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第8話 日本のヒーローは取り敢えず王都に潜伏する!!


 異世界大陸カンダミリア


 その十の国からなる十つ国の一つで序列第七位国 王都イシュダリアの城下町から少し離れた安宿の一室にまさおは居た。


 チンベルグ自治領での一件でぶちギレた まさおを止めるため、颶は まさおとの派手な戦闘を始めたが、

 後から追いついた博士が残り少ないエネルギーを使いスティールスーツを起動させ何とかまさおを取り押さえる事に成功する。


 現在はバックパック型のスティールスーツをまさおに背負わせ何かあれば自爆する様に設定し、博士のスーツを壊さないよう気持ち的にまさおの動きを封じていた...何故ならスーツがなくなれば博士は己の身を守れないただのオッサンになるからである。


「トルネさん達 遅いですね。」


 部屋には まさおの他に博士、颶、ナタリカがイスに座って丸テーブルを囲んでくつろいでおり、

 そしてトルネ、ネルコ、ブランカ、クラリが町に出てチンベルグ自治領での情報が王都に出回ってないかを探っていた。



「ムガーーーーーッッ!!!」



 まさおはベッドに突っ伏して手足をバタバタさせながら行き場のない怒りを発散させる


「まさお君、いい加減に落ち着きなさい」


「落ち着いてられるか博士ぇ、今も沢山の人が辛い目に遭ってんだぞっ」


「しかし まさお殿、王城内だけでも精鋭の王国騎士が五百に王直轄の眷属・五眷聖ごけんせいがいるんですよ?王都には正騎兵だけで五千、徴兵の者も含め五万、近隣の町村に出兵してる者、奴隷兵を集めれば百万、王都と近隣の町村だけでですよっ!これがイシュダリアの領土全体ともなれば五百万は下りません、逆らえば蹴散らされるだけです!!」



 そんな まさおを諭すようにナタリカはこの国の軍の規模がどれ程なのかを話すと博士の眉間にシワが寄る


「ナタリカさんは随分とこの国の事に詳しいんですね?」


「博士殿...お恥ずかしい話ですが、私も子供の頃はこの国の下級貴族だったのです。ですが没落しまして今は傭兵騎士として身を立てておる次第で...」


「そうだったんですか。しかしこの国だけでその数ですと十つ国全体でどれ程になるやら...」


 博士は深い溜め息だけを吐き続ける。現状この数の暴力において立ち向かうのはやはり困難であり、当初の計画通り不戦を貫き まさお達だけでも無事に帰す事だけを博士は専心した。


 だがそんな博士の親心など一切届かず、まさおは園児のように駄々をこね続ける


「んなのカンケーねぇっあと百億は連れてこいやぁ!!傷ついてる人を守るのがヒーローだろっ博士達は平気なのかよぉっ?」



         プチッ



 「平気な訳...ないでしょーーーっっ!!!」



 颶がキレた。



 まさおの言葉に今まで黙ってた颶が念動力サイコキネスで まさおを力一杯締め付ける


 ポキポキ「いだだだだ~~折れたっ助けて博士っ!!」メキポキ


「ちょ、颶君っ落ち着いてっまさお君が死んじゃうから!」



 颶が額に青筋をたてながらも深呼吸して冷静を努め、解放された まさおは半べそをかきながら内氣功で折れた骨を治癒する。


 そして颶は再度 深呼吸しながら まさおにゆっくりと口を開いた。


「まさお...気持ちは分かるけど、せめて寧々さん達と合流するまでは待ちなさい。現状 博士が役立たずな以上、こちらの今の戦力は二人なのよ?」


「ちょっと颶君っ!?」


「颶殿...一応私もいるのですが...」



 博士とナタリカが肩を落としツッコむが颶は話を続ける


「よく聞きなさい。私達にとってこの異世界は未知の事も多く、大陸の制度からしても殆んどが私達の味方をしないわ。まさおの能力なら大抵の怪我や病気は治療出来ても常にまさおの傍にいられる訳じゃないし、医療が発達してるとも思えないこの世界での私達の負傷は死にも直結するのよ」



「だったら俺一人でーーー」



「一人で行かせる程度の絆か?私達は?」



 まさおの言葉に博士が紡ぐ...その博士と颶の眼を見たまさおは何も言えず俯くしかなかった。


 それは逆の立場なら まさおも決して仲間を見放さず、仲間が死地に赴くなら必ずついて行く...その心が痛いほど胸に刺さった。



「まさお君、今地球の仲間ヒーローや沢山の人達が必死になって行方不明になった私達を探している筈さ。そして必ず異世界ここへやって来ると私は信じてるよ。」


「そうね。もしその時に私達が全滅してたら新しく来たヒーローは『ゼロからこの異世界を知り、人を救う計画を始めなければならない。』少しでも早く多くの人を救いたいなら私達のすべき事は、戦うではなく きたるべき時に備えるのよ」



