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84:アルバードVSトリスタン(アルバード)

 戦闘中ではあったんだけどね。ライザとシエラ嬢の会話は聞こえていた。うん。そりゃ目が赤くなるとか不思議だよな。それも滅多とはならないんだけど、今回は俺もガチでムカついてるからか、思い切り出てしまっていた。シエラ嬢とは結婚をするつもりだし、本当は自分の口から、出生の事は話すつもりではあったんだけど、多分今モヤモヤしてるだろうしなぁと思い、ライザに託した。それに出生の出所を知ったところで、シエラ嬢が俺に対して見る目が変わるとかはないだろうと、むしろ受け止めてくれると確信もあったのだ。だって、あの王様の娘だからな。

 

 「き、貴様まさか!」


 トリスタンも、ライザとシエラ嬢の会話は聞こえていたっぽかった。


 「俺ね、ハーフなんだよ。魔女と人間の。」


 「ば、馬鹿な!!!魔女の子は魔女!つまりは女だ!男が生まれるなんて、そんなことがあるはずがない!!!」


「んなこと言われても、事実俺がいるんだし。」


俺だって、理由なんざ知らねーよ。


 「ま、今はそんなことどうでもいい。俺は相当ムカついてるからな。」


 「!」


トリスタンは身構えまえた。


 「俺、ホントのところは身体動かす方が好きなんだけど、お前の土俵でやってやるよ。魔法だろ?いいよ、やってみなよ。」


 「この‼舐めやがって!!!」


トリスタンはキャラがさっきと違うような?まぁこっちが素なのかもな。


 「《炎獄の颶風》!!」


あー高位魔法の火と風の合わせ技だな。かなりの高さになった火柱が、竜巻の渦と合わさり、炎を纏っていた。


 「炎に焼かれながら、竜巻に撒かれるがいい!!」


 トリスタンが嬉々として放った魔法は、目前に迫っていたが・・・

いや、普通に嫌だし。


 「じゃ、俺も似たようなのお見舞いしてやるよ。《流水泉の旋風》」


 トリスタンが放った魔法の応用編。つまりは俺の放った魔法は水と風の合わせ技。竜巻の渦と合わさったものは、水を纏っていた。

 「なにぃ!!」


 トリスタンと俺が放った魔法は相性で言うならば、火は水に弱い。という訳で、竜巻のぶつかり合いは当然、水が勝つ。そういうわけで、ぶつかった竜巻は、火は水によって消火されてしまい、蒸発してしまった。あとは、風の威力のぶつかり合いになるが、二つの大きな竜巻ゆえ、周囲にも影響を放っていた。


 「きゃあ!」


 「うわっ!」


みんな風圧に飛ばされそうだ。だが、俺は心配はしていなかった。


 「はいは~い♪みんなこっちに固まってね~」

  

 イライザはみんなを一か所に固めて、結界を張った。


 「アルトー、あとは好きにやんなさい!」


 ライザは、こういうことはちゃんとしてくれるのをわかってたからな!

 ん?シエラ嬢が心配そうな顔をしているが、


 「シエラ!すぐ終わるから待っててくれ。コレが終わったらユーナさんのところに帰ろう。」


 俺がそう言うと、シエラはすっかり泣き止んでいたようで


 「うん、待ってる!!」


 ・・・・・うわめっちゃいい笑顔で返事されて、俺もドキっとしたよ。


 

 結局、魔法で放った竜巻は相殺され、消えてしまった。


 「さすがSランクといったところか、俺と同レベルの魔法を放つことができるとはな。」


 「てかさ、とっとと終わらせるわ。俺、お前と付き合ってるほど暇じゃねぇし、時間が勿体ないからな。」


 「な、なんだと!!せっかくこの俺が、お前もイライザ同様、ライバルと認めてやろうとしてやってるのに!」


 トリスタンは憤慨してる。思った以上に単純な奴だな。ま、こっちはやり易くて助かるが。それになんだ、その意味不な上から目線は?そりゃライザも嫌になるよな。



 「いや、心底別にどうでもいいし。」


 

 「あんた、さっきから見たところ、火の魔法が得意そうだから、ソレでケリをつけてやるよ。」


 「ま、まさか貴様まさか3属性扱えるのか?!」


 個々に持っている属性は、大抵は一つだが、中には2つや3つなど、複数の属性を持っているやつもいる。そして俺は・・・・


 「残念。3つじゃない。光を覗いた、5属性扱えるんだよ、俺。」


 アルバードはそういうと不敵に笑った。


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