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第4話 日本のヒーローは獣人と会う!!


 旅人や冒険者、そして盗賊ですら足を踏み入れる事は殆んど無い未開の地 【大深淵の森】


 王都イシュダリアの領土に属し、全体の三分の一程の広さもあるが イシュダリアの歴代の王の意向もあり、これまで何千年もの間 一切の開拓はされずにいた。


 故にこの森に住まう生物は未知のモノも多く、既存する生物においても他国のそれと比べくもない程大きく又、独自の進化も遂げる


 そんな死の迷宮牢とすら言われるこの森に似つかわしくもない格好をした寧々・杏子・電子の三人が途方もなく彷徨っていた。



「うへぇ~完全にハグレたっスねコリャ。颶さんの声も聞こえねっス...どーすんスか?」


「でも派手な信号出すとさっきの竜に気づかれるかもだし暫くじっとするしかないーーー!!」


 そう言いかけた所で電子の髪の毛が鬼○郎の妖怪アンテナの様に立つ。


電波感知センサーに引っ掛かったわ!!虫...や獣じゃなくてこれは.....人っ!!?」



 電子は先程の竜に襲われて以降、次の如何なる異常生物にも即座に対応出来るよう電気による感知スキルを発動させ、何かがその索敵に引っ掛かる


「えっ?人っスか!?良かったっス~連れ帰って貰うっスよ~~w」


 杏子がホッと無い胸を撫で下ろす...しかし寧々はそのニヤケた面とは裏腹に警戒を緩める事なく周囲に注意を払う


「お前が言うなってツッコまれそうだけどこんな場所に人かい? な~んか嫌な予感がするねぇ...電子ちゃん数は?」


「えっ?あっはい、ちょっと待ってください。電気反響定位エレクトリックエコロケーション



 電子は一定方向の電波感知から広範囲に渡って電気を振り撒く。


 簡潔に言えば 電子は辺り一体を静電気の状態にする事で、【物体】に帯電した静電気は放電する。

 電子はこの電気の流れを読み、その物体の数や形や大きさを把握する事ができるのだ。



「えーと...ゲッ(υ ゜ロ゜)!! 56体の生体反応を確認...ってしかも囲まれてるっっ!!?」


「そ、それは、タマタマ登山に来てた学生ら一行とかってオチは無いんスかね? あとはキャンプ芸人とかナントカ...」


「こんな所に連れて来てたら引率者 訴えられるわ、それに何かデカいのいるぅ....」



 軽いプチパニックを起こす杏子を挟んで寧々と電子が臨戦態勢を取り周囲を見回す


 そして【ソレ】は 姿を現す。


 人のようで人にあらず、獣のようにて獣に非ず。


 否、全身が獣であり 身体の骨格は人そのもの...それが人の様なボロい衣服を身に纏い、手には棍棒や剣・弓・槍・盾等を装備していた。


 そんな【獣人】の姿をした異形の者達が、寧々等を取り囲み 静かに見据える。



 ーーーが、その沈黙を破るかの如く



「キャー(/▽\)♪かわいい!ケモミミよっっ!」


「モフモフっス!めっちゃモフモフっスよ!!モフらせろテメーっス(*≧∀≦*)」



 そんな獣人を見た瞬間、テンション アゲアゲMAXの杏子と電子の声が森中に木霊し、気のせいか少し呆気に取られていた獣人達だったが その中の一人、2メートル程の白い虎にも似た獣人の男が口を開いた



『ΘΞΠπБωχου』



「あっナンカ言ってるっス!お手っお手っ!!」


「カワイイ~(*≧з≦) コンニチハ~~」


 寧々は変なテンションの二人に苦笑いしながらも此方こちらを見据える獣人達に挨拶し歩み寄ろうとしたがーーー



『πβηΧΦγΨξοο!!!』



 獣人達はそんな寧々達に怒号を放ち、鋭い眼差しで武器の刃先を向けると徐々に周囲の輪を狭めて ニジリ寄ってくる



「うーん、何かかなり警戒されてるねぇ」


「はぁはぁ( ; ゜Д゜)=3 ケモミミ~~...」


「うわ、電子っち完全に目がイッちゃってるっス~」



 それでも電子が両手をワキワキさせながら涎を垂らす最中、状況を整理し冷静に場を見つめる寧々は少し逡巡し ふとある違和感に気付く。



〔目の前に白虎の獣人〕


〔その後ろに《芝犬風の子供の獣人》〕


〔左前がウサギ風の獣人女性〕


〔右前はキツネ獣人〕


〔左側に片目のチーター獣人〕


〔その後ろが《子供タヌキ獣人》〕


〔右側にモヒカン狼獣人〕


〔右後ろはアルパカ獣人と熊獣人に《猫獣人の子供》〕


〔後ろがライオンの獣人〕


〔左側後ろはハクビシン獣人〕


〔その横の木の上に《ネズミの子供の獣人》〕


 .....



