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AGAIN…  作者: 昆布もぐもぐ
AGAIN…/第一章
9/21

どんな理念や形態をしているのかは


久しぶりの本編投稿です。

2.26事件も中盤に差し掛かりました。

……ちょっと季節はずれのような気がしないでもないんですが。





『……はよ』



「おはよ……?」

ぼーっとする視界の中で、鬼灯っぽい人が私を覗き込む。

『正確にはこんにちは』

「こんにちわ……?」

『今、27日午後3時』

「ふぇ……」

『日本酒飲んでぶっ倒れたの覚えてるか』

「おおおお覚えてる……!」

勢いよく起き上がると、ぐらっと眩暈がして布団に倒れこんだ。

『さっき長門が来ていた。16時には着くそうだ』

時計を見る。午後3時3分。

「あと一時間しかないじゃん……」

『そうだな。そして知っているだろうが天皇が怒っている』

「馬を出せーってやつ……?」

鬼灯はため息をついた。

『まぁ、そんな雰囲気ではあるが』

「みゃう」

猫ちゃんが布団から顔を出した。なんだか眠そう。

「名前、決めてなかったね。ね、鬼灯」

鬼灯は一瞬厳しい顔をして、

『…………ああ、そうだな』

ふと表情を緩めた。

よく見ると白猫ちゃんは赤い首輪をつけていた。

「赤……。うーん……。(べに)とかどう?」

『……いいんじゃないか』

鬼灯は猫の背を撫でた。それがなんだか愛おしそうで、鬼灯はこんな顔もするんだなぁと意外に思ってい――

「そこを開けてくれ」

「できません」

扉の向こうで争う声。

「女性がお休みになっている部屋に入るなど許されないことです」

「そういう問題ではないのだ」

『おい、野中(のなか)四郎(しろう)の声だ』

鬼灯は私を布団から引きずり出した。

うっ……。まだ頭が……。

「野中四郎って、最初に拳銃自殺した人?」

『そうだ』

「会いたくないんだけど」

鬼灯は無言で立ち上がると、がらりと音を立てて扉を開いた。

「ちょっ、まっ、鬼灯!?」

「貴殿がその、海軍が東京湾に来ると予測した娘か?」

軍服をきっちりと着込んだ30歳前後の男性。ああ、なんとなくいけめんだ。

「…………かいぐん?」

いきなり耳に飛び込んできた言葉を重複して言う。

野中さんはぎゅうっと眉を寄せ、

「海軍第一艦隊。長門以下40数隻が集結するそうだな」

警戒心丸出しの表情で言った。

私の失言が、まさか決起部隊(ぶっちゃければ反乱軍)のトップに伝わってしまったのか。

つくづく大事になってしまった。

そして野中さんの挙動からするに、どこからその情報を仕入れたのかが知りたいんだろう。

歴史の教科書です☆ミ とか言ったら気狂い扱いされるに決まっている。

どう言い逃れるか……。

「おい?」

「……海軍が、来ているんですか?」

私は出来るだけ驚いたような声音と表情になるよう努めた。

野中さんはぽかん、と口を開いた。が、にわかに顔を険しくして、

「とぼけるな。安藤から聞いている」

……あのバカ大尉! 酒の席でのことを本気に取るなんて。

お酒の勢いでふざけて冗談抜かしてました! とか言ったらどうだろう。

…………………………斬られるかな。私も安藤大尉も。

やっぱり、どこかの誰かがやっていたように、知らぬ存ぜぬで押し切るのが最良かもしれない。

「私は何も知りません」

「そうは思えないが」

しつこいな。そんな感じだと女性に嫌われてしまいますよ。

……女性。そうだ。

私は、女だ。

「お、女ですよ私。そういう軍事? とかには興味もないし、知らないです」

「海軍省の間者とか」

「それならもっと上手に隊に滑り込める男性を使いませんか」

「海軍省の間者の妻で裏で取引してこちらの部隊の幹部の妾に、とか」

「回りくどすぎます」

野中さんはふむ、と頷くと、黒~い笑顔(いけめんだからなんか更に怖い)で言い放った。

「酒の席で勢いで言って覚えていないという訳でいいのか? ん?」

「……すっ、すみません……あの時は本当に夢を見ているみたいで……」

しどろもどろに謝ると、野中さんはぐいっと顔を近づけて(パーソナルスペース考えて!)、

「予知夢と言う訳か。面白い」

「よ、予知夢……?」

もう嫌だ事実を言いたい。こうやって会うたび会うたび人を騙すなんて心が痛い。

「他に見たことはあるか?」

「えっと……あの……それは…………」

『言うな』

鬼灯が壁にもたれ掛かってだるそうに言う。

分かってます。

「……それ以外は、なんとも…………」

野中さんは落胆したような、喜ばしいような、なんとも微妙な表情で言う。

「そう、か。邪魔してすまなかったな」

「いえ…………」

からからと扉が閉まり、また室内は静寂に包まれた。

鬼灯は窓際に座って外を眺めている。

「野中さんも、死ぬんだね」

発した言葉はとても空疎で、壁に跳ね返って消えた。

『ああ。さっきも言ったようにな』

「いつ、亡くなるの」

『あさって』

それは随分急だ。

「29日……、収束する日、かぁ」

殺されたのか自殺なのかは分からない。

でも、きっと、自殺じゃない。自殺の、訳が無い。

根拠は、ほぼないけれど、たしかにそう思った。

私が会ったばかりの野中さんを分析するなんておこがましいのかもしれないけれど。

「ねえ、紅。きみはどう思う?」

丸まっている紅を撫でる。彼女は小さく鳴いた。



あげいんあとがきこーなー!


作者:わーい、ぱちぱちぱちー。

鬼灯:馬鹿者。

作者:えへへ。

鬼灯:えへへじゃないだろう。お前。テストで赤点取るわ面倒事押し付けられるわで大変だったと聞いているぞ。

作者:いやあ、ちょっとお絵描きが好きだと大変だね。

   文化祭でポスター10枚弱描かされたり色鉛筆持ってない? と1日に3回くらい尋ねられたり。

鬼灯:……大変だな。

作者:もう私はポスター描かない。いあ、締切がある絵は描かない。

鬼灯:駄目人間か。

作者:……うん……そうかも。

   今日もテストがあったんだけど、科学の問題用紙に「風立ちぬ」主題歌の「ひこうき雲」っていう歌のイメージ絵を描いて15分使ったりしてた。

鬼灯:馬鹿か貴様は。

   しかもそれは……、零じゃないか。

作者:そう。零式艦上戦闘機21型の零ちゃんです。

   後ろ姿……。

鬼灯:ああ、なるほど。

   あの部分だな。

作者:分かる? 分かる? 「風に憧れて 空をかけてゆく あの子の命はひこうき雲」ってとこなの!

鬼灯:……ああ、まあ、分かる。

作者:ああああありがとう!

   零ちゃんはブログに上げるかも! しれません!

   次回もすぐにアップできると思います! 頑張る! ではまた。

鬼灯:強引な終わらせ方だな。



 


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