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第21話 イッツァ 三バカ トリオ


 王室の中へと降り立ったまさおは、竜の突撃によって部屋の角へと吹き飛びホコリまみれで地べたにヘタり込むデスラム王を見つけるなり大声で物申した。


 かつて地球の王侯時代でもそうであった様に、このカンダミリア大陸でも王族とは絶対の存在であり、王族への無礼不作法ですら処刑の対象とされ、反逆行為ともなれば家族だけでなくその一族すら死罪とされる。


 

 それをドコのダレ?とも分からない半ケツの少年が王よりも頭を高くし、指を差して、【コノヤロウ】と言い放ったのだ。


 その罪状を細かく分ければーーーー


 ・王城への不法侵入

 ・王室への無断入室

 ・王城の破壊行為

 ・壁を破壊した際の王への傷害

 ・王の許可無く発言

 ・王を見下ろす無礼行為

 ・王に指差す無礼行為

 ・王への暴言による無礼行為

 ・王への振る舞いの欠如

 ・王の前での非正装着衣による不作法


 ・普通に半ケツによる公然わいせつ罪



 そんなまさおの行為に、デスラム王、カルラ宰相、トンガマ宰相、護衛兵、トルネとネルコ、ナタリカらや獣人達のガイハらに、処刑から救われた子供の獣人達ですら目を丸くし口をアングリさせた。


 当然こんな珍事...そしてこんなアホは異世界初だからである。



 あれほど王族にはヤメロっちゅってんのに、ましてや王様にとトルネとネルコが慌てて制止しようとするも、それよりも先に竜にガクブルしていた周囲の兵士らが次々と怒号を上げ、まさお達の前に立ちはだかり己れの剣を引き抜いていった。


 そんな兵士達の敵意に、すぐさま竜が唸り声を上げて口内に炎の明かりを灯し威嚇するが、それでも兵士らは怯むこと無く決死の表情を見せる。


 確かにこの大陸で伝説の竜とは、過去に十つ国の一国を滅ぼした程の畏怖の象徴ではある...がしかし、


 もしここで恐怖に駆られ王族を守らず逃げる様な事があれば、それは王族への忠誠の反古・反逆であり、更にその結果 王族の者が死に至ればその責任は己れの一族にも飛び火し、吊るし首にすらなりかねない。


 ならば王族とは違い、遠くの都や町に住む家族や親兄弟・親類を【探しだして】殺すことは無いであろう竜と相対した方が己れの死だけで済むのだ。


 兵士達にとってはいくら竜が伝説の生物であろうと、それよりも物心ついた時から王族による恐怖政治にて幾人もの粛清を目にし耳にして来た恐怖こそがその心を震わせ奮い起たせた。



「コッコンガキャ~~~無礼なっっ!早くこの輩共をってしまうざまぁす!!」



 そしてこの場の誰よりも王族上位国としてプライドの高いトンガマ宰相の激昂に、兵士達はビクりと肩を上げつつも意を決して まさお達に向かって歩を進め剣を振り上げるーーーーだが、



「王族 小賢こざかあぁ~~~しぃぃっっ!!」

 


 ドンッッッゴガァァァーーー!!!



 まさおの北斗劉○拳 伝承者なみのパンチが一人の兵士の腹に突きささり、そのままその兵士は後ろにいたトンガマ宰相の頭をかすめて後方へと吹っ飛ぶ。


 王族側近の近衛兵は兵士達の中でも精鋭中の精鋭ではあるが、まさおの見た目は子供で頭脳もバカっぽい感じと、伝説の竜の襲来による混乱で兵士達はガッツリ忘れていたのだ...目の前のガキが堅聖を倒したと言うことを。



