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35:デート⑥~気付き~(シエラ)

 「じゃ、取り合えず、歩きながらお店とか見みようか?」


  そして、アルバードはまたしゃがんで両手を広げている。

  私店内しか、歩いてないんだけど、アルバードが嬉しそうに両手を広げているもんだから、

 

 「・・・うん。」


なんだか、アルバードに抱っこされるのが定位置な気がしてきたわ(汗)


 そして少し歩いたところで、さっきの『浜焼き』のご主人とおかみさんが向こうから歩いてくるのが見えた。


 「あれ?さっきの、浜焼きのところのご主人さんたちよね?」


 「あぁ、中間休みってところだろうな。また夜の営業もあるだろうし。」


 すると、私達が見ていたものだから『浜焼き』ご夫妻が気付いたようだった。


 「あらあら、さっきお店にきてくれたお嬢ちゃんとイケメンのお兄ちゃんだねぇ!」

 「あぁ。」


 アルバードは言葉は少なめに。

 

 「はい、先ほどはご馳走様でした!私あんな美味しい貝焼き初めていただきました。」


 「まー!良いところのお嬢ちゃんってのはさすがだねぇ!なんてしっかりしてるんだい!」


 ・・・中身18歳ですからね!

 ちょっと!アルバード笑いを堪えてんじゃないわよ!


 「やっぱり、ああいう焼き加減とかって魔法なんですか?」


 私が疑問に思っていたことを質問すると、おかみさんはビックリして、


 「まさか!あれは魔法なんかじゃないよ!焼き加減は見て聞いて香りで判断するんだよ!」


 「え?魔法じゃないんですか?てっきりバランドールなので、魔法でやっているのかと・・・」


 「まぁ、点火ぐらいは魔法使うよ?だけど微妙な火加減は上級者でもないと、調整は難しいのさ!」


 「やはり、職人技だね!ね、あんた!」


 そういうと、おかみさんはご主人の背中を叩いた!


 「いってーよ!おまえ!」


 「あら、力入れすぎまっちたねぇ。」

 

 おかみさんは笑っている。


 「まぁお嬢ちゃん、確かにここはな、魔法大国ではあるんだが、貴族は確かにそこそこ魔力はあるけどな、平民となるとそういう訳にはいかねぇんだよ。」


 「え?」


 「平民もまぁ持ってはいるけど、魔力はたかがしれてるしな。まぁ勿論使えば便利だし、使ってはいるけどな。だけど、微妙なところの塩梅は、魔法でどうこうできねぇところも多いわけよ。だから、わしらは自身を研鑽して職人技を磨いていくんだよ!」


 「そうだったんですね、何でもかんでも魔法って訳ではなかったんですね。」


 「そりゃそーさ!魔法は便利だけどな、魔力がそこそこな俺達の場合は上手く付き合っていかないとな!」


 そう言って、浜焼きのご主人は笑っていた。


 「はい、勉強になりました!」


 そうだったんだ。私は目の覚める思いがした。


 「まだこっちにいるんだろ?また良かったら、うちに食べにきておくれ!」


 「はい!ぜひまた伺わせてもらいます!」


 そう言って浜焼きのご夫婦とは別れた。





 私は別れた後も、浜焼きのご夫婦の後姿をみていた。


「アルバード」


「ん?」


「私、バランドールのこと誤解していたかも。今までのことから、この国はあまり好きじゃなかったの。」


「うん。」


「だってね、わざわざ留学してきたのに、魔力がないってわかったとたん私のことは放置されるし、それのせいで友達もできなかったし、殺されかけて幼女にされるわでさ、碌なことない国だって思っていたの。」


「うん。」


「だけど、アルバードが美味しいご飯やスィーツのお店に連れてくれていったし、お店の人はオマケもしてくれたし、カインさんにも出会えたし、さっきの女の子の話しでは私のこと庇ってくれる発言もあったしね。」


「うん。」


「そして今しがたお話した浜焼きのご夫婦の話を聞いて、目から鱗だったわ。私恥ずかしいくらい偏見で見ていたんだなって。この国も棄てたもんじゃなかったんだなって。

 ダメね、私王族なのに、一部だけを見て、その国を見た気になっていたようだわ。反省しなきゃね。」


 本当に恥ずかしい。私は1年半もいて、この国の何を見ていたんだろう?仕方なのこともあったかもだけど、もう少しやり方を変えていれば良かったのかも知れないと、今更になって後悔していた。


 「そうだな。でも、俺はそういうふうに言えるシエラ嬢を尊敬してるよ。」


 「え?」


 「まだちょっとしか、シエラ嬢のことは見ていないけどさ。俺的には尊敬するところ・見習わないといけないなぁって思うところが多々あったよ。俺よりすごい年下なのに、凄いなって思った。」


 「な、なんで?」


 「ん?だってさ、シエラ嬢は自覚ないみたいだけど、お姫様なのに高慢なところもないし、庶民に対しても奢った態度はとらないし、ちゃんと相手を認めたりともするし、自分の非も認めるしね。かといって、貴族の矜持を貫いているし、これらは当たり前のことなんだけど、実践出来ているってことは実はかなり凄いことなんだぜ?」


 なんてアルバードが言うもんだから、恥ずかしわ!


 「ほ、褒めても何もでないわよ!」


 「なんだ、残念。」


 そういうと、アルバードはいつものニカって感じで笑っていた。

 私は見なくても、自分の顔が赤くなってるのは、わかっていた。だって熱いんだもん!




 その後は、ウインドウショッピングして帰ってきた。


 何か欲しい物はないか?ってアルバードに聞かれたんだけど、なんだか気持ちがいっぱいになっていたので、いろいろと可愛いとは思う物はあったんだけど、欲しいまで至らなかった。あ、ユーナとイライザさんとか居残り組のお土産は買ったけどね!







 「姫様、楽しかったですか?」


 「えぇ!とっても!デートに行って良かったわ!」


 満面の笑顔のシエラを見て、ユーナはシエラとアルバードの距離が近くなったのだと手応えを感じていた。


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