第7話 日本のヒーローは日本でも奔走する
東京都千代田区にある皇居...
普段は観光客で賑わうこの地も、今は夥しい数の警察官達が皇居内に外苑と埋めつくし、辺りは物々しい雰囲気になっていた。
それは先日、世界五大テロ組織"ヴィナシス"と組み 東京でテロを仕掛けた黒幕であり、
自称 "ゴッド サイエンティスト"の【狂翁院 鬪舞】のアジトが、事もあろうか皇居の地下深くにあったからに他ならない
その地下にある100㎡程の広さのアジトに、ヒーロー協会と警視庁との合同捜査が行われ、関係各所様々な者達が入り乱れていた。
「にゃんにゃん~ 可思議にゃん、このアジトのセキュリティは全部解除したにゃん(=゜ω゜=)
あと隠し通路や隠し部屋は無かったにゃん~」
そう言うのはピンクツインテールの猫耳メイドっ娘姿をした これでもヒーローの《フィーリス》が【可思議】という男に報告をする
「フゥン そうか...あのドーナツ型の装置から出てきた爆弾がここにある以上、博士達もコチラにいると踏んだんだがなぁ。
まぁすぐに連絡がない時点で不足の事態は想定内だが~。」
「でももし博士にゃん達に何かあったら、可思議にゃんが責任取らされるにゃんねぇ。
《 ヒーロー協会 東京支部 参謀本部長 》にゃから」
「フゥン それは想定外だなぁ...不味い事態なったもんだ、まぁ後は取り調べの連中に任せるしかあるまい。」
そんな言葉を吐く割りには別段焦った様子も無く、ヒーロー協会 トップの可思議は、只 淡々と各所から来る情報を整理していった...
そして今回のテロ騒動の黒幕を隔離している警視庁でもマスコミの報道陣が詰め寄るなか、厳重に警備警戒される取調室にて尋問される一人の男がいた。
今回の東京都内テロ未遂の首謀者・狂翁院 鬪舞その人であり、あのドーナツ型の転送装置の爆発で博士達が居なくなった後に、駆けつけた他のヒーローによって確保拘束されたのだ。
「...んで~コノりゅうしプラズマクラスク~...なんだが...おいっ聞いてるかっっ!!」
一人の年配の警官が取調室の机を拳で強く叩く
〔フワ~~ハハハ! モチのツモさ!!何でも聞いてくれたまヘ~と言っても、このゴォーッド サイエンティーッストの創った物を聞けるだけのオツムが君達に在るのか疑問だがねっ?〕
「ぐっ.....テメっ」
「巌警部、少し休憩しましょう」
この尋問中に狂翁院の幾度と繰り返される挑発に厳警部と呼ばれる男がキレまくるが、もう一人の女刑事が間に入り世間話でもする様に軽く呟いた
「ったくアナタも本当に騒ぎを起こすのが好きね...もし"ヴィナシス"の奴等がアナタの作ったあの超大型爆弾が【ただの花粉爆弾】って知ったら殺されるわよ?」
〔フワハハハッわたーしが本気でテロリスト共と手を組み愚民共を殺す訳がなかろう!
何故ならば世界はこのゴォーッド サイエンティーッストの超天才であるわたーしを崇める役目があるのだ~っから!!
今回の超絶大世紀の大発明のお披露目に利用された馬鹿なテロリスト共がわる~いのだっっ〕
「あーうるせぇ!休憩は終わりだっこんな話をしてる場合じゃねんだよ!!」
狂翁院が悦に浸るのを遮り厳警部が取調べを続行すると、その意図を見透かされたように狂翁院はニヤリと薄笑いを浮かべる
〔フハハッ何を焦っているんだい?まるで転送装置で博士達がどこかに飛ばされたあと まだ見つかっていないみたいな顔をして?〕
「ッッッ!!!??何故それをーーーっ!!?」
〔フワーハハハッだーれが創ったと思っているんだね?君達と違ってあの装置はとても繊細なのだよ。
0.0000000000000000000000001の電圧制御や回転率の違いで決まった時間や場所に転移されなくなる...それをあれだけ外部干渉すれば当然の事さ。〕
狂翁院のその余裕な態度に女刑事は直感的に理解する
彼は重罪犯の容疑者として拘束されている割りには悲観した様子は一切なく、それ処かこの後は普通にここから出られるとさえ思っている節が見られる
つまり狂翁院は【全て】を把握している...博士達に何があったのか、何処にいるのかも。
そして人質として博士達の身柄を引き換えに己の恩赦を取りつけようとしているのだと...ならばと女刑事はその誘いに乗っかる事にした。
彼の罪や取引に応じ恩赦を与えるかどうかも上の判断であり警察官である自分が決める事ではなく、自分が今すべきは博士達の身の安全が第一であると判断したからだ