「電子ちゃん さっき【56体】の生体反応って言ってたよねぇ...でも今ここに居るのは【13人】...」


「あ~まだ伏兵が後ろに潜んでるって事スよね。分かってるスよ ソレぐらい...」


「いや~そうじゃないよ杏子ちゃん。【僕達三人を十分過ぎる位に警戒するなら】《何故子供達を前線に出してきたのか》って事さ。」



 杏子の言葉に寧々が首を降り呟くと 電子も「あっ」とその違和感に気付く


 【後方に仲間の獣人が潜んで居るのであれば】そちらに子供達を預ければいい


 それをせずに【子供達を前線に出す理由】...


 それは【後ろに仲間はおらず】 いつでも守れる近くに置く為...



 嫌な予感を抱いた電子は再度、より精度の上げた電気反響定位エレクトリックエコロケーションを放とうとした瞬間 後方の芝犬風の子供獣人が悲鳴を上げる



 全員が振り返るとそこには、獣人とは異なる もう一つの異形... 小鬼ゴブリン


 緑色の身長が100㎝程度の小柄な体を越える剣を持った小鬼は、子供の獣人に対し高々とその剣を振り上げていた


 周りの獣人達は不意の出来事に全員が強張り身動きが取れないーーーー小鬼だけならば瞬時に対応できる強者もいたかもしれないが、しかし獣人達にとっては警戒する前の人間と後ろに潜む小鬼の板挟み状態が判断を鈍らせた



『Πητυυυっっっ!!!』



 泣き叫びながら腰を抜かす獣人の子供に下卑た笑いをしながら小鬼は剣を降り下ろすーーーッッ




          刹那




【そう ここで動かなければヒーローじゃない!!】




「はぁっっ電槍サンダースピア 杏子っ子供達をお願いっっ」


 「了解っス!」


 電子は子供獣人を切り殺そうとした小鬼に気絶スタン攻撃を仕掛け、その隙に杏子が連続瞬間移動テレポートで跳び 襲われた子供獣人を連れそのまま寧々の所まで戻るーーー


 ーーーと同時に寧々は自分達を囲む獣人達を更に取り囲んでいた小鬼の群れから他の子供獣人に近い小鬼の足を氷結させ、その間に杏子はすぐさま他の子供獣人も回収して寧々の元へ戻る


氷結牢楯アイスプリズンシールド


 そして寧々は子供獣人達の周りにドーム型の氷の楯を張ると そこへーーー



『人間は無視しろっ小鬼共を倒すノダっ!!!』



 ライオン獣人のその言葉に他の獣人達は寧々達に背を向け小鬼共と戦闘を始めるーー



「ん?今 日本語喋らなかったスか?」


「ねぇそれより寧々さん どっちの側につくの?そりゃぁ見た目で判断しちゃ駄目だけどさ~...てかど~見ても悪者はあっちよね?」


「ん~ま~獣人の人達は先ず話かけてきたけど、緑の人達は笑っていきなり子供を殺そうとしたからねぇ」



 寧々は取り敢えず杏子と電子に相手を殺さないよう制圧メインで促す


「よっしゃーー成敗っス!!ヒャッハーーっス」


「電子ちゃんイケるかい?」


「あーゴメン寧々さん、力が後20%もない。援護にまわる」


「分かった、この子共達の側にいてw」



 獣人と小鬼との戦いが繰り広げられるなか強さを発揮するのは、ライオン獣人、白虎獣人、チーター獣人、モヒカン狼獣人であり、

 

 危なげながらも何とか戦えているのはウサギ獣人女性とキツネ獣人である。


 残りの獣人は小鬼一匹に良くて互角程度だった。


 

 寧々はあくまで制圧を目的とし、小鬼をただ行動不能にする為に氷結させていったのだが それを獣人達は片っ端から粉々に砕いていく。


「あ~~らら...。」



 そしてハクビシン獣人が小鬼に倒され槍でトドメを刺される所をーーー


「おっとと駄目っスよ」


 小鬼の頭上に現れた杏子がその小鬼と共に瞬間移動し、他の小鬼の後ろへ現れたその小鬼は仲間の背中を槍で刺す


 そして仲間の背中を刺して混乱する小鬼の頭上にボーリング大の石が杏子のテレポートで落ちてきた



        ゴンッッッ!!!