 博士も颶も虐げられている人を救いたいという想いはまさおにも劣らない...同じヒーローなのだから。


 改めてその意思に触れ、少し冷静になったまさおはバツの悪い顔をして頭をかいた。


「...は~わかったよ。んで ど~すんだ?」


「それなんだが正直やる事が多すぎてどれから始めたものか...」


「なんだそりゃ!?」



 そこへ ドアがノックされ、外に出ていたトルネ達が帰ってくる。

 両手には市場で売られていた食料やら雑貨等が抱えられていた。



「お待たせしましたカナ?出来れば食堂で食事をしたい所ですが今は目立たないに越したことはないでしょう」


「博士殿達にフード付きのマントも買ってきたサネ、出歩く時はこれを身に付けな。」


「ありがとうございますトルネさん ネルコさん。色々とお世話になりっぱなしで...」


「何をおっしゃいますやら、道中ともにした仲 水くさいですカナ。」


「さぁ立ち話もなんだし、まずは皆で腹ごしらえするサネ。」



 皆がイスに腰掛けトルネ達が市場で仕入れたパンや果物で食事を始めると、ナタリカが王都の動きを尋ねる


「それでクラリにブランカ、町の様子はどうだった?」



「そうですな。取り敢えずチンベルグの事は今の所 王都には届いておりませヌ。恐らく王族が負けたとの体裁を気にしておるのでしょうが...」


「でも領主が箝口令を敷いても、結局あそこにいた冒険者や商人が王都に来た時に噂は広まるけどね」



「...そうか、ならば刺客が送られる可能性が高いな。王族は面子を一番に重んじる以上、噂がたつ前に王族に逆らった逆賊として処理するだろう。不肖このナタリカがこの身に変えても御守りせねば...」


「文字通り盾にしかなれませヌがな...」


「逆に守られちゃったりして」



「.......。」



 ナタリカが暗く沈む。人一倍どころか三倍はある責任感と騎士道精神の塊のナタリカは何とか 博士達に恩返しをと考え、既にトルネ達の王都までの護衛という任務は終了しているが帰らずに付き纏っていたのだ...



 そしてトルネは今後の事について博士達と相談する


「それで博士殿達はこれからこの大陸の情報を集めつつ奴隷解放を...目指すんでしたカナ? いやはや何とも壮大な話で...」


「んで具体的にどうするサネ?まさか布教活動みたいな事はしないサネ...」


「いえ、そんな事すればすぐ争いの火ダネになりますからね。まずは奴隷・差別を好ましく思わない有力者との接触と地盤を固める事から始めようかと...出来れば十つ国の王の一人でもそういう人が居れば助かるんですが、もしくは同じ王族血縁者やその縁の貴族豪族等ですかね。」



 圧政で虐げられる人々を煽動し国家を転覆させるとは言うが安し、反乱を起こすところ迄は簡単に出来るだろうが実際には王国の武力・軍勢・魔法と未知の情報も多く何より確実に沢山の血が流れる...当然、博士達が取る行動は政治である。


 国家および権力作用に関わる者と関係を結び、諸権力や諸集団の間に生じる利害の対立などを調整させ徐々に流れを作ろうというのだ


 勿論いきなり大陸全土による奴隷解放などとのたう事はせず、先ずはごく一部の地域で労働に対する環境の改善から始めれられれば上出来と博士は話し、その先駆けとして少なくとも賃金の支給は絶対である


 雇う側からすれば多少の作業行程が遅れようと仕事が雑になろうと奴隷として無料タダで使えるのならその方が良いと考えるだろうが、それは先進的な考えではなく人は得がなければそれ以上の仕事はせず辛いだけの仕事は考える事を放棄させる


 しかし《この世界において》【労働に対する正当な対価が支払われる】事になれば、奴隷らは与えられる仕事以上を自ら率先・考え・行動し、それが又 対価として昇給・賞与が支払われ好循環による相乗効果を生み経済を発展させることは間違いない


 もしそこで【金を貰っても言われた仕事しかしない】、【怠ける者は必ずいる】と金を与えた程度でそこ迄の効果があるのかと疑問に思う者がいるとすれば、それは【衣食住を既に持つ】恵まれた生活をしてきた者の言い分に他ならず、


 そんな者達だからこそ『もっと働きより良い生活』『現状に満足、又は妥協し与えられた仕事だけをこなす生活』『全てを捨て路上生活』という【選択肢】があり、怠惰・怠慢の選択肢も生まれる。



 ならばその選択肢が無い者はどうか?



