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九尾の異世界転生と幸せライフ  作者: 十六夜
イグドシア騎士学院 入学編
23/49

学生寮に到着です!

道中、ユーグさん達と仲良くなり【自由同盟】なる同盟に参加した私達。ヴォルは学校について先輩達に質問をし、私はルルシスさんとアレクシスさんに弄り倒されていました。そんな道中でしたが、無事にイグドシア騎士学院に着いたようです。


「ようこそ、イグドシア騎士学院へ!」


ユーグさんの歓迎の言葉と目の前に広がる大きな建物に期待と不安を膨らませた。


ついに私達はここに来たんだ!夢の第一歩に!!


「ここから徒歩で学生寮に向かうことになるよ。入学許可状を門番と寮に待機している先生に見せるようにね。入学式は明日の予定だから、荷物を片付け次第、自由時間を与えられるから好きにしてもいいと思う。」


「既に早く来ている奴等には派閥が出来ていることでしょう。どこにでも存在する馬鹿な貴族のね。時間が経てば解体するので派閥に加わらない事をお勧めします。」


ユーグさんとロードさんが説明してくれる。


「派閥とはまた面倒な……」


『きゅ!』


そうですね、確かに面倒です。大奥じゃあるまいし、男の世界で争いは醜いだけです!やるなら試合でやってほしいですね。


「寮の入り口まで案内するよ。それと、ルルシスは寮に着いたらウルウちゃんをヴォルティスくんに返しなさい。」


「…………………………うん。」


長い葛藤でしたねルルシスさん。私は未だにルルシスさんに抱かれたままなのです。どうやら私と離れがたいようで、そのままズルズルとルルシスさんと一緒だったのです。ヴォルも時々、私を取り戻そうとしたんですが、ルルシスさんの大型犬がショボンとするような態度に流石のヴォルも断念するしかなかったのでした。








~学生寮の入り口~


学生寮の建物は三階建てのレンガ造りの屋敷でした。シンプルな造りですが、寮としては十分だと思います。


中の構造はというと……

一階→食堂、共同浴場、娯楽施設、職員室、会議室

二階→三年生の寮

三階→一・二年生の寮


……となっており、大半の生活は皆と共同です。お風呂もトイレも共同ですから少し気を使うことになりますね。わ、私は魔獣ですから外で済ませて魔法で跡形なく始末してますよ!考えてみてください。いくら獣とはいえ、心は人間の乙女なのですよ?自分の不浄を平然とヴォルに晒せると思いますか!?答えは否です!!魔法をまだ覚えれない私が考えついた方法が「狐火」でした。どうしても不浄を自分で始末したくて「九尾の勾玉」を作れるようになってから試しに狐火を不浄に使ってみたのです。イメージは灰にする業火です。すると、見事に不浄は消え去ったのです!これで不浄を見られることも、臭いを気にすることもありません。狐火、万能チートです!


さて、私の事は置いといて、ヴォルの受付を見守ることにしましょう。


受付をしているのはニコニコしている騎士さんと無表情で左目に十字の切り傷がある騎士さんです。年齢は30代後半でしょうか?ニコニコしている人は赤い軍服を着ています。蜂蜜色の癖のある髪の毛に茶色の瞳で猫のような印象があります。そして十字の騎士さんは黒い軍服を着ています。ダークブラウンの短髪に金色の瞳。まるで野生の虎のような雰囲気がありました。愛想笑いでもあれば雰囲気も柔らかくなりそうなのに……正直、怖いです。


「入学おめでとう。ヴォルティス・シェライザーだね。私は教官のアルファ・イージスだ。この赤い軍服は二年生担当の証だから覚えておいて。君は一年だから灰色の軍服になる。これが軍服ね。」


アルファ教官から軍服を受け取ったヴォルは左腕を後ろに、右手で心臓を叩いて胸の中央で拳を握った。これはこの国の敬礼の仕方なのです。


「……俺は三年生を受け持つグルシオ・ハウゼンだ。黒い軍服は三年の証だ。……お前は魔獣と寮で生活する申請をしてたな。大きさと危険度によっては魔獣舎で預かることになっている。お前のパートナーはどこだ?」


「グルシオ教官、ルルシスの腕の中にいるのがヴォルティスくんのパートナーです。」


「ユーグ、お前らまだいたのか。」


「珍しいですね、自分達以外に興味も示さなかったのに。ヴォルティス・シェライザーの事を気に入りましたか。」


「気に入ったというより、俺達の仲間だ。彼は面白いからね。自由同盟の会員だよ。」


アレクシスさんが艶やかに教官達に言いました。そんなアレクシスさんの様子に教官達は驚いていました。


『きゅう?』


そんなに驚くことがあるのでしょうか?