「いっちょアガリっス!!」


   


 一方の電子は、辺り一面に血飛沫が舞い 例え小鬼であろうとその頭や腕足が切り飛ばされる凄惨な非日常に顔を真っ青にしながらフラついていた...


「イヤ杏子...何でアンタヘイキナノ?」



 そこへ地響きがなる...



 『Йιμμ!?』 『ЖЧσκλξσσ!!』


 『Щёлспфйцчτττっ』



 急に獣人達が慌ただしく叫びだす。


 小鬼に対し圧倒的な強さを見せたライオン獣人や白虎獣人すら焦る様子がうかがい知れた。



 先程 電子が言った[デカいのがいるぅ]...


 それこそが巨大悪鬼トロールである


 体長は優に三メートル以上はあるボテっとした体格に大きな棍棒を携え、何よりもそれが三体もいたのだ



 『全員っ子供等の所へ集まるノダっっ!!!』


 ライオン獣人が叫ぶと他の獣人達が一ヶ所に集うーーーその最中 キツネ獣人がライオン獣人にわめいた



『ЮЫжейнёψφ!!』



『むぅ確かにこの状況であれば、散り散りに逃げ延びる方が被害は最小限やも知れんノダが、子供等を置いては行けんっ』



 ライオン獣人がそう言うと子供達を中心に獣人達は輪になり、三方向から向かってくるトロールと残りの小鬼らに武器を構えた

 

そして雄叫びを上げたり、薄ら笑いを浮かべる者や、震えの止まらない者もいる緊張感の真っ只中、寧々はライオン獣人に話かける



「あ~初めましてぇ、僕は星野 寧々と言います。どうぞよろしく」



 ライオン獣人はこの状況下のなかで突然自己紹介を始めた寧々に対し、恐怖のあまり頭がオカシクなったのだと思ったが 尚も寧々はーーー


 「え~貴方は言葉が分かるとお見受けして お願いがあるんですが~~あの緑の人達に争いは辞めて退くように言って貰えませんか?恐らく僕達の言葉は通じないと思うのでぇ」



 その清々しい程の荒唐無稽さと傍若無人にライオン獣人も又 現状を一瞬忘れ吹き出しそうになるがしかしーーー


『ふん 人間よ、あ奴等に言葉は通じても決して言う事は聞かぬ。本能のみで生きるモノゆえ、理性がないノダ。』



 ライオン獣人にそう諭されるも寧々は言葉を続ける


《 それでもお願いします。》



 その涼やかな笑みを浮かべる寧々の姿を前に、ライオン獣人だけでなく他の獣人達も思わず息を呑む



 そしてライオン獣人は、ふんっと鼻息を鳴らしトロールの前に向き直った


 そしてーーー


『『『良く聞けぃ小鬼ゴブリン巨大悪鬼トロール共!!直ちにこの場から立ち去るノダっっさすれば追ってまで命を取らんと約束しよう!!!』』』



 この大地を揺るがす程の凄まじい恫喝に仲間の獣人達は、明らかに窮地は此方側こちらがわなのに何故今それを言うのかとゆう怪訝な目でライオン獣人を見た


 ライオン獣人も又 自分が言っている事はオカシイと思いつつもシレっと咳払いをして、これでいいのか?と寧々を見ると寧々は笑顔で返した



 だがトロール達は全くこちらの意を介さずに突き進んで来るーーー

 

 皆が当然の事と思いながら身構えるとそこには、三体のトロールの前に立ちはだかる三人の人間の姿があった



「ちゃんと忠告はしたっスからね~オイタする子はお仕置きっスよ~♪」


 杏子が軽く準備体操を始め、



「ホラホラー早くお家帰んなさい、ケガする前にね。」


 片手をヒラヒラさせ電子がイジワル顔で笑う。



「電子ちゃんも杏子ちゃんもあんまり無理して怪我とかしないでね~僕が博士に怒られちゃうからぁ」


 ーーーとか言いつつ煙草に火を着け まったく止める気の無い寧々...