 奴隷である以上、働かない代わりに金衣食住を得られないが自由奔放勝手気ままな路上生活を手に入れられるなんて選択肢はない


 生まれた時から無理やり働かされ自由は無く衣食住もままならない環境の者に、


【鞭を打たれ無給で強制的に働かされる人生と】


【労働は強制であるが賃金を貰え衣食住の手に入る人生と】


 その二択を与えた場合...その二択しか無い場合に前者を選ぶ者など皆無である。



 人は《食欲》、《性欲》、《睡眠欲》と誰もが持つ三大欲求の他にーーー


《命を狙われず安全に暮らしたい・寒さを凌げる家に住みたい・病気にならず健康に生きたいという安全欲求》、


《周りが金を得て衣食住を手にした時に己は何もない惨めな奴隷として取り残されたくないという社会的欲求》、


《無給で働かされ蔑まれてきた者が己の仕事に対し正当な対価を貰える事は評価された証であり認められるという承認欲求》、


《そうして奴隷から人並み以上の衣食住せいかつを経て自尊心が芽生えれば、その中から世界を変えたい・貧しい人や困っている人を助けたい・こんな自分でいたいと思う自己実現の欲求》


 ーーーというもう【一つの三大欲求】


《生存欲求》・《関係欲求》・《成長欲求》が存在し、普通の家庭に育った者達よりも生まれた時から奴隷として虐げられ強制で働かされ何も与えられ無い者達の方がその欲が叶う時に何倍以上もの力を発揮するのは明白だ。


 そこで初めて奴隷達の間で【競争】が始まり、《淘汰される者》、《劣等感を抱く者》、《向上心を無くす者》が怠惰・怠慢・懶惰するのであり、初期段階で怠ける奴隷が現れることはまずない



 これは心理であり真理である。



 そして賃金を支払われた方が著しい程の成長と進化を遂げ生産性とパフォーマンスが上がれば僅かでも奴隷環境の流れは変わる


 ビジネスの基本・損して得取れと言わんばかりに金を払ってでも儲かる方を人は選び、安いものよりも高いものを選ぶ人もいる。


 幸いにもこの異世界には王族・貴族・豪族といったプライドや見栄に格好や体裁を重んじる者も多く、奴隷の質が向上すれば金を払ってでも欲しがる富豪は後を絶たないだろう

 

 そこからは対等とは言わないまでも衣食住を手にし生業を称賛され社会的地位が少しでも上がった奴隷ならば、奴隷解放に向けて運動を始めても耳を傾ける人はきっといる



 とても気の長くなる筋書きだが今はこれが最善であり最速だと博士は話すが、トルコは少し渋い顔をする


「そうですか、話は分かりました。ううむ...ただそうなるとやはり十つ国の王族達が厄介ですカナ。少なくとも十つ国序列 第1~6位迄の国や王族は人間そして王族至上主義が絶対ですので、例えどんなに儲かる話でも人種以外の者達に権利を与えることはあり得ないですカナ。

 ですが第7位以降の国や王族達は辺境の土地ともあって遥か大昔の支配戦争前には人以外の種族とも共存関係がより強く、前者の国々よりは差別意識が大分マシとは思いますが...」


「確かに下位国では奴隷差別をよく思わない民もおるサネ。それでも上位国の威光が届かない訳じゃないし、下位国は完全に傀儡政権かいらいせいけん的な感じでただの傀儡くぐつサネ。」


 ネルコは結局のところ協力をこぎ着ける有力者探しの段階で頓挫しかねないと話すと、クラリが不意に呟く


「大体まさお達の味方をして何の得があるの? そんな無償の偽善に付き合った所で国や一族が滅ぼされたんじゃ割りに合わなさすぎるでしょ。」


「んだとテメーーーッッ!!!」



 そんな身も蓋もない無慈悲な言葉に まさおは激昂するが、皆が暗い面持おももちで黙る...それはこの世界に置いてそれが善でもあり最も正しいのだ。


 民族浄化による支配戦争から千年の間、誰にも異を唱えさせず今までその文化と秩序を保ち続けて来た王族の力は絶対であり正義ーーー



 その千年の歴史こそが王族の力なのだ。



 そして まさおはまだ気づいていないが博士や颶は薄々感付いていた。


 現在、人間だけの地球でも約75億人もの人口が存在する。


 しかしこの異世界には人種以外にも多種多様な種族が存在し、それだけでもこの世界の人口がどれ程 多いのかを窺わせる。



 又 《日本》《アメリカ》《中国》《フランス》《イギリス》《ドイツ》《ロシア》等の自衛隊や軍の数は国の人口の約0.12~0.62%程である。


 その平均を先程ナタリカが言ったこのイシュダリアの軍の数に当て嵌めれば、少なくともイシュダリアだけで約14億人程の人口がいる事になるが、


 実際は、地球では兵士よりも近代兵器での戦いになる為、異世界よりも人口に対し軍の割合は少なく、逆に異世界では必然的に軍の割合は多くなる。



 そしてこの異世界は獣人のレオム達の様に勝手に村・集落等のコミュニティを築く者達や、家や金が無くとも冒険者や流浪として魔物魔獣・動植物を狩って生きる者、


 面接などいらず飛び込みで畑仕事などその日の職・糧を貧しいながらも手にする事が出来やすい分、地球より人口が増えやすい環境ではあった。


 そんな異世界の諸事情をトルネから聞いた博士は稚拙な推測ではあるが、この国だけでも二十億は超える人口を予想していた。


 そして、十つ国を合わせれば恐らくは何百億以上...


