戻りません。
「なんでだよぉ‥‥‥」
3週間、表現が難しいな。
あ、風の日が3回来た。
いまだに僕の体は元には戻らない。
僕が何かの異常状態にかかれば合法的に飲むことこそ出来る。
でも、する必要が無い。
何故なら、ある程度の異常状態を回復できる魔法を知ってしまったから。
ちなみに属性は僕の適正である『風』
治る確率が有る限りは油断できないんだよね‥‥‥
なので着替えもいまだトイレで、風呂の時もタオルは極力離さない。
どうしたものか‥‥‥
「おはようございます、マイカさん」
「あ、おはよー」
トイレに行っていたミレイが帰ってきた。
「僕は着替えてきますね。
「もう、恥ずかしがらなくてもいいんですよ?」
「そういうのじゃないですから‥‥‥」
もうここで着替えるのも慣れたものである。(慣れて良いものかは不明だが)
「終わったよ。」
「ではでは。」
いつも通りの朝食。
そしていつも通りの休日。
服を脱がずに生活するぶんには問題はない。
「もう少しすると水着も必要になりますかね?」
服屋の脇を通った時にそんなことを言う。
まずい、すぐそこに服を脱ぐイベントが起きようとしている。
逃げられない。
「では少し早いですけど、海に行ってみましょうか」
「今から?」
「はい、今から」
これは、海なのだろうか。
最低でもこの世界での定義上は海らしい。
試しに舐めてみたがしょっぱくない。
「まだ、水着を着て入るには早いから、足だけでも」
足だけなら良いよね?
正直見た目は大差ないと思うけど(それはそれでどうなんだって思うけど)溶けたときが怖いんだよ。
「それ~!!」
「うわぁ!?水、止めっ‥‥‥」
「良い反応、可愛いです!!」
「か、可愛いとか言うなぁ‥‥‥」
油断。していた。
足を滑らせた。
下は水。
「大丈夫ですか?」
「恥ずかしい」
「心じゃなくて体の話です」
「それは問題ないです」
「じゃあ、私に隠れるの止めてもらっても?」
「それは無理な相談です」
濡れ濡れの透け透け。
一刻も早く帰りたい。
‥‥‥致し方ない。
人が多いがこの状態は嫌だ。
初めて早い時間のお風呂となった。
お湯が暖かい。
幸せだ。
勿論長居はしない。
名残惜しいがいつもの時間に再度入りに来るからな。
「はふぅ‥‥‥」
ミレイは既に入ったからと来なかった。
そのため一人で入っている。
人気はない。
僕一人のようだ。
タオルは外さない。
体は女子のまま。
見るわけにはいかないだろう。
僕は油断していた。
誰かがきたことに気が付かなかった。
その声は僕の体を震わせた。
「こんな可愛い子が女の子の筈がない」
いたのは、グレアさんだ。
「なんですか、いきなり」
「言った通り、君は男子なんだろう?」
「それが正しいのであれば、男子に裸を見られてることになりますよ」
「ふむ、別にそれは構わん、減るものではないしな」
「気にしてほしい」
確証こそ無いだろうし、今の身体なら証拠はない。
一瞬だ。一瞬だけみせればいい。
「やはり君があの薬を飲んだのか」
「根拠が無いじゃないですか」
「勿論あるよ。私は相手の異常を見抜く事が出来るんだ」
「異常を見抜く‥‥‥」
「うむ、君に例の薬の症状が見られたのでな、ここで確信に至ったわけだけども」
「間違えたのは学校側で僕は関係ない」
「それも知ってる、リサーチはしっかりしてある」
こんな話をしているにも関わらず湯船にしっかり浸かっている。
「と、言うことは男子と認めたと言うことでいいのか?」
「その通り、勿論、逆もいる」
「ふむ、そいつは大変だろうな、そっちも探し出しておこう」
ばれた、そうなるとどういう処置が取られるのだろう。
「どうなるか考えているのか?」
「まあ、そりゃ」
「安心しろこの事は他言しない。何のためにここに他の人を入れなかったと思っている」
確かに他に入ってこなかったな。
「学校側に知られたら名誉のためとかで揉み消されそうだしな。こんな可愛い子を失うのは私も惜しい」
「‥‥‥グレアさんって結構変態ですよね」
「はっはっは、誉めるな」
誉めてないわ、ダメだこの人。