 その姿に獣人達は...いやこの世界中の誰もが驚愕し 信じはしないだろう


 トロールを相手に平然と笑い佇む者など...


 武器も防具も身に付けず素手で挑む者など...


 危険を承知で【獣人の前へ】出る者など...



 そして何よりも小さい女の子がヒャッハーと叫びながら小鬼ゴブリン以上に下卑た笑いをする姿を.....



 直後



 トロール達が一斉に突進し攻撃を仕掛けて来た



 しかし寧々は両手をズボンのポケットに入れたまま煙草の煙を吐き出す。


氷結アイスナックル


 寧々の足下から《氷》が蛇の様に走り、トロールの足元まで来た所でドデカイ氷の拳となって突出し、そのままトロールの顔面を真上に突き上げる。


 「まっそこで少し寝ていなよ。」



 ーーー同刻


 トロール2号が杏子に向け全力で棍棒を降り下ろす...が、


  「 残像っス。 」


 杏子はトロール2号の頭の上に瞬間移動しーーー


「ふんぬぅっ重てぇっス!!」


 そのままトロール2号を連れ空高く限界距離まで連続瞬間移動テレポートすると100メートル程の高さから落とした


 そして高所から地面に叩きつけられたトロール2号も同じくまともに動く事も出来なくなった



 ーーーーー同刻の同刻


 トロール3号に対峙する電子は獣人に倒され小鬼が被っていた鉄兜を拾い上げると、それにありったけの電気をめる



 そして電子の脳内に幽白の《微笑○の爆弾》の曲が流れた


 ...電子は最近まさおに幽遊○書のアニメDVD全巻借りていたのだ



「私ん中の全部の力よ集まって


  ありったけの力で この一発を撃ちたいの


    二度と撃てなくなっても...それはイヤ」



 あの戸愚とぐ○との名シーン対決が彷彿とされる様な台詞を吐くと、電子の一点に集中する電気が全生命力を籠めた程のハンパなパワーじゃなくなった



「まだよっもっと力よ出てーー!!!


   ああぁくっらえぇーーー!!!


     プチ電磁レール加速砲カノン~~~~!!!」



 電子の指先から放たれたエネルギーが全放出される



         チュンッ



 トロール3号の膝から上が一瞬で無くなった



 ....。



 「きゃああぁあぁあああぁぁあぁ!!!!?」


 電子が頭を抱えながら卒倒した


 確かに電子の残りの力は僅かだったが、火事場のクソ力的なナニかがプチとは名ばかりの高威力砲を打ち出したのだ



 そこへ杏子がやって来て


「電子っち、流石にそれはやり過ぎ...つか殺したっス、この人殺し」


「違うっ違うのっっ!!残り僅かな力を出しきらないと倒せないと思ったのよーーー!!?」



 杏子がドン引きするなか 寧々もやって来て


「電子ちゃん【たい焼き】が好きだったよねぇ? 毎月差し入れに行くから...」


「ちょっ寧々さん! 嘘でしょっ私逮捕されるのっっ!?」


「電子っちは とんでもないものを盗んでいきました...人の命でス!!」



 杏子が銭○のとっつぁんバリに敬礼し オチャラケ空間フィールドを発動していたが、獣人達は天変地異にでも見舞われたかの様にただ茫然とその異様な光景を眺めていた


 しかしそれも一匹の小鬼が悲鳴を上げ逃走するのを皮切りに、残りの小鬼も蜘蛛の子を散らしたように逃げ惑う



『一匹足りとも決して逃がすなっっ!!!』



 そのライオン獣人の怒号に我に返った他の獣人達は倒されたトロールや残った小鬼どもを追いかけ始末していく


「イヤっちょっ、ちょダメっスよ!!そんな逃げる相手を後ろからーーーあっモフモフ...スゥ..」


 そんな獣人達を止めようと白虎獣人の背中に飛びついた杏子は、一瞬で【モーフサイド】へと堕ちてしまう


「あぁっズルい杏子っ!!」


 電子はそう言って近くのチーター獣人に飛びついたがヒラリとかわされた


「なんでっっっ!!!?」



 ーーーそれからいくばくもなく小鬼の群れは獣人達の手によって殲滅されると、寧々は周囲の安全を確認し氷結牢楯アイスプリズンシールドを解除して獣人の子供達を解放した


 その寧々の行為を目にしたライオン獣人は驚いた顔をするが、すぐ様 怪訝な表情を浮かべ問う


『【人間】よ、何故に子達こらを【解放】するノダ...そのまま人質にすれば【我ら】を容易に【狩る】ことも出来よう』


 その言葉に寧々は思案する。この世界には獣人だけではなく人も存在する事...そして立場の優劣やその関係性...この者達が何故 自分達を警戒するのかをーーーしかし寧々はただ笑顔で答えた