 更には王族の民族浄化による支配戦争でとても多くの者達が犠牲になったとしても それほどの人口が現存するならば、戦争前には一体どれ程の人がこの大陸にいたのだろうか?


 それほどの数を制圧した王族の力とは一体どれ程なのか?



 それが博士や颶の懸念であった。

 


 皆が不安を募らせながら重苦しい雰囲気で食事を終える。そしてそれぞれが己の部屋へと戻るなか、トルネとネルコも博士達の部屋を出ようとした際 博士が軽く会釈しつつ礼を述べた


「トルネさん、ネルコさん何から何まで本当にありがとうございます。それともう一つ...もし私達を狙う者に何か問われる事がありましたら...」



「もっ勿論誰にも言いませんカナっ!! ご安心をっっ」


「そっそうサネっ!!恩人を売る様なマネしないサネっっ」



 博士のその言葉に少し焦った様にトルネ達が返答した...が、博士はトルネ達に思いもよらぬ言葉を返す。

 

「いえ、遠慮なく相手に私達の身柄でも情報でも渡して構いません、ご自身の安全を何よりにしてください。」


 博士のその言葉に、トルネとネルコは少し逡巡しながらも真っ直ぐ前を見据え口を開く


「博士殿、我々は商人。取り扱う一番の品は信用ですカナ、それを無くせば商人として死んだも同然。」


「そうサネ。何と言われようと恩を仇で返すつもりはないサネ、こっちは大陸中 旅して危険なんか慣れっこサネ。」



 そう言ってトルネ達は博士達の部屋を後にし、博士は二人の出ていった扉に向け再度 頭を下げる.....そしてトルネとネルコは宿の廊下を少し歩いた曲がり角の所で立ち止まると深い溜め息を吐きながらヒソヒソ話を始めた


「ふぅ、見捨てても構わんか...ーーーというか私はお前が兵を引き連れてこんか心配したカナ? マントを買いに行くと離れた時に...」


「はっっっそれはこっちの言葉セリフサネ!大体 反逆罪で引き渡した所で褒賞金なんざ端金はしたがねサネ。それより見たかい?博士の腕輪?」


「もっ勿論!!あの細かな宝飾に針が回ってたカナっ、何でも時を刻み中には小さい歯車が幾つも噛み合って魔力いらずで動くとか...」


「博士殿や颶殿のあの衣服も物凄くいい生地サネっっっ。まさお殿の『バッシュ』とか言う靴を履かせて貰ったら、靴底がゴムと言う素材で中に空気が入っているとかで靴の中フワッフワサネっっっ!!」


「それにあのケータイも凄いカナっっっ、これはもう私の一世一代の商人としての勘が吠えまくってるカナ!!!」


「もし博士殿の国との貿易権が手に入ればこの国ーーーいや大陸随一の商人も夢じゃないサネっっっっ!!!!」



「「...絶対逃してたまるかっっサネカナ」」



 そうしてトルネとネルコはガッチリと互いに腕を絡ませ不気味な笑いを宿に響かせながら夜は更けていった...




   ーーーーーー次の日ーーーーーー




 博士はトルネと知り合いの商業ギルドへ、颶はネルコと共に冒険者ギルドへと大陸や十つ国の詳しい情報・情勢などを調べる為に朝早く出掛ける。


 そして まさおはお目付け役のナタリカ達と供に王都の城下町を適当にブラついていたが、


 博士からまさおが暴走しないよう呉々(くれぐれ)も宜しくと任されたナタリカは緊張で少し過呼吸ぎみにまさおの後ろを歩き、まるで今から少年を襲う変態の様な目で町行く人々に見られていた。


「あ~ダリィ。ってかあの宿 出るんか? 夜中ずっと変な笑い声してやがって...」


「ちょっ、怖いこと言わないでよね!? それよりいい? 町で私に...いえ副長に迷惑かける事しないでよねっ! 絶対に絶対よっ自重しなさいよ!!」


 クラリがフラグを立てるような事を言いながら まさおを諌めるが、そのまさおは宿を出て一歩目から ず~っと顔は引き攣らせていた。


 それは宿を出た瞬間 奴隷を連れた奴隷商が目の前を通過し、怒声と暴力を強いられながら働かされる獣人や奴隷の姿、そして彼等の身なりや痩せこけて生気を失ったその眼...


 まさおは かれこれ一時間近く『ヒッヒッフ~~』とラマ~ズ法を繰り返し、怒りを出産しないように努めていた



 クラリからは『町出ないで宿に居ればいいのに』と言われるが、まさおはこの現実から眼を逸らす事はしない


 見ない事で知らない事で胸の苦しみから逃れない


 何故なら奴隷や獣人達の方が余程苦しいのだから...



