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53:アオハル(アルバード?)

 別室にて_____


 ヴァイオレットは癇癪中であった。


 「キースのばかぁ!!あんたが黙ってるから、アルバードが王族なんかと婚約しちゃったじゃない!キースのバカぁああ!!」


 「ご、ごめん黙っていたことは、僕が悪かった!だけど、王族の婚約は・・・」


 キースはヴァイオレットを宥めようと、すっかり敬語は忘れて昔の話し方に戻っていた。それは、ヴァイオレットも同じであったが。


 確かに、キースは黙ってはいたが、アルバードの婚約には、キースは一切関与はしていない。ただ黙っていただけだ。

 ヴァイオレットも頭ではわかっていた。キースが何かした訳ではなく、ただ黙っていただけということは。だが、タラレバの話しだが、もしかしたら教えてもらっていたら、知っていたら、何かが変わっていたかもという期待が拭えなかっただけに、キースを責めずにはいられなかったのだ。本来ならば、王族の前で号泣など、有り得ない失態ではあったが、理性よりも感情が勝ってしまい、ヴァイオレットはまさに癇癪を起こしていた。


 「ごめん、ヴァイオレット・・・本当にごめん。」


 キースはさすがに今回は不味ったと思っていた。

 王族の前での失態、まさかあのヴァイオレットがここまで感情むき出しで泣いてしまうとは思いもよらなかったからだ。


 幼馴染で、なんでもヴァイオレットのことはわかっているつもりだっただけに少なからず、キースもショックを受けていた。

 

 「なんで・・・なんで黙ってたのよ!!」


 ヴァイオレットはキースを睨みつけて言った。


 「いや・・・だから取るに足らない情報だと・・・」


 「嘘よ!!私がアルバードのことを好きなのは知ってるでしょ!アルバードの情報が取るに足らない訳ないじゃない!なんでこんな嫌がらせしたのよ!!」


 「それは・・・」


 「わかってるわよ!」


 わかってると言われ、キースは身体が硬直した。


 「どーせ、幼馴染の私を・・・姉のように慕っている私を取られたくないからでしょ!!今まで弟ようだと甘い顔してたら、「違う!!」」


 キースは、ヴァイオレットの話を遮って否定した。今まで、キースがヴァイオレット対して声を荒げることなどなかった為、ヴァイオレットは驚いて、涙も止まってしまった。


 「ど・・どうしたの?」


 「僕は・・・僕は、ヴァイオレットを一度も姉のようにだなんて思ったことはない!!」


 「え?」


 「女性として・・・僕は女性としてヴァイオレットが好きなんだ!ずっと、小さな頃からずっと好きだったんだ!だから・・・だからアルバードなんかに取られたくなかったんだ!!」


 キースは今にも泣きそうになりながらも、今まで心に秘めていた思いを告白した。


 「え・・・好き?・・・嘘・・・キースが私を?」


 突然のキースからの告白に、ヴァイオレットは驚き、そして戸惑っていた。




 同時刻、別室のドアの前にて____


 ヴァイオレット達のいる別室のドアをノックしようと思ったのだが、ドアから聞こえきたアオハル劇場に、さすがのアルバードも(これ、今入ったら流石に俺空気読まなさすぎじゃね?)と、取り合えず、聞き耳を立てるのもアレなので、アルバードは先ほどの応接室に引き返すことにした。



 パタン


 「あら?アルバード戻ってくるの、早くありません?」


 「いやぁ~まあ、なんというか・・・・」


 アルバードはどう説明したらいいのかは、悩んだのだが、


 「取り合えず、間は空けたほうがいいかなって。」


 「「「「???」」」」


 一人を除いて、何のことかわからない一同は皆首をかしげていた。


 「いやぁ~青春だよねぇ~」


 ヤンは腕を組ながら、青空が見える窓に向かってボソッとつぶやいた。


青春と書いて(あおはる)(*ノωノ)

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