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九尾の異世界転生と幸せライフ  作者: 十六夜
イグドシア騎士学院 入学編
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入学式と新入生代表

入学式の練習をなんと2回でマスターしたヴォル達。ジーン教官は誉めなかったけど、満足そうにニヤリと笑っていました。言葉にしないタイプなのだろうか?



「これより、第165回イグドシア騎士学院の入学式を開催する。新入生入場!」



いよいよ入学式が始まる。


ヴォルとライトさんは先頭と二番目だ。成績順の通りに一列に列ぶらしい。


私はというとヴォルの左肩に乗せてもらって一緒に入場しています。他の魔獣は一緒に歩いたり、飛んだりしてパートナーと入場です。私はまだチビだし、歩幅が別次元ですので全てをヴォルに委ねています。ヴォルが卒業する頃には私も大きくなっている筈です。その時には堂々とヴォルの隣を優雅に歩いてみせるのです!


先輩や教官達、軍の代表者、来賓の方々が見守る中、総勢50名が二列に整列した。


直立に立ち、左手を腰に当て、右手で左胸を叩いてから胸の中央で拳を作って留める敬礼を壇上の国旗に捧げた。これはこの国の国旗で、国王陛下に挨拶と忠誠を捧げた意味になるのだそうだ。日本の入学式でも日の丸に頭を下げますよね?それと同じような意味らしい。


壇上に白い軍服とバッチが沢山付けた偉い人が上がってきた。金髪碧眼の凄い格好良い男の人だ。


「ライシルド国王陛下代理、オーディル・ライシルド王太子殿下より御言葉を賜る。」


あ、あの人が王太子殿下だったのですか。偉い人なんだろうなと思っていましたが、王族とは思いまんでした。


オーディル殿下は20代位でしょうか。若いです。上に立つ者としての威厳と気品に溢れています。流石は王族。立ち姿も優雅で、私にはキラキラしているように見えました。これぞ王族オーラなんでしょうか?


「国王陛下より代理としての名誉を戴き、この場で優秀な諸君に出会えたことを嬉しく思う。我が国を守護し、他国に注目されるこの学院は国王陛下や国の重鎮達にとって重要な軍事力を育成する施設として大いなる期待をかけておられる。私も諸君等の優秀さに期待している。」


殿下は用意されたメモを見ることなくスラスラと祝辞を述べて下さる。本当に凄い人だなぁって思う。私だったらメモがあってもスラスラ言えないわ。公務として慣れもあるんだろうけど、それを抜きにしても尊敬しちゃう。


「狭き門をくぐり抜けた諸君等は間違いなく優秀だ。だが、それを驕らず、軍人として高みを目指して欲しいと思う。世界には諸君等よりも実力や経験が上の者が数多存在している。この場にいる教官や軍人も相当の実力者だ。彼等から多くのことを学び、そしてこの国に尽くして欲しい。」


その後、色々と述べた後殿下は貴賓席に戻っていった。


何となく隣を見てみると、ライトさんがキラキラと輝いた瞳で未だに壇上を見上げていた。…きっとオーディル殿下にお会いできて感激しているのだろう。ライトさんは庶民だから殿下と会う機会ないもんね。


次にヴォルを見てみると、あまり変わりはなかった。無表情のままだった。…そういえば、殿下はチラチラと私達を時折見ていました。それは珍獣である私を見ていたのか、それとも公爵家嫡男であるヴォルを見ていたのかは定かではありません。まあ、気にすることはないでしょう。


「次に我が校の理事長である、エバル・クラインより祝辞を賜ります。」


次に壇上に上がってきたのは、鋭い目つきの厳しそうな軍人でした。深い紺色の軍服を着ていて、グレーの髪をオールバックにして、焦げ茶色の瞳を持っている人でした。顔の皺がその年齢を露わにしているけど、理事長にはよく似合っていると思った。蓄えた髭もきちんと整えられていて見苦しくない。


理事長も殿下と同じく祝辞をスラスラ述べて私達にこれから多くのことを学び、誇りを持って卒業してほしいと言って下さった。厳しい面はあるけど、生徒思いの優しい人難じゃないかなって思いました。


それから長々と式は進み、最後にヴォルが新入生代表として壇上に上がった。ついでに私も壇上に上がり、立派な机の上の右端に堂々と座った。皆から見れば置物みたいに見えるだろうね。ライトさんなんか練習の時、笑ったのよ?失礼しちゃうよね。


会場の視線が集まる中、ヴォルはスラスラと言葉を述べていた。緊張している筈なのに、それを出すことなく堂々としていた。私もヴォルに恥じないよう小さいけど堂々と前を見据えていた。


殿下からの視線がとても痛かったのでチラッと視線を合わせる。するとバチッと視線が合ってしまった。どうやら殿下は私に興味があるみたい。理事長も私のことばかり見ていました。そんなに私が気になるのかしら?まあ、珍しい魔獣ですからね。


「……新入生代表、ヴォルティス・シェライザー。」


やっと終わったようです。ヴォルが礼をして私を右肩に乗せてから退場しました。


「以上をもちまして、第165回イグドシア騎士学院の入学式を閉会します。」


これで堅苦しい式は終了のようです。でも、ヴォルとライトさんは首席と次席として来賓の方々と挨拶しなければなりません。当然、私も連れて行かれます。接待ですよね。頑張って愛想を振りまきたいと思います。


ヴォル、お疲れさまでした!さあ、もう一仕事頑張りましょうね!



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