表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アークファイト  作者: ガンメン
2/4

ラーメン屋で打ち上げ

翌日

会社の屋上のベンチに腰掛け、雄鶏亭の唐揚げ弁当を食べながら俺はアークコアを操作していた

サービス開始1ヶ月半

他のゲームと比べても、かなりのペースでアークファイトはイベントなどを準備している

昨日、挑戦したランキング戦は常に開催されているが予約制以外にも野良レート戦なども準備されている為そこ等辺も楽しめる

会社との契約内容には単純なランキンキング順位だけを上げろと言うものだけではないノルマが存在する

それらは戦極商事のPRの為に名前を残す様、最大限に努力しなければならない

アークファイトは今までのVRゲームと比べても、戦闘システムを始め、プレイヤー自身が生産した武器を使えるのも、アークファイトの売りの一つであり、その生産システムはまた少し特殊だった

次のイベントが発表されたのが10分ほど前だったわけだが

俺は、アークコアと携帯を眺めて深いため息をついていた

「おう!おめでとうよ企業戦士!」

勢いよく屋上のドアを開け、政親と美月が現れた

政親は昨日の勝利を労いながら、向かいに座りアークコアを操作している

政親の脇には雄鶏亭のスタミナ弁当が置かれていた

美月もベンチに座りサラダを頬張っている

二人がわざわざ俺のところに来たのは、おそらく今回のイベントについてだろう

普段屋上にいるのは特殊契約社員である俺くらいなものだからな

まぁ政親は、割りと一緒に昼を食べたりするわけだが

「だから企業戦士じゃねぇよ

まぁ今回は戦闘ランクが上がったからボーナス出たけど」

少し呆れながら、ボーナスが入った携帯の画面を出して、またため息を吐く

ため息の理由は今回のイベントの内容に関係している

「イベントも上位に入らにゃならん

まぁ楽しくやれてるからかまわねぇが…」

会社の意向からすると今回のイベントも戦極商事をPRするため上位入賞が望ましい

俺の様子と事前に出た情報を踏まえて二人がニヤニヤしながら俺の方を見る

あぁわかってるよ

みなまで言わすな

「ランク戦勝てたのもお前等のおかげだと思ってるし、今回の“生産”イベントも協力してくれ

飯奢っから」

俺が頭を下げると笑いながら政親が立ち上がる

顎に手を当てさぁてと悩んでいる様だ

今回ウスバカゲロウを打ったのは政親でありスパーリングなどの練習に付き合ってくれたのは美月なのだからまぁ必要経費だと割り切る

「なら焼肉にでも行こうぜ王牙

今回のイベントは週末に時間かけてやろうぜ」

政親はニカッと笑い、俺の肩を叩くと口笛を吹きながら階段を下っていった

「私は別にいいんだけど、まぁあんたの気持ちなら受け取るわ」

美月は腕を組みにこりと笑うと政親の後を追う様に階段を下って行った

俺は午後のスケジュールを確認して、屋上でパソコンを開くのだった


「マジかよぉ!定休日とか…」

政親と美月と晩飯を食うためよく行く焼肉屋の前に来たわけだが

どうやら定休日が変わってしまったらしく、休みで政親が膝から崩れ落ちた

いやそんな食いたかったのか?

俺は近場にある前から少し気になっていたラーメン屋を指差す

『らぁめん豚王』

そこまで新しい建物ではなく赤い屋根にでかでかと黒字で書かれた店を指差し、店の前にあるメニューをざっと眺めてみる

「名物は豚骨ラーメンらしいがどうする?」

俺の問い掛けに、美月も腹が減っているのか政親に声をかけて早く食べようとせかしている様だ

「まぁいいか…はぁ焼肉の舌だったんだが…」

そう言いながら立ち上がり店のドアを開けた



「いらっしゃいませ!空いている席にご自由にどうぞ!」

女性店員の明るい声が迎えてくれた

中はそこまで広くは無いが、掃除が行き届いているのか、かなりさっぱりした印象を受ける

空いているテーブルに腰掛けると女性店員が水とメニュー端末を持って来てくれた

「お?色々あるな

俺はスタミナ豚骨っての食ってみるかな」

政親は水を飲みながら端末を操作する

美月も端末を眺め野菜豚骨を注文する様だ

「ならこの名物豚骨をもらうかな」

俺が操作し終えるとあまり時間が掛からずスープと麺が運ばれてきた

最近は機械化が進んでいるが、運んできてもらうのも、なかなか風情があるから俺はこっちの方が好きなんだよな

俺達の目の前に置かれた豚骨スープは、乳白色で濃厚な匂いを放っている

俺は麺の硬さはバリカタを選んでいたので伸びない内にと、三人で手を合わせる

「いただきます」

乳白色のスープに麺を入れる

麺をほぐす時に気づいたがスープはとろみがあり、細麺にもしっかり絡む様に作られている様だ

麺を入れた後は高菜と紅生姜を乗せ胡麻を少しかける

麺を持ち上げるとさらに濃厚な豚骨の香りが辺りに広がり鼻腔をくすぐる

口に入れると豚の旨味が濁流の様に押し寄せてきた

あまりのうまさに箸が止まらずに、一気に麺を啜る

口の中で高菜の辛みと紅生姜の酸味

そして、豚骨の油の甘味が混ざり合い絶妙なハーモニーを奏でていた

思わず笑顔になりすぐに残りの麺もしっかりと食べる

バリカタの麺も小麦の風味を残しながら旨味もあり歯応えも良く、喉越しも良い、更にその後からチラリと感じる胡麻の風味も鼻に抜け心地よい

一杯目を食べ終えた俺は厨房に声をかける

「替え玉バリカタで!」

すると程なく1玉分の麺が運ばれてくる

俺は備え付けのラー油を数滴たらし麺を啜る

豚の旨味を感じた直後、ピリッとした辛みとラー油の風味を口の中で感じる

無言で麺を啜り、替え玉を頼む

途中でスープを頼むと今度は醤油豚骨を勧められ頼む

麺をほぐし口に入れると今度は醤油の香ばしい香りと豚骨の油の香りが口一杯に広がった

三人で食べ終えたあと一息ついて店を出た

「うまかったぁ!また行くわ!」

政親は気に入った様で少し前を歩きながら余韻に浸っている様だ

美月も満足そうな顔をしている

「野菜豚骨も美味しかったわ

濃すぎなくて食べやすいし」

かく言う俺も、大満足な味であった

値段も手頃だし客足もかなりあった

それも納得出来る味だった、と感動しながら帰路についた

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