~31歳から始まる事情聴取~
『』は心の声です
目を覚ましたユージは、まだ状況を掴めないでいた。
どこだ?と思った瞬間「ユージ!!」母親の声がしたので振り向くといきなりビンタをされた。
「あんたはどれだけ心配をかけたら気が済むの!!」と心配そうな顔をしながら怒られた。
『そうだ、ハロワに行って怒った後に路地裏で......はっ!』ユージは重要なことを思い出した。
「母さん!怪死事件は!?」母は青ざめた顔で
「あんたなにがあったの!」さっきまでの心配そうな顔とは一変し真剣な顔つきになった。
「でっかいおっさんが女の人を掴んでてそれで」
「その話を詳しくお聞かせ願いますかね」声のほうへ目をやると大柄な男とやつれた女性がいた。
「失礼私は刑事のマシカワ・コウゾウ、こちらは助手のサカタ・ミズカです」
ユージも挨拶を終え話は本題の怪死事件に打って変った。
ユージは路地裏で見たことをすべて話した。巨体の男、スパルトイサージェントと化した女性、そして失神してしまったこと。話の途中突如母親が
「路地裏?あなたが倒れていたのはハローワークの前よ」
『!!??』ユージに衝撃が走った。
「嘘だ!ハローワークからサイバーブレインの路地裏まで軽く200メートルはあるんだぞ!そんなのありえない」取り乱すユージ、無理もない怪死事件を目の前に失神しさらに、自分自身が謎の現象に追われているのだ。
「あなたが殴り掛かったらしいロボットの相談員さんが救急車を呼んでくださったのよ。後でお礼を言っておきなさいね」母親はお琴の稽古があるのでと言って病室を後にした。
だが、ユージの混乱は終わらない。
『なぜだ、確かに俺は路地裏からの意識がないこれは確かだ。まさか、あのでっかいおっさんに連れていかれて?いや、ないなだったら真っ先に俺もスパルトイサージェントかスカルビーストにされているはず。でもなんで?』
「動揺しているところすまないが君は確かに、路地裏で意識を失ったのかい?」
マシカワが尋ねた。
「はい、間違いありません」
ユージが答えた。
「ならいいんだ。ではこれで失礼するよ」
マシカワとサカタは席を立ちお大事にと一言だけ言って病室を後にした。
ユージは考えた。
『あの最後の質問はなんだったんだ?まるで安心するかのような返事だったが。あの刑事なにかをしっているのか?』
「だめだ今日はいろいろ疲れたもう寝よう」
こうしてユージの奇妙な1日は病院のベッドで終わりを告げた。
翌朝に母親が遺体で発見されたとも知らずに.....