「ほうそれで?お前には分かるのか?その転移された場所ってのが...」
〔ん~~ど~だろうね~、ただ地中や宇宙空間にマグマの中か北極点か...それとも海の水深200㍍以上とかに飛ばされてたら無事では済まないかもねぇ〕
狂翁院はわざとらしく此方の不安を煽り焦らしを入れてくる。
この時点でやはりこの男は何かを知っており、後は互いの妥協案を詰めて駆け引きを成立させてやればいい...女刑事は思いながら話を進めようとした瞬間ーーー
「テメーぶっ殺してやるっっ!!」
「ちょっ巌警部っっ!!?」
狂翁院の挑発にまんまと引っ掛かった厳警部が机を乗り越え彼に掴みかかり女刑事がそれを止めに入る。
そしてその様子を別室で見ていた他の警官も取調室に雪崩れ込んで巖警部を数人がかりで抑えこんだ
〔フワ~ハハハッ恐いねぇ〕
「放せっこの糞野郎がっ!!」
それでも厳警部が仲間の警官を引き剥がし狂翁院の胸ぐらに掴みかかるのを女刑事は羽交い締めしながら説得する
「おっ落ち着いてください厳警部っ、そんな事しなくても彼は今のままじゃ確実に死刑になりますから司法に任せて下さい!警部が手を汚す必要なんてありません!!」
〔フワァ~~~~....ハ?(゜д゜;) 〕
女刑事のその言葉に高笑いを止め急にキョトンとする狂翁院だが、その顔はみるみる青ざめていく
〔チヨ、チョ~~ット待ちたまへ~~~ッ何故そうなるっ?
確かにテロリストを日本に引き入れたが、私が予告状を出したお陰でテロも未遂で死傷者無しに終わり 更に無事五大テロ組織を逮捕出来たじゃないか~~!!
私はただの花粉爆弾を撒こうとしただけだしぃ~~~極刑は重すぎないかなぁ!!?〕
狂翁院は自分の罪に対する認識の食い違いに考慮し直すよう求めるが女刑事は、はっ?何言っちゃってんの?という顔をしながら言葉を返した
「あの...確かにテロ等準備罪など幾つかの罪にも問われるでしょうが、それ以前にもしこのまま【貴方が作った兵器によって消えた六人のヒーローが帰ってこなかったら】いずれ【特別失踪】により【認定死亡】となって、貴方は史上初のヒーロー大量殺人犯として歴史に名を刻む事になるんですよ?分かってます?」
っっっ!!!!!????( Д ) ゜ ゜
狂翁院は賢いが馬鹿だった。
「わ....わわわーーっかりましたぁ!!何でも協力しますっ!!!させてくださいお願いしま~~すw」
女刑事の絶対零度よりも冷たい視線に狂翁院は犬よりも従順に超絶大世紀の発明の仕組みをペラペラと喋りだす...
そしてあの転送装置にはブラックボックスが存在し、物体が転移する瞬間の計器のデータを記録しているのだという。
つまりは電子によって狂った計器の計測もされており、装置を直してその時のデータと同じよう作動させれば事実上 博士達が転移された場所へも行けることを意味する。
それを知った事で事態は慌ただしく動き出した...
東京都 墨田区にある観光スポット
その【スカイツリー】には破壊され落下したドーナツ型の転送装置がツリーの天辺に引っ掛かってぶら下がっており、下には全身白スーツの男楯男がいつ装置が落下しても能力の[バリア]を張れるようスタンバっていた。
「あ~あ、こんな時に颶や博士がいれば簡単にあのデカブツ下ろせんのになぁ...後まさおも。」
楯男がぼやくように日本には空を飛べて力もあるヒーローはあまりおらず、その為あのドーナッツ装置を降ろすのにかなり手こずっているのが現状だった...
「...つか俺、この作業が終わるまで帰れないじゃん.....」
千代田区 皇居下 狂翁院のアジトにてーーー
「おぉーい 設計図のデータの隠し場所とパスワードが手に入ったぞ~ 今警視庁から連絡があった!」
警察官の一人が携帯電話で話を終えると周囲に叫び、周りの皆がやっとかと安堵の声を洩らした。
それを聞いた可思議もすぐにヒーロー協会 管制室の斧偽に指示をだす
「フゥン 斧偽君。既に一流の科学者と技術者は集めているな?
それに加えて《燃惠華》《空呀》《苗》《瑞江》に召集をかけておけぇ、装置が直り次第でるぞー。」
「まぁそのメンバーなら『何処に』出ても即死はしないにゃんね~」
そう言って呑気に呟くフィーリスも可思議もゲートの先に待ち受けるモノをまだ知らない
たが異世界のモノもまだ知らないのだ...
地球から来る真の正義達をーーー...




