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AGAIN…  作者: 昆布もぐもぐ
AGAIN…/第一章
13/21

あの時私を助けてくれたあなたに、


前回の投稿から軽く一か月は過ぎていると思います。ごめんなさい。


あ、やばい、これあかんやつやん。

わたしの脳内で警鐘が鳴り始めた。

ただもう、言ったことは取り消せないし、もうしょうがないか☆って感じはするんですが。

「みゃうぅぅ~……」

紅が唸り声をあげる。

そんなに睨まなくてもいいじゃないですか。

わたしは両手に手錠をかけられ、お縄になりましたとさ。

「っえええええええええええええええええええええええええっ!?」

こ、殺される!

『ほらな。馬鹿なこと言うから』

小馬鹿にしたような声とともに、鬼灯の姿がぼんやり浮かび上がった。

「あー……助けてくれま……せんよねー」

だってすごくすごく眉間に皺寄ってるんだもの。怖くて半径十メートル以内には近づきたくないくらいですよ、鬼灯さん。

なんだか家が恋しくなってきた。

『当たり前だ。……俺はやることがあるから』

鬼灯はそう言うとくるりと身を翻す。途端に姿が消えてしまった。


これからどこへ連れていかれるのかは分かっている。多分あそこだ。拘置所? 留置場? いやそんなのどっちでもいい、とりあえずとにかく死刑囚とかがいっぱいいるところ。

それで、わたしは満足な裁判も受けさせられずに、天皇を侮辱したとかなんとかで銃殺刑。グロいエグいです。

この時代、天皇様は神様です的な感覚なんだよね、やっぱり恐ろしいわ……。

拘置所か何かに連れてこられて、手錠をされたまま投獄されました。

「陛下を侮辱した罪、身を以て購え」とかなんとか強面のおじさんが言うもんだから怖くて怖くてしょうがないです。



収容されてから数時間たったころだろうか、廊下の向こう側からコツコツと足音がした。

誰だろうと首を傾げていると、

「ああ……、やっぱりそうか……」

どこかで聞いたことがあるようなないような、いややっぱり聞いたことはない声が聞こえた。どちらさまでしょうと言いたかったが、たぶん口を開くことは許されていないと思うので黙っておく。

すると、格子の向こうのひとが、深く頭を下げる姿がちらりと視界に入った。

「佐和千早さん。……六年前はお世話になりました」

何で私の名前を知ってるのでしょう? それに、六年前とはどういうことでしょうか?

ぱっと上を見上げると、

「あ……えっと……、」

髪は長く伸ばされ、横で一つ結びにされてはいるものの、穏やかな、女性のような顔つきの男性がいた。

凄く若く見えるんだけど、物腰からして多分三十は過ぎてるんじゃないかな。

「相馬です。相馬葵」

深々とお辞儀をされて、やっと、思い出した。

「あ……、あの、相馬さん……、ですか……」

「ええ。その節はお世話になりました。……さて今度は、私が貴女を救う番です……と言いたいところですが、それは無理です」

無理なんですか。落胆の色を隠せずにいると、相馬さんは声を潜めた。

「ただ、皇后さまが陸海軍のお偉方に貴女を紹介されています」

陸軍と海軍の偉い人……? 誰だろう。

首を傾げると、相馬さんはくすりと笑った。

「面白い人だとお聞きしています。今彼らが説得に当たっています」

「はあ……」

「それにしても、陛下を人殺し呼ばわりする方なんて前代未聞ですよ。やらかしてくれましたね」

あながち間違いじゃないと思うんだけどなあ、なんて心の中で思いつつも苦笑いでやり過ごす。

「釈放された後は、(めぐる)の家へ。お待ちしています」

「は、はあ……」

(岩崎さんのお家ってどこなんだろう。それよりわたし助かるのか⁉)