「何故って もう安全じゃぁないのかい?」


 そんな寧々の対応にライオン獣人が戸惑いを見せると、そこへアルパカ獣人が割って入り何かを喋りかける


 するとライオン獣人は少し焦りながら周りの獣人達を見渡して指示を出した


『おぉそうか、うっかりしていたノダ...今の今までそんな余裕がなくてな。おいガイハ、シチャ、カリード、指輪を貸せ』



 そう言うと白虎獣人、チーター獣人、モヒカン狼獣人が腰に着けた道具袋を漁り【魔法の翻訳指輪】を出して寧々達に放り投げ、寧々達は言われるがままに指輪をはめる


『言葉が分かるナ?』


 白虎獣人が話しかけてきた



「おぉしゃべったっス~~」



 と言いながら今だに白虎獣人の背中にベッタリの杏子が耳元で大声を出す


『おい誰かコイツ引き剥がしてくれんかナ...』


『『『.........。』』』



 全員が白虎獣人を無視すると、他の獣人達がライオン獣人に向かい相づちを打つ


『よしこれで皆にも伝わるな、では改めて問おう...人間よ、貴様達はここで何をしているノダ。』



 その問いに獣人達の間に緊迫した空気が流れる...



 しかしそんな空気を一切読まない電子が普通に不満をぶちまけた


 「ナニもコウもないわよっ この訳の分かんない森を絶賛 彷徨さまよい中よ! ぶっちゃけ私らにも分かんないし あと狂翁院 絶対ブチ殺すっ!!」


「......」


 心のなかで元凶の一端は電子っちなのにと思う杏子だったが言うと泣くので黙ってた



 そしてそれを聞いたキツネ獣人は フフンとばかりに電子に指を差して問い詰める


『嘘だな、ここは大深淵の森だゼ?こんな危険な所に人間が足を踏み入れる事はまずねぇし踏み入れなけりゃ迷う事もねぇ...ここにいるって事はよっぽどの理由があるってこったゼ? 例えば...獣人狩りとかなぁっ!』


 「異議ありっっ!!」


 しかし電子はすかさずキツネ獣人に指を差し返した


「私達がその獣人狩りだったとしてその大深淵の森にたった三人で手ぶらで来ると思うワケ?

 もとい今までにたった一回でもそんな奴等がいた事あった?」


『ぐ、ぐう...も、もしかしたらお前らは斥候で道具とかは本陣に置いてきただけなのかも知れねぇゼ!!』


「異議ありっっっっ!!!!」


 言い返してくるキツネ獣人に電子は再度 両手で指を差し返す


「そもそもあなた達から接触してきて私達を取り囲んだのよ! つまりあなた達の方こそが斥候をして私達を狩ろうとした真犯人よっっ」


『なにぃぃぃっったっ確かにぃ!!?』


「ふっ以上です、裁判長。」


 キツネ獣人が膝から崩れ落ちると電子は前髪をかき上げながらドヤ顔をした

 


 ...。



 「えっ?ナニやってんスか?コレ...」


 『さぁ...分からんナ』


 杏子と白虎獣人は事の成りゆきを見守る...



 そんな間抜けな空気を払拭するかの様にライオン獣人がコホンと咳払いをすると寧々の方を振り向き神妙な面持ちで尋ねる


『それで寧々といったな。ではもしお主らの言う通り偶然にもこの森を彷徨っていただけとしよう...では【これから】どうするつもりなノダ?』



 その言葉に周囲の獣人達がピクりと反応し 場の空気が一瞬で凍りつく


 それこそ返答次第ではこの場が一気に修羅場となりかねない状況にも関わらず、寧々は全く気にもせずにただ淡々と答えた


「えぇ、取り敢えず山を下りようと思うんですが近くに町とか在りますかねぇ?出来れば道案内していただけたら助かるんですが~~」


 しかし寧々の話を終えるよりも先にアルパカ獣人とハクビシン獣人が食ってかかるーーー


『おい ふざけんじゃねぇっ お前らをこのまま返してたまるか!』


『そうだっ 必ず獣人狩りの兵や冒険者を連れて戻ってくるに違いねぇっっ!!』


 そういって刃を寧々達に向け今にも飛び掛からんとする所を、ウサギ獣人が制止し間に割って入った


『落ち着きなって。まぁアタシも別に人間の味方をしたい訳じゃないんだけどネェ...ただコイツらが本気ならウチら今頃とっくに捕まってないカイ? それを一旦帰って仲間を呼ぶとか時間と分け前の無駄だと思うカイ。』



