実はマサチカのアバターは本人に似ている
無精髭、短髪で太い腕
かつては柔道部だったらしいしな
巨体なオックスにも引けを取らない
「俺はオックスだ
先日オーガと対戦した者だ」
オックスは握手を求めマサチカが応じる
しかし、この工房は素材と武器が乱雑に置かれている
「アイテムボックス使えよ…身の回りの事なんだから」
俺がそう言うとマサチカは笑いながら一本のハンマーを握る
もう片方の手には黄金色の塊が握られている
「今、新素材を使って色々試してるとこだからそれどころじゃねぇんだよ」
素材などには疎い俺だが確か砂漠エリアの昆虫の甲殻がいい素材だとか
昼休みマサチカが言っていたのを思い出した
「でだオックスさんよ?
あんた依頼しに来たわけだな?」
マサチカが顎を撫でる
オックスは頷き地面に腰掛けて頭を下げた
「武装の強化を頼みたい
金なら出せるし素材が欲しいなら取ってこよう」
マサチカは足を組みオックスの様子を眺めている
どうやら作るかどうか品定めしているようだ
俺はそこら辺に転がっている武器を拾い置いてあるボックスに仕舞う
「いいぜ!あんたの武器、俺が打ってやる!
オーガ、素材のリスト出すから集めてこい」
俺もかよと抗議の視線を送るがマサチカは鼻で笑いてんで気にしていない
諦めて送られてきたリストを見てオックスに声をかける
「なら行こうぜオックス
移動に時間かかって帰ってこれねぇ」
そうアークファイトの生活サーバーにはワープの様な便利な機能はほぼない
その為、移動用の何かを準備しなければならない不便さがある
まぁ色々発展しすぎた現実より俺はこっちの方が好きなんだがな
「とりあえず森から回ろうぜ
俺も生活サバは来ないから迷うかも知んないし」
そう言いながら出て行く二人を見送りマサチカはオックスの腕甲のデザインを走らせた
戦闘サバの二人であれば余程無理しなければ問題ないはずである
「まぁオーガが変なもん引かなきゃいいがなぁ」
現実の奴の豪運を思い少し遠い目になるマサチカであった