相馬さんはまた深々と礼をして去って行った。

しんとした独房の中、床に座り込んで天井を見上げる。鬼灯は壁に寄りかかって苦笑いを浮かべている。

ちりん、と音がした。そちらを見ると、格子の前に紅が座っていた。いつもこの子はわたしの傍にいるなあ、と笑みをこぼす。

鬼灯は壁から身体を離してわたしを見た。

『由依のところへ行ってくる。後は頼んだ』

格子の前でちりん、と紅の鈴が鳴ると同時に、鬼灯の姿は視界から消えていた。

「みゃう」

小さく、廊下に鳴き声が響いた。

「紅ちゃん……ごめんね」

するりと格子を抜けて入ってきた紅を撫でる。

「迷惑かけっぱなしだねぇ……」

翌日殺されるというのに、何の実感もわかなかった。

鬼灯が何とかしてくれる――、そんな、淡い期待など抱いてはいけないのに。

「自力で、なんとかしなきゃいけない」

口に出してみると、なんとなく、力が湧いてくる気がした。

だいじょうぶだ。

「だいじょうぶだよ。わたしは。絶対に」

小さく、小さく呟く。

「みゃう」

紅はわたしにほおずりすると目を閉じた。ちりちりと鈴が鳴る音に、わたしも目を細める。

とたんに視界が揺らぎ、眠りへ落ちていった。




* *  *




「起きろ」

「ふぇっ⁉」

聞き覚えのない厳しい声が上から降ってくる。

目を開けたけれど視界は真っ暗なままだ。なんだろう。

手で目の辺りを触ろうとしたけれど、じゃりじゃりと重苦しい金属音が響いて、それもかなわないのだと思い知らされた。

「執行は十時だ。何か言い残すことはないか」

執行。執行って……死刑か⁉

鬼灯の馬鹿。いや、わたしの馬鹿。

けれど、言い残すことだとか言われてもいまだに実感がわかない。

「……とくには」

平然と答えると、話しかけてきた人が小さく息をのみ、やはり……と呟くのが聞こえた。

「あの、すみません」

「なんだ」

「銃殺刑なんですか」

わたしは。

「なぜそんなことを聞く」

多少なりとも動揺を含んだ声。それが狙いですから。

「なんとなく。痛いのかと思いまして」

「……ああ、そうだ」

「そうですか。他の死刑の方もそうなんですか」

ごくりと喉が鳴った。

酷な質問だとは思うけれど、わたしが生き残るためだ。

自己中だとか言われようがしょうがない。

「そうだ」

「苦しみながら死んでいったんですね。皆さん」

「……っ」

まあ、死刑囚だから当然と言えば当然なのだが、目の前にいる人は言葉を失ったようだった。

あともうひと押し。

「生き残ることがないように、複数人で銃殺ですか。殺す側も覚悟がいるでしょうね」

嘲るように、言葉を絞り出す。

きっとこの人は、わたしが天皇に暴言を吐いたから殺されると思っているんだろうし。ささやかな抵抗くらい許してほしい。

「きっと苦しいんでしょうね。心臓とか脳みそとかに風穴を開けられて、血が噴き出て。……でも、しょうがないんですね。天皇様のご機嫌を損ねたわたしですから」

「貴様、何が言いた――」

「時間です」

幾分か硬い声が響いた。

相馬さんだ。

口元にわざと笑みを作ると、わたしは言った。

「どうぞ殺してください。……できるものなら」



あげいんあとがきこーなー

作者:ああ、もう一年が終わるね

鬼灯:そうだな

作者:……そろそろあいつが出てくるよ

鬼灯:そ、そう言えばそうだ……、恐ろしいな

作者:そのあいつとは……? 鬼灯さんどうぞお答えください

鬼灯:人間の屑だな、SS軍医くらいの

作者:ザシャ以上にたちがわるいかもしれないですね

鬼灯:なんにせよ、年内渡航を目指すぞ

作者:頑張ります、ではまた!


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