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アークファイト  作者: ガンメン
1/4

VRゲームで刺激的な毎日

今世間に大流行しているゲームがある

「アークファイト」

VR技術を使い自分がフィールド内で戦うことができるアクションゲーム

老若男女問わずゲーム内アバターを用いる事で戦うことが出来る

しかもアークファイト内ではアバターで商売したり物を作ることもできる

専用端末「アークコア」を持って居ればアークファイトと接続していない時もアバターを動かすことができる

職場の昼休み俺はビルの屋上で、好物のイチゴミルクを吸いながらアークコアを操作していた

今日の対戦レートを確認していたのだ

「よう企業戦士

情報収集か?」

屋上の入り口から同僚の倉影政親クラカゲまさちかが話しかけてきた

俺はアークコアを操作する手を止め政親を睨む

「企業戦士じゃねえよ俺には織田王牙オダおうがって名前があんだよ」

特に気にする様子もなく政親は俺の向かいに腰掛ける

「まぁいいじゃねぇか

お前に頼まれてた武器は準備できたぜ」

政親は胸ポケットからアークコアを取り出しニヤリと笑う

アークファイトはeスポーツの申請を取り今や企業が力を入れる程のゲームとなった

俺はこの会社『戦極商事』とスポンサー契約を結びアークファイトを戦っているのだ

「しかし時代も変わったなぁ

確か俺らの親の世代じゃeスポーツが出始めたはずなんだがな」

ここ20年程で世界は変わった

急激な科学の発展により街はデータと機械に溢れ人々の生活は劇的に良くなった

最近ではパートナーロイドなどの開発も盛んに行われている

端末一つで生活できる時代になったのである

「まぁ仕方ないさ

んで?武器はどんななんだ?」

俺達は昼休み中アークファイトの話しで終わったのだった


「さぁてやりますかねぇ」

終業後俺は近くのアークフィールドに来ていた

アークフィールドとはアークファイトを快適にプレイできる施設だ

一番近いアークフィールドの座席は50程

まぁ自宅からも入れるからかアークフィールドはそこまで混み合っているわけではない

俺は手頃な座席に腰掛けVRダイバーを被りアークファイトの世界に入る


目を開けるとそこは待合室で、トレーナーの宇佐美美月ウサミみづきが待っていた

美月とも同期であり入社直後、政親と一緒に仲良くなったのだ

「おつかれ王牙

早速だけど試合よ」

美月は政親から渡された武器データを俺に渡した

「おう!ありがとうな美月

勝ってくるわ」

腰から一本の日本刀が生成される

待合室を出て廊下を歩く

そして、ドアの前に立ち思い切りドアを開けた

眩い光と割れんばかりの声援

ここがアークファイトのフィールド

今回は格闘場の様であまり遮蔽物はない

そして俺の正面には巨体を持つミノタウロスのアバターが待ち構えていた

『レディースアンドジェントルメン!

今夜のマッチは中々に刺激的だ!

