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49:BL?(アルバード)

 ギルドに到着した俺達は、まずヤンに取り次ぐように受付に願い出た。

あちらも、まだ書類上の手続きは終わっていないのは、わかっていたようで、応接室にまたもや通された。


 シエラ嬢は・・・うん、そんな気はしてた。なんせ、初めてきたところだもんな。キョロキョロと周りを見まわして目がキラキラしてた。そりゃ物珍しいだろうからね。

 ユーナさんはというと、毅然とシエラ嬢の後ろに控えている。さすが侍女の鏡だ。


 「やぁやぁ、お待たせしました。」


 と、呑気な声でヤンが来た。

 ヤンは、おや?って感じで、シエラ嬢を凝視してる。まぁそりゃそうだろね。ギルドに小さい女の子はどう考えても不釣り合いだし、一応平民寄りの服装はしているものの、あきらかに良いところのお嬢様!って感じだもんな。


 「えーと、お嬢さん、あなたは?」


 ヤンはシエラ嬢の目線までしゃがんで聞いた。


 「初めまして、ギルド長、私はアルカディアの王女、シエラですわ。」


 そして幼女と言えど、淑女の挨拶を交わした。


 「あなたが・・・そうでしたか。」


 一瞬驚いたようではあったが、納得はしていた。うん、やっぱり知ってたな。


 「ご挨拶が遅れて申し訳ありません。改めまして、期間限定でこちらのギルド・カーネリアンでギルド長をしております、ヤン・リーリンです。シエラ殿下、わざわざお越しいただき光栄です。」


 「いえ、こちらこそですわ。今日は『特別依頼』に関しまして、お礼とお話したいことを兼ねて参上いたしましたの。」


 「それは・・・わざわざご丁寧に、痛み入ります。」


 ヤンは開いてるか開いていないかわからない細目でシエラ嬢に、微笑んでいたようだが・・・ほぉ、珍しく、本当に笑っていた。シエラ嬢の訪問に少なくとも悪い気はしなかったようだ。


 「ヤン、回りくどいの面倒なんで、ストレートに聞くけどさ、ヤンは知ってたんだろ?シエラ嬢のこと?」


 「・・・・・」


 「だから、わざわざ俺を魔獣の森に行かせたよな?」


 「・・・そうだよ。その方が手っ取り早いと思ってね。」


 一瞬の間は空いたが、話しても支障はないと判断したのか、ヤンは肯定した。


 「個人で動いてないよな?誰に雇われてる?」



 シエラ嬢は不思議そうに首を傾げていたので、


 「あぁ、ヤンは基本的には依頼主の指示で動いてるからな。誰かバックにいるんだろう。」


 「あら・・・そうなのね。」


 「ふふ・・・合ってはいるけど、守秘義務があるからね、流石に誰とは言えないよ。」


 「ふん、まぁそうだろうな。だが、一つだけ。シエラ嬢の敵か味方か?これだけは聞かせてくれ。」


 今の時点では、ヤンは味方だとは思うけどな。とはいえ、聞いて素直に教えてくれる玉ではないとわかってはいるが、反応が見たかったので、聞いてみた。 


 「あぁ、その辺りは安心していいよ。敵対することはない・・・と思う。」


 「思うってなんだよ!」


 「絶対なんてないからね、こればっかりはわからないだろ?」


 「ほんと、喰えねな!まぁいいや、現時点では少なくも敵じゃないならな。」


 相変わらず、のらりくらりって感じだなー。まぁでも大丈夫だろ。


 「信じていいのかい?」


 「お前と何回共闘したと思ってたんだよ?人となりは大体は理解しているつもりだ。」


 「ふふ、俺は君のそういうところが好きだよ。」


 「!!!」


 あれ?何かにシエラ嬢は反応したようだ。


 「ちょっと!ヤンギルド長!今聞き捨てならないことが聞こえましたわ!」


 「え?」

 

 ヤンは一体どういうことなのかと、ポカンとした。


 「ア、アルバードは私の婚約者なんですのよ!諦めてください!」


 そういうと、シエラ嬢はヤンの前の立ちはだかって、近づけさせないと言わんばかりに俺を庇うように両手を広げていた。隙間から見える顔は真っ赤にしていた。・・・耳まで赤くなってるな。


 「「・・・・・」」


 俺とヤンはその言葉の意味をしばらく考えていた。


 「えーと?諦めるって・・・いやそういうのでは・・・」


 ヤンはまさか、そんなことを言われると思ってなかったのだろう。うん、俺も全く想定外だったからね!シエラ嬢、好きは好きでもそう言う意味じゃなんだけど・・・なんでそう解釈したかな。ユーナさんの方をふと見ると・・・肩振るわせて笑いを堪えてるね。


 なんてことを思っていたら、あれ?何だか廊下が騒がしいな?と気付いたとほぼ同時に、応接室のドアが勢いよく開いた。


「ちょっと!!!どういうことですの?!アルバードの婚約者って???!!!」



 いきなりドアが開いたかと思えば、そこには、なんだか必死の形相のヴァイオレットとまるであちゃーみたいなリアクションで、手で顔を覆っているキースが立っていた。


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