 そんな まさおを端から見てナタリカは気が気でなく、ブランカも まさおがブチ切れそうな事が周囲で起きた場合に即行ソッコウまさおを担いでその場を離脱出来る様に眼を光らせて辺りを警戒していた



 暫く沿道を歩いていると草木花に彩られた大きな公園の様な広場があり、


 そこで獣人の子供達が木の下の土を掘り返しカブト虫の幼虫みたいなモノや、木の実を拾って集めながらそれらを口に運ぶ姿があった。


 ナタリカが恐る恐るチラッとまさおの顔を見るとそこには、つい先日 自分が殺されかけた魔獣などエラく可愛く見える程に悪魔の形相をした化け物がいた...


       「ヒィッッ!!?」


 流石にもうアカンとナタリカがブランカとクラリに目配せをして撤退しようとした正にその時、貴族らしき身なりの良い青年達が広場へやって来て獣人の子供達に近づいていく


 もう嫌な予感しかしないとクラリは天を見詰め神を恨んだ


「おい獣人の小汚ねぇ餓鬼共がこの広場に来んじゃねぇ!! クセェし目障り何だよっっ」


 不敵で下卑た笑みを浮かべる青年達のリーダーらしい男が獣人の子供達を恫喝し、子供達が一生懸命集めた木の実を踏んづける。


「そっそうだぞ!王族と遠い親戚関係にあるこの『カスス男爵家 三男のダメオ様』は今度、疎まれてるのにイヤエ準男爵家のヤラァさんをこの公園へデートに誘うんだぞっ獣人のガキがいると邪魔なんだな!!」


「おいっオネス!余計な事を言うんじゃ.....ん? うとまれ...聞き違いかな? とにかくこの辺に二度と近づくんじゃねぇ分かったか!!」


 リーダーのダメオの右腕・オネスが続いて子供達を恫喝し、他の青年達が眼を逸らすなか再びダメオが叫ぶと、獣人の子供達は暴力を振るわれると怯えながら小さい体を寄せ合った


 その光景を周りの通行人などは[よくあること]と見て見ぬ振りをし、大して関心もなく素通りしていく



 そしてナタリカが再度チラッとまさおを見ると、そこには先程と打って変わって仏様もビックリの満面の笑顔になっていた...


 その辺の通行人はまさおの笑顔を見て『あらあら何か良い事でもあったのから?ウフフ( ´∀`)』と優しい眼差しを向けるが、


 ナタリカはどう見ても善人の皮を被った悪魔が笑っている様にしか見えず すこぶる怯えた



 それから まさおはおもむろにその辺の米粒程度の小石を拾うと、幽遊○書 戸○呂 弟の指弾みたく小石に気をブチ込み親指ではじき、次の瞬間ーーー 



        《 パンッッ 》



 獣人の子供らを取り囲んでいた青年達のリーダーが突如、空中で一回転し地面に叩きつけられた...


「なっ何だっっ!?」

「一体何が起きたんだ!!?」

「おいダメオーーーーー!!」

「駄目だ白目向いて完全にノビてやがるっ..」


《パンッ》《パンッ》《パパンッ》


 次々とまさおの小石指弾が青年達の頭にヒットし全員が宙で一回転して地に落ち気絶した。


『おいっ大丈夫か!』

『何か音がしたと思ったら急に一回転したぞ!?』

『どーいうことだ?』


 その光景を目にした通行人達が驚きながら、ノビてる青年達の周りに群がり ちょっとした騒ぎになるが、そこへまさおが白々しく割ってはいる。


「お、おおおお オラ見ちまっただ~、この木の精霊様がおのの子の木の実を踏みつけた青年達に神罰を与えただ~~~! ホレ見てくんろっ公園にある木の中でこの木が一番ぶっとかろ?これはきっと御神木ごしんぼく様じゃっ!! オラは昔からそーいうのが分かるんじゃ~~!!!」


 まさおが内股で膝をガクブルさせながら大声を出し、チラッとナタリカを見た。


「ほへ?え、えええーーー!!?いや あのあわっあわわわわっっ!!」


 アドリブの利かないナタリカを尻目に、クラリがナニコノ茶番は?みたいな顔をしながらナタリカの代わりにフォローに入る


「そ、そ~いえばこの公園を作る際にこの木を伐ろうとした工事関係者が謎の事故に会ったとか会わないとかっっ??」


「フヌ、確かにこの『御神木』からは何か不思議なモノを感じる気がしますな!」



 クラリに続いてブランカが話を合わせると、群がる通行人の中にも『自分もそんな話を聞いた事がある』『確かにこの御神木様は他の木とは違う気がする』と相槌を打つ者も出る...


