56:極秘会議(シエラ)
翌日の午後、イライザさんは、魔法省から帰ってきた。
「隷属魔法、解呪できるわよ。」
そういうと、いつものウインクをした。
「「「!!!」」」
「ついにか!」
「これで、事件の真相に近づきますね!」
アルバードもユーナも嬉しそう。だけど、私は・・・心臓がバクバクしていた。
自分が幼女になってから、とうとう事件が解決に動こうとしていることに、何とも言えない、プレッシャーのようなものを感じていたからだ。
「シエラ嬢、緊張してる?」
「うん、正直にいうと、ドキドキしてる。」
するとアルバードは私がソファに座っている真正面にしゃがんで、
「・・・大丈夫だ。俺が傍についてるから。」
と、私の方を見上げて言った。
うっ!!なんてこというのよ。萌え死にしちゃうじゃないの!
「あ、ありがとう。」
恥ずかしくて、まともに顔をみられないから、思わずそっぽ向いてしまった。
「シエラ嬢、先に言っとく。聞いてくれ。」
「え・・はい。」
すごく改まっている。アルバードは真剣な顔。何となく何を言うのかは見当はついた。
「シエラ嬢の幼女の解呪については、ごめん。まだわからない。」
うん、わかってたよ。そんな気はしてた。
「うん・・・」
「でも絶対に解呪するから、諦めないで待っててくれ!」
「ありがとう、アルバード。」
私は、アルバードに微笑んだ。そして同時に、ある考えが頭に余儀っていた。
解呪については、さ、解呪しましょーー!とはこの場合ならない。
というのも、解呪をすれば黒幕は否応なく判明する訳だから、恐らく足掻くなり、逃げるなりされる可能性がある。
という訳で、タイミングを測らないといけないから、バランドールの王家と連携することになり、夕方に緊急にそして極秘に会議が開かれることになった。貴族は入れていない。緊急だったせいもあるけど、一刻も早く解呪しないといけないし、信頼できる貴族については王もしくは王子が自ら告知するということになった。
バランドール国王、ライル王子、アルバード、イライザさん、ユーナはいるけど、あくまで私の為に控えてるだけ。ちなみに侍女はユーナだけで、バランドールの侍女もついていない、それほど小規模メンバーでの極秘会議なのだ。
「此度は・・・魔女殿、本当にありがとう。」
バランドール王が切りだした。
「あら。王様、まだお礼は早いわよぉ、まだ解呪できてないんだから!」
と、笑いながらイライザさんは言ってたのだけど、
「ま、どうせ、成功はするからいいんだけどね♪」
と、どや顔をしていた。うん、イライザさん自信満々だわ!
すると次は、ライル王子が神妙な顔をして、話し始めた。
「すまないが、メンバーは小規模なのだが・・・もう一人加えたいメンバーがいる。」
「何?その者は信用できるのか?」
バランドール王も知らなかったようで、怪訝な顔をして言ってた。
「はい、その点は大丈夫です。」
アルバードは静観してる感じ。
「へぇ~一体誰なの?」
イライザさんはワクワクしてる感じね。
「では、入ってきてもらう。」
そういうと、ライル王子は自らドアを開けて、呼びに言った。
「加えたいメンバーは、ミランダ・シュナイダー嬢だ。」
そう言うと、あの豪華な赤毛のミランダ嬢が神妙な顔をして入ってきた。
って、えーーーーものすごい、意外な人物なんですけど、一体どうして?あ、もしかして婚約者だから? でも王妃様ですら、この会議には入っていないし・・・
だけど、その謎は、ライル王子の言葉ですぐに判明することとなった。




