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51:聖女の告白~後編~(アルバード)

 「えーーーなんですか、それ!すごい理不尽じゃないですか!!」


 メガネっ子こと、スカーレットは憤慨していた。


 「あ~バランドールはそういうとこあるからなぁ。」


 と、ランベルトは納得はしていないけれども、バランドールの魔力至上は理解しているようだ。

 

 「イライザさんもこちらに来てるんですね。けど、その魔法省にお一人で大丈夫なんですか?」


 と、珍しくキースがヴァイオレット以外を心配してる。


 「あいつもSランクだし・・・俺が敵に回したくない一人だからね、大丈夫だろう。」


 これは本当に本音で、ライザを敵に回すとか、うん・・・考えるだけで怖いわ。キースはそこまでライザと付き合いがある訳ではないから知らないのは無理もない。


 「そんな・・・いつの間に・・・・」


 あれ?ヴァイオレット、さっきからなんか俯いてるし、何かブツブツ言ってるけど、体調でも悪いのかな?


 「おい、ヴァイオレット、もしかして体調が悪いのなら・・・」


 「違うわ!そんなのじゃなくって!!!アルバード!!婚約って2回目だったの?!!」


 え?そこ?


 「あ、あぁシエラ王女で2回目だな。さっき話した通りで、俺初めの婚約者は逃げられたしね。」


はは、と俺はあまりいい思い出ではないので、苦笑いになってしまった。


 「そんな・・・それがわかってたら・・・って、あっ!!」


 ヴァイオレットは急に何かに思い立ったようで、キースをすごい目で睨みつけてる。ホント一体何なんだ?


 「キース!!あなた、知ってて黙ってたわね!!!」


「あぁ、前にそういうことは聞いたけれど、取るに足らないと判断しましたので、あえてお伝えしていませんでしたね。」


 キースはしれっとそう言った。


 そう、アルバードが初めに婚約したことを、キースは知っていたのだが、あえてヴァイオレットには黙っていたのだ。むしろその情報がヴァイオレットの耳に入らないように意図的にしていたと言っても過言ではない。

 そのままアルバードが結婚してしまえば、もうヴァイオレットにもどうすることもできないはず、という邪な魂胆があったためだ。婚約したなどとヴァイオレットに教えたら、きっとなりふり構わず、ヴァイオレットがアルバードに凸するであろうことは、キースはヴァイオレットと伊達に幼馴染ではないだけによくわかっていたからである。


 「でも、今はまさかシエラ殿下と婚約しているとは、知りませんでしたけど。」


 これについては、キースは本当に知らなかった。貴族相手であれば、ヴァイオレットの聖女である威光で、婚約を覆させることも可能なわけだが、さすがに王族相手ならば、簡単に婚約を覆すことは容易ではないので、キース的には、大変都合がよかったのである。


 ヴァイオレットは大変ショックを受けた様子で、


 「アルバードが・・・アルバードが、侯爵領で勉強しているって聞いていたから、だから・・・だから王都に帰ってきたら、絶対、・・・」


 「絶対、告白しようって決めてたのにーーー!!!」


 うわぁぁああん!

 そう言うと、ヴァイオレットは泣き出してしまった。


 流石に、これにはアルバードもキースもギョッとした。


 「え?告白って??」


 え?どういうこと??告白って、あの告白だよな?えーもしやそういうこと?!マジか――!!


 「そうだったのか・・・」


 アルバードはようやく、ヴァイオレットの気持ちに気付いたのであった。

 そして、キースも流石にバツが悪くなり、必死でヴァイオレットを慰めようとしていた。 


 中々に、その場はカオスな状況ではあったのだが、その様子をシエラはただ黙って見つめていた。



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