 世界は違えどそんな都市伝説的な話は何処にでもあるらしく、結局 青年達はバチが当たったという事でその場は収まり、彼等の家を知る者達に運ばれて去っていった。



 そして獣人の子供達も御神木様の木の実を食べてた事でバチが当たるのではと怯えていたが、そこはまさおが食べ物?を粗末にするのがダメであって、恵みに感謝しながら頂くのならば大丈夫とさとし通行人達も深く頷いていた。



 騒動も鎮まり野次馬が散っていき、まさお達も他へ行こうとすると先程公園には無かった飲食の出店が出始めていた。


「もうすぐ昼ですからね、まさお殿どうします?あそこで何か食べていきますか?」


「副長っ! あそこっ肉串焼きがありますよ副長!!」


 返答するよりも先にクラリが肉串焼きの出店に走り、そこには、ターミネーターの様なガチムチのタンクトップ大男が『ラッシャイ』と威勢の良い声を出しながら肉串を焼いていた。


 クラリがヨダレを垂らしそうな顔で少しでも大きそうな肉串焼きを物色し、ナタリカに『はしたない』と窘められながらも皆がその旨そうな肉串焼きを眺めていたが、


 まさおだけはその出店の横で只 肉串焼きの煙を美味しそうに吸っている獣人の子供達を見ていた。


 当然、獣人は皆奴隷であり、幾ら働こうと金など貰えず物を買う事も出来ない...故に、その子供も金など無い。


 しかし まさおにはそんなの関係ない。


「おいオヤジィ、その肉を園内にいる子供達に食わしてやってくれよ。」



「「「「んなっっっ!!?」」」」



 ナタリカ達も肉串屋のオヤジもギョッとしながら まさおを見る。


「おい小僧っ!?自分がどんな酔狂してんのか分かってんのか?獣人の .....いや何でもねぇ、こちとらも商売だ。金さえ貰えりゃ文句ねぇ1つ銅貨四枚だぜ」


「ワリィが金はねぇ」


 肉串屋の親父の言葉にまさおがふんぞり返って答える


「おいナメてんのかテメェ!?タダで振る舞えってか?こちとらも生活があるんだぞコラッ!!」


「ま、まさお殿っ流石にそれはちょっと...」


「馬っ鹿じゃないの?ほんと馬鹿よアンタ!」


「あわわわわわわっっ」


 クラリとブランカが止めに入りナタリカだけは相変わらずオタオタしてたが、それでも まさおは周りの反応など気にせず話を進める。


「オヤジってガタイいいな。昔何かやってたんか?」


「へ?お、おぉう。俺はこれでも昔はソコソコの冒険者でな、足を怪我するまでは大陸中を旅してたんたぜ!」


 そーいいながら肉串屋のオヤジは棒の添え木をしただけの無くなった右足を見せた。


「ほ~う。そんじゃオヤジは腕っぷしに自信があるんだな?だったら俺と腕相撲しようや、そして俺が勝ったらその肉串を子供達にご馳走してくれよ?」


 その言葉に肉串屋のオヤジがピクッと眉を吊り上げる。


「おう上等じゃねぇか小僧...引退したとはいえ、こちとら元冒険者の意地と誇りまで捨てちゃいねぇ。もし俺が勝ったらどーしてくれんだ?おおう?」


 この一触即発の状況にナタリカ達は何も出来ずただ息を飲む...


「フッもしオヤジが勝ったら無料タダでこの銀貨をくれてやるよ!」



「「「「あるじゃねーか 金ぇっ!!」」」」



 まさおが朝トルネに貰った銀貨一枚をポケットから取り出した。


「いやコレ一枚だけじゃ皆に肉が渡らね~だろ? ど~するオヤジィ、俺に勝ちゃ銀貨一枚まる儲けぇだぜぇ~ケケケッ」


「うわぁまた悪魔の笑顔してるぅ...」


 クラリがドン引きしながらも『じゃあ私もひとつ貰うわねェ』と、まさおが勝つと言わんばかりにもう肉串をまんでおりオヤジを激昂させた



「上等だコラァ!その安い挑発に乗ってやるぜっっこのクソ餓鬼共が世の中の厳しさを教えーー「はい並んで並んで~」『にぐ~』「無料タダだよ~」『いいのォ!?あでぃがどう。』『おにぃぎゅう』


 「おらーオヤジィもっと焼けぇ~!!」


 「わ~ってるよコン畜生がっっっ!!!」



 .........瞬殺だった。



 ナタリカ達が近くの獣人の子供達に声を掛け、まさおが肉串を配っていく。


 人間の奴隷の子供達や肉を食べた事のないという庶民の子供達も遠くから指を加えて見ていたが、まさおは子供達全員に隔てなく肉を配り、中にはシレッと大人の其処許ソコモトが列に並んでいたがキッチリまさおが排除した。