私がルルシスさんの腕の中で首を傾げていると、グルシオ教官とアルファ教官がバッと振り返り、私を凝視してきました。


「こ、これがヴォルティス・シェライザーのパートナーですか?」


「こいつの種族は何だ?ニーニか?ウォフか?」


どうやら私の存在に気がついたらしいです。ですが、やはり珍種の私の存在は見たことがないようで、ヴォルがルルシスさんから抱き取って教官達の所へ連れていかれました。


ソッと机の上に下ろされた私は二人の視線に晒されて緊張していました。でも、どんなに怖くても目だけは反らしません。ここで臆病になったら一生臆病者のレッテルを貼られてしまう気がしたからです。いわば、試練ですよ。


そんな私の思惑とは裏腹に、大きいウルウ石色の瞳で見上げてくる小さな魔獣に二人の教官は狼狽えていた。いや、今まで見たことのない可愛さに身悶えていたのだった。


「ね?可愛いでしょう?この俺でさえ虜になったんだ。」


「この歩くフェロモンがイチコロだから相当だぜ?」


アレクシスさんとドルガーさんが教官達に話しかけるが、教官達は一向に反応を見せなかった。


『きゅう?』


私は固まってしまった二人を不思議に思って、取り合えずグルシオ教官の右手をペロッと舐めてみた。


「う、あ、か、か、……」


「何だこの可愛い生き物は~!!」


『きゅ~~!!?』


ガバッと抱き締められ、頬擦りされた私は驚きのあまり叫んでしまった。因みに犯人はアルファ教官でした。教官もモフモフの魔力にとり憑かれた萌え族なのですね。


「アア~~!グルシオ、グルシオ!!このちっこいの見ろよ!こんな愛くるしい魔獣は見たことない。なのに強い魔力もあるみたいだし、知性も感じる。ナニコレ、反則だろ!?」


『きゅぅぅぅぅう!!』


く、くるしぃぃぃい!!


我慢できなくて、つい狐火をアルファ教官の顔に吐き出してしまった。


「あっ!?」


「アルファ!?」


驚いて私を抱いていた手を話してしまったアルファ教官は顔面を両手で押さえた。


「教官!!」


ヴォルが焦ってアルファ教官に駆け寄りました。しかし、教官は呆然としながら両手を顔から離したのです。火傷も何も負っていません。


「あ、熱くない……それどころか昨日徹夜したから目の痛みが取れてる……まさか、回復魔法??」


「確かに火傷してねぇな。顔色が良くなってる……本当に回復魔法を使ったのか。驚かせるなよ。」


どうやら私が使った魔法を理解していただけたようで良かったです。


まさかこれから世話になる教官を傷つける訳がないじゃないですか!攻撃魔法は未熟だから使えないし、少しなら回復魔法が使えるから脅し用として使ってみました。見た目は炎だから脅しとしては十分でしょう。


「申し訳ありません。今までは炎を人に向けたことが無かったのですが……」


「いえ、私が驚かせてしまったのです。自業自得でした。やはり小さく可愛い成りでも魔獣でしたね。驚かせてごめんね。」


『きゅ!』


私こそ急に狐火を向けてごめんなさい。


「あ~……早速だがこいつの種族は?」


「はい。名前はウルウ。種族は親がフィニック種らしいのですが、種族はヨウコという新種か亜種です。性格は温厚と臆病です。まだ子供ですが魔力も相当あります。知性も高いのでこちらの言ってることは理解しているようです。」


「フィニック種の亜種か新種ですか。まあ、この大人しさと賢さを見れば害はないと判断してもいいでしょう。」


「……まだガキだからパートナーから引き離すのも酷って話だな。よし、寮内での飼育を許可する。だが、躾と世話を怠るんじゃないぞ。もし、事件でも起こしたなら両方に厳罰が下ると思え。」


「はい。」


『きゅ!』


わ、私は良い子にしてるよ!げ、厳罰って怖いこと言わないでほしいです。……なるべく大人しくしておこうと思う。



こうして私達は学生寮に生活することになったのでした。




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