クリストの才能②
今回は短いです。後で書き足していこうと思います。
ついにクリストの才能が!?
~クリストside~
ウルウちゃんが倒れて二日目。
癒しの繭に包まれて眠りにつく彼女を知った学院は騒然とした。何せ学院のヒロインで癒しだったウルウちゃんが倒れたんだ。騎士を目指す男なら誰だって庇護対象が倒れてしまえば心配する。
一番心配しているのは彼女の騎士であり、パートナーのヴォルティス君だ。
彼は繭を片時も離さず、厳しい訓練を受けていた。繭を守り、魔力を送りながら訓練を受けている姿を見て、「あいつは化け物並の体力あるな。」「大した精神力だぜ。俺なら魔獣を諦めてるな」と一部の心のない人達は陰口を言っていた。でも、反対に彼のウルウちゃんに対する愛に共感し応援する人達もいた。先輩達や教官達はヴォルティス君の見る目が明らかに変化していたと思う。何て言えばいいのか、そう、同じ位置に立つ男として認めているんだ。子供を見るような目じゃない。大人として認めているんだ。
ライト君とその事を話したら、「オレ達もあいつに追い付かねぇとな。あいつだけ認めてもらうなんて誇りが許さねぇ。」と言って闘志を燃やしていた。
ただでさえ真っ赤な髪色なのに、その日からライト君の輝きが増していた。燃え盛る闘志を体現した彼は訓練で荒ぶる獅子の如く暴れた。結果、ライト君に通り名が付けられた。「紅蓮のライト」と。
「紅蓮のライト……か。まさにお前の燃え盛る闘志を体現した通り名だな。」
「ちっとも嬉しくねぇよ。オレはただ暴れただけなんだ。この頃むしゃくしゃしてたからな……。」
ライト君は何だか後悔しているようだった。
「お前は普段は掴み所の無い、強い男として振る舞っているが、本当は情の深い寂しがり屋だ。……ウルウが心配で仕方ないのだろう?」
「な、何いってんだ!」
「お前の家族事情を知っているから言える。お前は大切なものを失わないように真綿にくるんで過保護な程に護る。それはもう狂気と言える位に。それを恐れているから隠しているだけだ。」
「…………。」
僕は何も口を挟めなかった。ライト君の家庭事情。ヴォルティス君は何か知っているようだけど、簡単に踏み込んでいい事柄じゃないんだと思った。
遠巻きに見ていた僕をライト君はチラッと見てきた。その目は暗く澱んでいるように見えた。ゾクッと背筋が震えた。
「ほら、ウルウを抱いて落ち着け。」
今まで離さなかった繭をライト君に差し出した。僕は驚いてヴォルティス君を見た。
「俺もライトと同じ人種なんだ。大切なものに激しい執着を持っている。今回、一番脆くなったのはライトだから俺も共倒れする訳にはいかない。それに、クリストがいるから正気を保っていられるのだ。」
「え、僕は……」
「お前も俺達の大切なものに入っているんだ。こうして一緒にいてくれるだけで救われている。」
ふんわりと笑みを見せてくれたヴォルティス君に僕は内心に抱えていた不安や疎外感が無くなったのを感じた。それと同時に嬉しさが込み上げてきたんだ。今なら何でも出来るような気がした。
そう、今。この瞬間にウルウちゃんの感情を感じるようになったんだ。
『辛いよ……ヴォルやライトさんを悲しませたくなんかないのに……』
『でも、どうしようもないよ……どうすればいいの?誰か……誰か……ヴォル……ヴォルティス助けて……』
「これ……ウルウちゃんの?」
信じられないことにパートナーじゃないのにウルウちゃんの感情を思考を読み取ることができる。でも、パートナーのヴォルティス君は何も感じていないみたいだった。こんなに助けを求めているのに動かないなんてあり得ない。
どうして急にこんな能力を得たのかは後回しだ。今はウルウちゃんを助けることが最優先だ。
やっと僕にも出来ることができたんだ。
ウルウちゃんを絶対助けて見せる!