 最終的には五十人を軽く越える行列ができ、肉串屋のオヤジが泣きながら急ピッチで肉を焼いていく。


 子供達は初めて食べる肉に泣きながら食べる者や、一口だけ食べて残りは親兄弟に持っていこうとする者に美味すぎて胃が受けつけず戻そうとするのを必死に堪えている子がいた。



 そして肉串が無料で完売し、オヤジは精も根も燃え尽きて別の意味でもグッタリする。


 肉串屋のオヤジは特に悪い人ではないのでナタリカも流石に気の毒に思い声を掛けようとすると、まさおは持っていた銀貨一枚をオヤジに放り投げた


「おいオヤジィ全然足りね~だろ~が、一つ借りって事にしといてくれよな。」


「ケッ勝負は勝負だ。金はイラネ~...と言いてぇ所だが俺も余裕が無くてな、コイツは有り難く貰っとくぜ。」


 二人が『フッ』と笑うとナタリカとブランカも、こういった男くさいのが好きなのか同じ様に『フッ』とニヒル顔になって見守り、クラリが『ナニコレ?』と若干引いた...



「おい小僧、なかなか良い腕っぷししてるじゃねぇか。見かけねぇ顔だが名は何てんだ?」


「俺はまさお、斉田 まさおだ」


「ほう珍しい名だな。俺はアルドスワルツ・イェガーってんだ、宜しくな まさお。」


「えっ?アーノルドシュ○ルツェネッガー?」


「違うわっアルドスワルツ・イェガーだ!!」


「あぁゴメン、玄田げんだ てっ○サンね ヨロシク」


「カスりもしなくなったぞ!?誰だそいつはっっ アルドスワルツ・イェガーだ!!」



 アク○ョン仮面の様な声でツッコむイェガーに、しんの○けの如く『ほうほう そーともいう』と華麗にスルーするまさお。


「ったく、お前の様な奴は初めてだぜ...ホレ!これが本日ホントに最後の肉串だぜ食いなっ お疲れさん!!」


 イェガーはまさおとナタリカ達に肉串を渡し、ナタリカは自分達の分はと金を払おうとするが もう御代は貰ったとイェガーは受け取らなかった。



「イェガーさんって好い人よね...普通ならどんな挑発されようが賭けに負けようが獣人に振る舞うとかしないし、なし崩すのに...」



 クラリがシレッと二本目の肉串をムシムシとかじりながら呟くと、イェガーはその言葉に苦笑いをしながら遠い目をして語った。


「まぁさっきも言ったが俺は昔 冒険者でな。冒険者や冒険者ギルドお抱えの獣人奴隷と共に幾度も魔虫・魔獣・魔物等の討伐をした事があってよ...


 そして獣人に命を救われたのは一度じゃねぇ....


 勿論 獣人達からしてみれば俺達人間なんざ助けたくもなければ後ろから刺し殺してやりたかったのかも知れねぇが、

 人間に何かありゃ責任を取らされるんで獣人ヤツラも必死で人間おれたちを守ってくれたよ。


 まっ気にしねぇ奴がほとんどだが俺は割り切れるほど器用じゃなくてよ...別に恩返しって訳じゃねぇが前は残り物のヤツをその辺の獣人ガキ共にくれてやってたんだがな......。」



 そこでイェガーは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべると、そこへこちらに近づいて来る巡回中の衛兵二人の姿があった。


 それを見たイェガーが舌打ちをしながら一瞬 険しい顔になるが、すぐにいつもの顔に戻し二人の衛兵に軽く挨拶をする。


「やぁ兵長殿。」


「お前かぁイェガー、何だこのガキ共の集まりはっ?まぁた獣人のガキ共に食わせたんじゃないだろうなぁ、そんなに肉が余ってるなら『前』みたいに『全て』の肉の処分は我々がしてやっても良いのだぞぉ?」


 そういってその兵長は笑いながら自分の腹を擦った。


 もしまた獣人の子らへほどこしたのがバレれば『獣人にタダで食わせて人には食わせんのか』と執拗に絡まれ、嫌がらせや営業妨害をされてしまう...故に兵士共にも無料で大量に品を振る舞わなければならなくなり、イェガーにとっては『また』死活問題になってしまう。

 

 しかしイェガーは事の成り行きを言わない。言えばその矛先がまさお達にいくと思ったからであり、出会ったばかりとはいえ その縁を軽んじるなどイェガーの矜恃が許さなかった...