 そしてブッ飛ばされて壁にメリ込んでピクついた兵士を見て一気に青ざめるデスラム王達を前に まさおは、


「いいかよく聞け 獣人も王族もこの俺には関係ねぇ、ただ 義気の為に動く それがポンヨ《ドカッ》へぶしっっ!?」


 だが まさおが【蒼天】を語る前に杏子の蹴りがまさおの横っ腹に炸裂し、まさおはそのまま部屋の角へと転がっていった。



大見得おおみえを切ってるとこ悪いんスけど、話が進まねぇんで。」


 そう言って今度は杏子が仁王立ちをしてデスラム王らを一瞥すると、杏子は深く息を吸い込みーーー



「じゃがぁしぃぃやぁおんどれぁっっ!王族だが知らねっスがっなめどっだらあかーーーー


「お前は鈴蘭高校の不良共か。」


 ーーーー《ドカッッ》へぶしっっ!!?」



 そして次にクロ○ズばりにブチギレ文句を垂れる杏子の横っ腹に電子のツッコミ蹴りが炸裂し、杏子もまさおの転がっていった方へと転がっていった。


 んで電子は仕切り直しとばかりにコホンと咳払いをしてデスラム王に向かって何か言葉を発し様としたが、王室中の者達の視線を一篇いっぺんに感じた電子は、急に顔を真っ赤にすると博士に「後はヨロシク」と言って まさおと杏子の転がっていった脱線ゾーンへと自ら歩いて行った。



 そこへ電子にこの場を任された博士はフゥッと溜め息をつくと、スティールスーツのマスクがカチャカチャと音を立てて開き、その素顔を晒す。


 その奇っ怪な光景にデスラム王らに周囲の兵士からはどよめきが起きるが、王妃だけは今まで誰も見たことの無い様な笑みを浮かべていた。



 博士はもう一度 浅い溜め息を吐くと静かに口を開く...


「この度は突然の訪問に対し失礼をお詫びします...そして私達が何者なのかも気になさる事でしょうから誠に勝手ながらも自己紹介をさせてください。」

 

 その博士の突然の申し出に普段ならば、王国側の者達も素性の知れぬ輩に対し無礼千万と聞く耳すら持たなかっただろう...だが今は誰も異を唱える事はしない。


 それは周囲の兵士達はおろか、トンガマ宰相ですら王族のプライドよりも目の前の不可解への興味が勝ったからに他ならない。



 この大陸の者なら誰もが物心ついた時から王族への礼儀や作法を叩き込まれ、それこそ庶民や奴隷など関係なく赤の他人に対してでも互いの知識を共有するように周知される。


 その理由としては単純に、王族関係者へ粗相した者の近くに偶然いただけで、そのとばっちりの粛清や制裁を受けたなんて話は幾度となく存在する。


 ゆえに民達の王族過敏症はそれこそ病気レベルであり、そんな中まさお達の様な王族を屁とも思わない連中が居たのなら、たちまち民達の間で伝染病よりも早く噂が広がる事は間違いない...ハズである。



 だからこそデスラム王に王妃、カルラ宰相にこの場の兵士達、他国のトンガマ宰相ですらその疑問に考えを巡らせた。


【この者達は今まで何処にいた?】


【最近になって王族に対する反骨精神に目覚めた?】


【前々から存在はしていたが衛兵らの怠慢により捕えられず、上にも報告がなされていなかった?】


 いくら考えても及びがつかないからこそ答えを欲し、王国側の者たち全員が博士の言葉に耳を傾けた。


 

「初めまして、私は谷井 卓です。私達は別の世界...いえ地球という別大陸の、日本という国から来ました。」


 

 しかし博士が自己紹介をし次の言葉を紡ぐ前に、何か逆鱗にでも触れたかのようにトンガマ宰相や他の兵士らの怒号によってそれを遮られる。


 それはこのカンダミリア大陸の長い長い歴史の中で、王族の黒歴史に起因するからであったのだ。

 


 

大分遅くなりましてすいませんでした。


ストックが幾つかありますので小まめにアップ致しますので読んでくだされば幸いです。

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