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第22話 王族の黒歴史 その1


 伝説の竜が王城の最上階に位置する王室に突撃をかましてから、王室以外の城の内外では兵士らや従者達がてんやわんやと騒いでは走り回っていた。


 王の危機に命を投げ出す覚悟で駆けつける者、命欲しさに逃げ出す者、中には恐怖の余り精神崩壊を起こす者までいたが、


 メイドや料理人などの従者とは違い王城の警備につく兵士達はさすが選りすぐりと言った所か、恐怖に震えながらもそのほとんどが最上階の王室へと向かって行った。



 ....しかし、


〔駄目ですっ王室の扉が何故か氷っていて開きません!?〕


〔なら露台バルコニーから回り込め!!〕


〔そこには竜の巨体がっっ尻尾がブンブン振り回されて当たれば即死は...〕


〔くっ!?なら扉の氷を剣や斧で削れっっあと火炎魔法を使える魔術師を誰か連れて来い!!〕


〔王様っ王妃様っっ今助けに参りますのでどうかご無事で!!!〕



 寧々の氷結の能力によって王国側の援軍は王室に入れず大騒ぎしていた頃、王室の中でも騒ぎが起きていた。


 博士の自己紹介を聞いたトンガマ宰相やカルラ宰相に他の兵士達は、先程まで竜を見てブルってた事など微塵も感じさせない程に博士に向かってピーが入るエライ暴言の数々を浴びせていた。


 そしてただ自己紹介をしただけなのにと若干ひいている博士が横に目をやると、トルネらやナタリカ達が「あ~~そうか」という顔をしながら額に手をあてる。



 それは遡ること千年前...王族が支配戦争にてカンダミリア大陸の頂点に君臨し、十つ国が建国されてから幾ばくもない時が経った頃に始まる。


 支配戦争で活躍した現役の王族の一人がこのカンダミリア大陸の外に目を向けたのだった。


【この果てしない海の向こう側には まだ見ぬ新たな大陸が存在し、王族達の統治拡大と新たな恩恵を。】


 実際に在るかどうかも分からない新大陸に夢を馳せ、その王族の一人は大型の軍船50隻を率い大海へと冒険に旅立った...


 ーーーが、その先で見たものは聞く者によってはあまりに凄惨であり、滑稽であり、奇跡でもあった。



 事は海の果てを目指して出発すること50日が過ぎたあたり、集団の先頭を進む大型の軍船三隻が突如 大きな魚の様な魔物に一口で飲み込まれたのだ。


 航海する中で時折ワイバーンなどの鳥類やハーピーなどの海洋生類といった魔物に出くわす事はあったが、これ程までの【巨大魔魚】を観たものは大陸広しと言えど誰もいないだろう...


 一同は海中を悠々と泳ぐこの巨大魔魚と壮絶な戦闘を繰り広げ、一隻また一隻と沈められ飲み込まれる仲間達を尻目に武器と魔法を駆使しどれ程の時が経ったか.....


 やがて50隻はあった軍船も10を切り、それでも王族の一人とその仲間達は諦めず勇敢に戦い続けようとした......が、その戦いで弱った巨大魔魚を突然現れた【別の超巨大魔魚】が食らいつき、一口で飲み干したのである。


 これは何の喜劇か......その目の前の光景に既に立つ気力さえ失った王族の一人は、次は己れとばかりに迫り来る超巨大魔魚を前に、ただ呆然と眺めるしか出来なかった。


 だがその超巨大魔魚は急にきびすを返すように何処かへと泳ぎ去って行ったのだ...捕食者が獲物を前に逃げる理由はただ一つ.....それは自身以上の【絶対的強者】が現れた時だけ.......



 のちに無事に生還を果たしたその王族の一人はこう語る。


 あれは蛇のような龍のような、神々しい光に包まれた水神様であったと...あの超巨大魔魚から我々を救って下さったのは、人々に海の向こうは神の領域であり人が決して踏み行ってはならぬ地と伝聞させる為だったと。



 しかしそんな千年前の伝説級の言い伝えも、やはりはじめに言った様に聞く者によって歪曲してゆくものである。


 素直にそれを信じ天啓と伝承する者もいれば、王族も恐れるほどに海は危険というただの教訓とする者もいるし、


 新大陸を目指したはいいが、魔物に襲われ難破し逃げ帰って来た恥を晒さない為の水神伝説のでっち上げと噂をする者もいた。


 一つ確かな事があるとすれば、新大陸を目指すと息巻いたものの多数の犠牲者と損害を出し、得るものは何一つ無く、王族が大失態を晒した黒歴史という事であった。



 時を戻そう...それがあっての博士の別の大陸から来た発言である。



 王族からしてみれば別の大陸から来たという言葉は、


『王族でも出来ない事を俺は出来たぜ俺 SUGGEeeスッゲエェェー』や


『王族は俺より無能だねププ~~ッ』


 と同義なのである。


 更には新大陸の発見に失敗したその王族の後も、大富豪の商人や名のある冒険者と新大陸を目指した者は他にもいたが、その後 彼らを見たものは誰もいない。


 つまりはカンダミリア大陸以外の大陸は存在せず、もし在っても渡航など不可能とされるのがこの世界での常識であり、『別の大陸から来た』と言おうものなら《コイツは俺を馬鹿にしている》と取られても不思議ではなく、


 それこそ地球で例えるなら、知らんヤツから突然『俺は別の星から来た』と言われる様なもので普通にイラッとするだろう。


 ましてやこの大陸において異常なほどプライドの高い王族に、下民とおぼしき者から黒歴史をイジられ馬鹿にされれば、そりゃキレる。


  むしろこの世界でトルネとネルコにナタリカ達やガイハらの様に素直に信じる方が希であったのだ。



「そっそうだ博士殿っっ『け~たい』ですカナ!アレを見せられてはっっ?」

 

 そこへトルネが、「そうだっ」とばかりに博士達に小声で話し掛けるがーーー



 電子「戦闘さっきので画面がバッキバキに割れた...」


 颶「失くしたわ。」


 博士「私は電子君の電光矢サンダーアローが当たった時にショートしてしまった。」


 まさお「俺も電子の電撃で。」


 杏子「あっしも。」


 寧々「僕も。」



 電子「ぐっカカッテコイヤ~~~!!」


 電子が逆ギレる中、



「「嘘カナサネ~~まさお殿がくれるって言ってたのに!」」


「いや言ってないよ?」


 まさおからシレッとなし崩し的にスマホを貰おうとしていたトルネとネルコが、スマホが壊れたことを知って両手を床について号泣した。



 「あのさ王様ーーーー」


 すると今度はキツネ獣人のコークがまさお達を擁護しようと皆の前に歩み出た。


 


 しかしここで事態は一変した.....



 

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