 いやそれ以前に自分と同じく獣人と接するまさおを見て何気に気に入っていたのだろう...イェガーは、まさおに目配せをしてこの場から立ち去る様に促す。

 


 ーーんが、やっぱりまさおには そんなのカンケ~なかった。



「おいおい何を言ってんだクソ兵士、俺の金で誰に何を振る舞おうと俺の勝手だボケ。」



「「 おいっっっ!!!? 」」



 クラリとオヤジがツッコんだ。


「ちょっとアンタッせっかくイェガーさんが男気見せてくれてんのに何言ってんのよ!! 空気読みなさいよっ私でも分かったわよバカッ」


 ナタリカとブランカが額に手をあてクラリがまさおを無理矢理引っ張っていこうとするが、イヤイヤするまさおの前に衛兵二人が立ち塞がった。


「ふ~ん 随分と羽振りが良いじゃないか貴様、ガキ共に喰わせるほど金が余ってるなら俺らにもご馳走してくれよ?王都の治安を守ってやってんだ、労いは必要だろ?」


「へへっまさか獣人には金だして人間おれらは断るとかしね~よなぁ?」


 二人の衛兵が高圧的に詰め寄り、イェガーとブランカは仮にも王都の兵士が年端もいかぬ子供にタカるなどと憤怒し間に割って入ろうとするが、


 それよりも先にナタリカがその衛兵二人に向かって.......懐から心付けの銀貨二枚を出そうとしていた。


 ーーーーが更にその前に、


「えっ?いいよ。年下におごられても平気なら全然ご馳走するよ?俺は『おとこ』として意地でも年下には奢られないし奢るけど年下に奢られて皆からバカにされてもアンタらの小さい器が傷つかないならもう何でも食べてってよ。年下から奢られて恥ずかしげもなくむさぼり食ってくれ。」


「グヌヌッ!?」


 まさおの捲し立てる言葉に一応プライドがあるのか二人の衛兵は口をつぐむと、その兵の一人がまさおの不敵で不遜な態度にもしやと訝しむ。


(お、おい もしかしてコイツ何処かの貴族のガキじゃないのか?態度といい金があるといい、それに傭兵騎士を連れてるぞ?)


(嘘だろ?服とか少しボロボロだぞ?だが確かに珍しい身なりはしてるな...)


 衛兵二人が後ろを向いてコソコソと話をするが、まさおが内氣功を耳に集中してしっかりと盗み聞きをしていた。そしてーーー


「おい貴様っ...坊っちゃんは、ドコかの貴族か?.....ですか?」


 急に腰を低くしながらこちらを窺うように兵士がまさおに問いかけると、まさおはニヤリとしながら超ふんぞり返って答えた


「俺か?フッ聞いて驚け!そして膝まずけ!!俺はカスス男爵家が四男 マッサ~オであ~るっ」



 「「「「 んなっっっっっ!!? 」」」」



 あろう事かまさおは先程の貴族の青年の姓を騙り、次の瞬間ナタリカはバターンと卒倒して倒れた。


 王族でないものが王族を騙るのは超重罪である。ーーーが、だからこそ そんな不埒を働く者などまずいないという先入観から兵は まさおの言葉を信じた


「カ、カスス男爵家ってこの辺りでは有名なクソガキの三男の...ク...ケ?..ボケオ?のいるあのカスス男爵かっ!!?」


「王族の血縁関係だからっていつも俺達を馬鹿にしやがるクズ三男の...え~クソオ?の弟か貴様ぁ!!」


「アンタらホントの家族に聞かれたら処刑されるわよ...」


 クラリがそっと兵達にツッコみを入れると、更にまさおが捲し立てる


「フッ 俺が子供達に飯を食わせたのは俺を崇め感謝したてまつり ゆくゆくは俺の兵隊にする為であり、そして兄貴で三男の...え~ゲロオ?よりもカスス男爵家に四男の我ありと世間に知らしめるのさっっ!!」


「ナニィーーッ!?その年で既に後継者争いで兄を蹴落とす算段を企てているのかっ??」


「コイツはあの糞ったれの~~マメオ?よりも恐ろしい奴だぜ...クッ仕方ない、今日の所は何も見なかった事にするからあまり騒ぎを起こすなよ。あと兄貴に悪口の事は言うなよ...言わないでね!!」



 そう言いながら、衛兵二人はそそくさと逃げる様に去っていった。


「いや ダメオだから。名前覚えてあげなさいよ...ってか 一応悪口の自覚はあったのね...」


クラリが呆れたように呟くのを尻目に、偉そうにふんぞり返ったままのまさおはイェガーとブランカに渋い顔をされていた。


「おいまさお...お前どエライ事しちまったなぁ」


「フヌ...まさお殿、この大陸ではそうでないものが貴族豪族をかたるのは重罪、そして王族やその血縁を騙るは死罪で...まぁ既に王族血縁の領主を殴っておるので今更ですがね...」


「まじか...」


 肉串屋のオヤジが まさおと知り合った事をもう後悔し始める



 そしてーーー


 まさおはこの後も町で獣人達をしいたげる者を見る度に小石の指弾で一回転させては『ナントカの精霊様が~~...』と茶番劇を十回以上繰り返し、


 やがてちまたではその日は精霊が一番多く地に降り立つ日とされ、毎年その日には精霊祭なるものが開催されるようになったのは又 別の話 .....


 

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