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50:聖女の告白~前編~(アルバード)

 「アルバード、婚約者って?まさか、いるの?!」


 突然入って来たかと思えば、俺はいきなりヴァイオレットから詰め寄られていた。


 「あ、あぁ。俺今婚約者いるけど。」


 「!!!うそ・・・」


 あれ?どうしたんだろう?バイオレットがなんだかショックを・・・


 あぁそうか、アレだな。親しくしていた兄が誰かに取られるっていう、ブラコンみたいなやつなんだな。


 アルバードは、やっぱり鈍感だった!!


そして、キースに続いてランベルク、スカーレット達が一緒に部屋に入ってきた。


 「アルバードいつの間に、婚約なんかしたのよ!!一体誰なのよ?」


そして俺は引き続き、ヴァイオレットに詰め寄られてまま、詰問されていた。そしてなぜか胸倉を捕まれてる。


「え・・あぁ、そこにいる。」


と、俺が目線と指差しで示すと、ヴァイオレットはシエラ嬢のいる方に振り向き、



「!?あなたが、アルバードの婚約・・者・・・って、え?」


ヴァイオレットはシエラ嬢を見て、言葉に詰まったようだった。うん、まぁ見た目は幼児だもんな。


 シエラ嬢は突然入ってきたヴァイオレット達のことをヤンに聞いていた。


 「ヤンギルド長、もしかして『特別依頼』に参加してくださったパーティの方々でしょうか?」


 「あぁ、はい、そうですよ。」


シエラ嬢は、ヤンの言葉に頷き、昨日のパーティの一面に向かって、挨拶をした。


 「初めまして。私はシエラ・リル・アルカディアと申します。第一王女と言うと、お分かりいただけるかしら?」


 「「「「え・・・?」」」」


 アルカディアって、あのアルカディアだよな?なんで王女様がここに?などなど、当然なのだが、皆困惑してる。そりゃそうだろう。まさかギルドに他国の王女様が来ているとは普通思わないだろうからな。それに第一王女ならば、ヴァイオレットと年は変わらないから、幼女であることも、不思議に思うだろう。


 「今日は、『特別依頼』を達成してくださった皆様にお礼を述べに参りました。あと、私がこのような姿ですので、不思議に思われますよね。その辺りも詳しく説明させていただきますわね。」


 そういうと、シエラ嬢はニッコリと微笑んだ。・・・なんていうか、王族なんだなってオーラをすごい感じるんだけど。


 そして、シエラ嬢の口上中に、やっとこさヴァイオレットの胸倉は放してもらえたけど・・・皆ポカンとしてる。キースからは「あの噂は本当だったのか・・・・」とボソッと言ってるのが聞こえた。そっか、まぁ多少は漏れるだろうしな・・・ヤンも知ってたっぽいし。


 「それでは、これからシエラ殿下が、ご説明をなさいますので、皆さん空いてるところで結構ですので、座ってください。あ、それとシエラ殿下?」


 「はい?」


 「先ほどのお話ですが・・・あくまで友人としてですからね、そこはご安心を。」

 

 ヤンは、左手を腹部に当てて、右手を後ろにし執事がよくやる礼をシエラ嬢に恭しくしていた。


 「そう、なら安心したわ。けど、別の不安要素はあるようですけれど。」


 そういうと、シエラ嬢は持っていた扇を広げ、口元に当て、視線は一瞬ヴァイオレットの方に向けていた。シエラ嬢は、なんだか意味深なことを言ってるけど何のことだろ?


 応接室が一気に手狭になったな。シエラ嬢に、ユーナさん、ヤンにヴァイオレットにキース、ランベルクにスカーレット嬢と俺で、計8名か、うん人口密度たかっ!

 


 「それでは、お話させていただきますわ。ただし『特別依頼』の流れでのご説明となりますので、皆さま、他言は無用に願います。」


シエラ嬢はそう前置きをすると、事の顛末を話し始めた。


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