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61:だが、断る!~後編~(アルバード)

 「そうか・・・だが、断る!」


 「え!」


 彼女は俺の返事に驚いたらしく、うつ向いていた顔を上げた。


 「シエラ嬢、俺絶対婚約解消しないから。」


 俺は怒ってはいた。だけど、頑張って笑顔を作って言ってるつもりなんだが、・・・なぜだ?彼女の顔が引きつっている。


 「もし、シエラ嬢が元に戻らなくても、戻らなくても、俺は絶対にシエラ嬢からの傍にいるから。」


 「で、でも・・」


 「でも、とかいらない。俺はシエラ嬢を嫁さんにするって決めてるから。そんな理由ならお断りだ。」


 「そんな・・・」


シエラ嬢はまだ抵抗しようとしているが・・・でもなーここは俺も曲げられない。

 

 「シエラ嬢がさ、俺の事考えてくれる気持ちは嬉しいよ。だけど・・・こういうのは受け入れられない。」


シエラ嬢は泣きそうになっている。だけど、ここは言うべき事ははちゃんと伝えないとな。


 「シエラ嬢は・・・俺を信用できない?」


 「え?え・・と、そんなことは・・・」


 「なら、俺のこと信じてくれよ!前にもいったろ?俺は依頼を達成できなかったことはないって。」

 

 俺は前に言ったことを思い出してもらいたくて、できるだけ笑顔を意識して言った。


 「な?」


 シエラ嬢は考えているのか、まだ黙ったままだ。


 「あのさ、バランドール行き決めた時の謁見の間の事覚えてる?」


 「・・・ええ、覚えてるわ。」


 シエラは思い出していた。あの謁見の間で、アルバードがシエラを守り抜くと言ってくれたことを。


 「あの時は言葉足らずだったけど、俺は同時に決めていたこともあるんだ。」


 ぶっちゃけハズイけど、言わないと伝わらないからな!俺はちゃんと伝えたくてシエラ嬢の目を見つめた。


 「もし・・・もしシエラ嬢が元に戻らなくても、俺は絶対にシエラ嬢と一生を添い遂げようと決めてたんだよ。」


 シエラ嬢は目を見開いて驚いてる。ま、初めて言ったからな!


 「そんな・・・嘘・・・」


 口を手で押さえて、うん、まさしく『信じられない』って顔してるなー。


 「嘘じゃないよ。そんな訳でな、俺は決めたことはよっぽどの事がないと覆さないから。まぁ、そのよっぽどのことは・・・そうだなシエラ嬢が俺じゃなくて、他の奴を好きになった時は、その時は覆すかな?」


 そうなった時は、さすがに凹むだろうけどな!


 「アルバード・・・本当に私でいいの?」


 「あぁ、むしろ俺には勿体ないって思ってるよ。俺の方こそ、こんなガサツな奴だけど、いいのかなって。」


 シエラは泣かないように我慢をしていたのだが、堪えられなくなったのか、涙が頬を伝っていた。

  

 「ごめんなさい!本当はアルバードがいいの!むしろアルバードじゃなきゃ嫌なの!」


 それを言った瞬間、シエラはそのままアルバードに抱きしめられた。


 「なら、もうこんなこと二度と言わないでくれ。それにまだ諦めたらダメだ。な?」


 「うん、うん、ごめんなさい。アルバード!もう言わないわ。本当にごめんなさい!」


 シエラの小さな幼い体はすっぽりとアルバードの両手に収まっていた。


 「俺は絶対に傍にいるから、な?」


 「うん、うん!」

 

 シエラは、離れる覚悟をして言ってはみたものの、アルバードが拒否したことで、安堵したのだ。今後もし呪いが解けなくて、両想いにはなれなくとも、この人となら穏やかな気持ちで一緒にいられると。




 

 イライザとユーナはちょっと空気を読んで、同じ部屋にいながら、少し遠巻きに見ていた。そして二人は小声で話し始めた。


 「あ~良かったわ、どうなることかと焦っちゃった。」


 「本当に。姫様ったら、変な事考えて・・・とはいえ無理もないとは思いますが・・・」


 「う~こうなると、姫様の解呪も急がなきゃだわ!私の威信にも関わるし!」


 「イライザ様、お手伝いができることがあるなら遠慮なくお申し付けてくださいませ。」


 そういうと、ユーナはイライザに恭しく礼をした。


 「やだ、ユーナさん言われなくても、必要なら声かけちゃうから大丈夫よ♪」


 そう言うと、イライザはいつものウインクをした。


 「それなら良かったですわ。」


 ユーナもイライザが少し茶化して言ってるが、場を少しでも和ませようとしているのがわかった。


「では、まずはあっちも落ち着いたようだし、今は人数分の美味しいお茶を入れてもらっていいかしら?」


「はい、とびきり美味しいお茶を入れて差し上げますね。」


 ユーナもイライザも、やっと安堵したのであった。


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