現在三連勝中の「オックス」対「オーガ」

さぁ怪物同士の対決はどちらに軍配があがるのかっ!』

アナウンスが流れ開戦までのカウントが流れ始める

アバターで観戦している人々も画面越しで見ている人達も静かに開戦のゴングを待つ

『3!2!レディ!ファイト!!』

開戦と共に俺はオックスに向かい走り出した



オックスの戦闘スタイルはその巨体を活かした肉弾戦

俺は格闘場の床を力強く蹴りつける

オックスはクラウチングスタートの態勢になり俺に向かって走り出した

オックスのプレイヤーはラガーマンでありタックルでもかなりのダメージを受けてしまうだろう

このアークファイトはダメージフィードバックを採用している

つまりアバターが受けた痛みはプレイヤーも感じる

その限界を超えた場合や気絶、ギブアップなど敗北条件は単純だ

ゲーム的にスキルもあるがここらへんはプレイヤースキル(PS)が関係しているだろう

オックスが迫る

肩を突き出しショルダーアームを強化した角が俺に迫る

俺は踏み出した瞬間、身体を捻り角を躱す

左肩に微かな痛みを感じる

タイミングを少し測り違えた様だ

肩が切れている

走り抜けたオックスは再び低く構え間髪入れず体当たりしてくる

俺は半身で構えオックスの角を掴み飛び越えるそのタイミングでオックスの背中を蹴る

しかし、筋肉の鎧に阻まれ大したダメージは無い様だ

「ちょこまかと!撃ち落としてやる!」

オックスの構えが変わった

両腕を高く構え身体を開いた

凄まじい威圧感に俺も構える

そして、三度目の攻撃

オックスは真っ直ぐ俺に向かい突進してくる

両腕のプロテクターはおそらく攻撃用

俺が回避のため意識を一瞬そらした次の瞬間、オックスは右腕を勢いよく振り下ろしてきた

俺は腰の刀を抜刀し、なんとかオックスの腕の勢いを殺そうと試みる

しかし、オックスは叫んだ

「受けたら最後だぁ!」

オックスのプロテクターが回転し始めたのだ

目を見開く俺を、オックスが勝ち誇った顔で見下ろしていた

金属がぶつかる高い音が格闘場に響いた

そして、俺の身体は吹き飛び壁に激突する

観客の歓声が上がる

なんとか立ち上がった俺に、オックスの容赦ないタックルが迫って来ていた

肩を突き出し壁と俺をサンドするつもりだろう

「ダメージは予想以上だがまぁ計画通りだな」

俺の言葉は誰に言ったわけではない

腰の刀を完全に引き抜く

黒く美しい波紋を纏うその刀を片手で構える

「こいつのデビューにゃ丁度いい」

ニヤリと笑い地を蹴り、オックスのタックルを迎え撃つ


オックスこと牛崎衛ウシザキまもるは勝ちを確信していた

立ち上がった事には驚いたが自分のアックスボンバーをまともに喰らい無傷な訳が無い

これで終わりだとショルダーアームを全面に押し出し突っ込む

身体は万全

そして、牛崎衛のタックルが何かを捉えた



オックスの角が迫る中、俺の五感は冴え渡っていた

音が遅れて聞こえるほどの集中

オックスが地を踏み締める衝撃すら、完全に認識できている

猛スピードで迫りくるオックスの角を躱す

先程の経験から少し早く身体を切り返す

オックスの角が顔の横を過ぎていく

凄まじい風圧を肌で感じながら次の動作へ移る

そして、オックスの角は壁にぶち当たる

どごんと言う重い音が鳴り響きオックスがぶつかった壁には破壊不能オブジェクトの表示が現れた

俺はオックスの肩を掴み、そのまま背後に飛び上がる

完全なる死角を取ったつもりだったのだが少し想定外が起きる

オックスは無理矢理身体を翻し、背後にいた俺と相対した

俺は危険を感じそのまま一旦距離を取った

オックスは雄叫びを上げ、プロテクターをつけた両腕を振りかざし再び俺に迫る

先程にも勝る迫力と圧を放ちながらこちらに向かってくる

俺は刀の柄を強く握りしめる

そして、オックスは拳を俺に向かい振り下ろす

全体重を乗せた様な凄まじい威力を宿すであろう拳

俺はオックスの拳を刀で受け力の流れと勢いを利用して、オックスの拳を弾き飛ばし、体制の崩れたオックスの懐に飛び込んだ

下段に構えた刃を逆袈裟に少し強引に切り上げる

刃はオックスの右脇腹から左肩に向けて豪快に切り裂いた。

ダメージを示す赤いポリゴンが舞い散る

刀を振り抜いた勢いを利用して、刀を持たない左手を地に着きヒットストップで一瞬硬直したオックスを蹴りつけ身体を翻し、今度は右肩から左脇腹に向け、オックスを袈裟に斬り付ける

俺に向かい腕を伸ばしたオックスから赤いポリゴンが激しく舞い散り徐々にオックスの動きが鈍くなる

俺が背を向けながら刀からポリゴンを払う動作をし、鞘にしまうと同時にオックスがうつ伏せで倒れ込んだ

オックスはこちらを見上げ悔しそうな顔をしたあとガクッと力が抜けポリゴンになり宙に散った

「斬刀・ウスバカゲロウ

中々いい刀だな」

鞘に納めた刀を見ながら俺はニヤリと笑う

一瞬の静寂の後、会場が割れるほどの歓声が沸き起こる

そして、中央スクリーンにデカデカとこう表示されていた

『勝負有り!!勝者!!オーガ!!』

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