 そんなウサギ獣人のふと発した疑問に懐疑的な他の獣人達も思わず言葉を詰まらせる


 それは先程キツネ獣人が言った通り大深淵の森とはそれほどに危険な場所であり、この獣人達の様に【訳有り】じゃなければ 知性のある者がここへ足を踏み入れる事はまずしない


 そしてもし寧々達が【獣人狩り】をする為にこの森へ足を踏み入れたとして、帰還し再び戻った所でまた獣人達に出会える保証もなければ命の保証すらない


 それを考慮すれば今こそがその獣人狩りをする千載一遇の好機である事をここにいる獣人達自身が一番よく知っているのだ


 だからこそ寧々達が一切その素振りを見せない事に獣人達は困惑を隠せなかった...


 

 そこへ閃いたとばかりに熊獣人が叫び出すーーー


 『あ~~~っ オ、オラ分かっちまったべ、こいつら良い人ぶってオラ達を信用させて村の場所聞き出して一網打尽にする気だべ!!』

 

『フッ馬鹿が、そんなまだるっこしい事せんでも子供を人質にするなり俺達を拷問した方が手っ取り早い』


『ウグッッ確かに...いやってゆーかお前どっちの味方だべ!』


 チーター獣人が一閃すると他の獣人達も又 あーだこーだと論じ始めたが、詰まる所 答えは三択でしかない


 ・解放するか


 ・村で幽閉するか


 ・殺すか



 そしてーーー


『俺は反対だっ万が一を考えりゃ帰すことも村へ連れ帰るのも出来る訳がねえっっ! ならいっそ ここでーーー...』


『そうだっそれしかねぇ!』


『村の皆の為にやるしかねぇべ!!』


 ハクビシン獣人がそう叫ぶとアルパカ獣人や熊獣人も賛同し剣を振り上げる



 そこへ先程から一人黙ってたモヒカン狼獣人が不意に口を開いた


『やめろ。言いてぇ事はわかるし俺も人間なんざ信じちゃいねぇ...がコイツらは子供達を救い俺達も助けられた。例えそこに薄暗い理由があったとしても借りは借りだ。それを踏みにじっちぁクソッタレの人間共とおんなじになっちまうジャネェか』


 そしてチーター獣人も、


『フッそうだな。だがやはりこのまま帰す事は出来ない...村へ連行する他ないな、何かあれば殺せばいいだけだ』



 その言葉を聞いたライオン獣人は皆を一瞥すると目を見開き大声で言い放った


『他に意見のある者は今言うノダ!!』


 すると白虎獣人、キツネ獣人、女ウサギ獣人は静かに首を降る


 

『レオム、長であるアンタが決めてくれ...アンタが真剣に考えて出した答えなら俺達はそれに従うジャネェか』


 モヒカン狼獣人がそう言うと他の者達もそれ以上何も言わず押し黙った。



 そしてレオムと言われたライオン獣人は深く溜め息をつくと静かに口を開いた


『我々は蛮族ではない、決して誇りは捨てぬ...村へ連れて行くノダ。


 すまないが寧々達よ、ついてきて貰えるな?』



 ライオン獣人の意を決したその言葉に寧々達はーーー


「いや~~全っ然オッケー!森ん中で野宿とかんなったら どーしよーかと思ったわ~w 助かる~!!」


「あっしもそれでいいっス!!」


「まぁそーゆー訳なんでお世話になりますねぇw」


 高低差に耳がキーンとなるくらいの温度差で獣人村への同行を承諾する


『いやっ別に招待してるワケじゃねーゼ!?』



 こうしてキツネ獣人がツッコむなか寧々達は獣人の村へと行く事となったのだがーーー...




 「でもさ~なんか魔法に獣人やら子鬼とかってまるでファンタジーな感じよね~w」


「そっスね~まるで異世界にでも来たみたいッスね~~w」



「.........」




「 「ーーーはっ!? まじかっっ!!?」」




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