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AGAIN…  作者: 昆布もぐもぐ
AGAIN…/第一章
12/21

わたしの世界に入ってきて、わたしを変えてくれた。

歴史人物のねつ造があります。

苦手な方はご注意ください。



悪いことを、していたのだろうか。

彼らは、反逆罪なのだろうか。

倒れ伏す大尉を見下ろしながらただ茫然と突っ立っていた。

安藤大尉の意志はまっすぐで――、あまりにも純粋だ。

民衆をひたすら思い、目の前で苦しんでいる人がいたら、放っておけないような、そんな人。

きっと彼は、優しすぎた。

それだけなんだ。

わらわらと集まり、連絡をしたり泣き叫んだりする者。

それをただ見る人外。

さあっと血の気が下りていくような気がした。唇がわななく。

「あんど、……たい…………」

名前を呼ぼうとしたけれど声が掠れ、力が入らなかった。ゆっくりと暗転していく視界の端っこで、鬼灯がまた、辛そうな顔をした。





***




「……ここは」

「目を覚まされましたよ、良子さま」

涼やかな音と、少しひんやりした空気が頬に触れた。

ながこさまと呼ばれた人らしき人物が、向こうから歩いてくる音が聞こえる。

さまをつけて呼ばれるくらいだからきっとえらい人物なのだろう。それよりも先にここはどこで、わたしは何をされるのかが知りたい。

しゃり、というような音が聞こえたような気がした。

「おはようございます、佐和、千早さん。お噂はかねがね」

鈴の成るような声が頭上から聞こえ、そちらに目をやると、ひとり、女性が立っていた。

そばに控えていた女性全員が頭を下げている。これはなんだろう偉い人なんだろうな。

「あの……、あなたは」

「わたくしは、久邇宮第一王女、良子です。今は、香淳皇后と呼ばれていますわ」

香淳皇后。天皇の后。……ちょっと待って。なんなの、ここ、ロイヤルファミリーが住んでる場所なの⁉

わたし殺されたりしないよね⁉

びくびくしながら、とりあえず、口を、きいてみる。

「皇后……さま……」

皇后さまはくすりと笑うと、わたしが寝ているベッドに腰かけた。無遠慮な、とか言ってる場合じゃない。

なんだか今の動き、現代の女子高生から女子大生っぽかったよ⁉

「皇后とか呼ばないでいいわ。あなたのこと知ってるの。……鬼灯から」

「はあ?」

『由依、そんなことを言うんじゃない』

由依と呼ばれた皇后さまはにっこり笑った。

「千早さん、ここで少しゆっくりしていかれたら? あんな痛ましい事件の後だもの、心の休養が必要ですよ」

あんな痛ましい事件……、その言葉で、わたしはベッドから飛び起きた。

「行かなきゃ」

『どこへ行く』

鬼灯が非難がましい口調で言った。

「安藤さんが死んじゃうかもしれないんです」

鬼灯がわたしの前に立った。行く手を阻むように。

『止めろ』

「千早さん、やめて」

『後悔しか生まない選択をさせるほど俺は莫迦ではない。ここにいろ』

最初に、昭和時代に来るっていう、後悔しか生まないかもしれない選択をしたのは、紛れもないわたしだ。

それならいっそ後悔の中に身を投げてみるのも、いいかもしれない。

何よりわたしが良いと思う道を進まなきゃ。

安藤さんを、できるなら助けたい。

「……決めたんです。それがどんな結果を生むことになっても、わたしはわたしが良いと思った道を進むんだって。それで、この世界に、何もかも捨てて来たんです」

鬼灯は屈みこむと、わたしの耳元で囁いた。

『それがお前の選択なら、俺は何とも言わない。好きにやれ』

「ありがとう鬼灯」

「……にゃう」

「紅ちゃん! 一緒に来ちゃだめだよ」

紅がわたしを見上げていた。可愛い。けど、今からはもう一緒に連れていけない。だからやんわり引き離そうと思ったんだけど、なかなか離れてくれない。

「みゃぅ」

名残惜しそうな目で見られたら……、置いていけないです。

しぶしぶ溜息をついて、紅を抱き上げた。

「……危ないって思ったらすぐに逃がすから」

「にゃっ」

『……ハァ』

鬼灯が盛大なため息をついた。

「お上に申しあげてきますわ」

そっとわたしに手を添えたあと、皇后さまが走り出した。――と思ったら転んだ。

ドジっ子なんだろうか。

「ここは、吹上大御所ですわ。ここから少し行ったところに、お上の御所がございます」

丁寧に説明してくれる。

「一緒に行きましょうか」

にこりと微笑まれ、思わず頭を深く下げた。

「ありがとう、ございます」

「それと、……これから入用になるでしょうから……、ほんの、好意ですわ」

そう言いながら、皇后さまはわたしに大きなバッグを持たせた。

「中身は、泊まるところが見つかってから、お開けください」

「何から何まで……本当に、感謝します」

そう言いながら、御所を出る。

曇り空の下、雪が舞っていた。

その向こう、豪奢な、とは言わないまでも綺麗なつくりをしている御所が見えた。

「お上に来客だとお伝えくださいませ」

「こ、香淳皇后! 直ちに伝えて参ります」



暫くして、天皇に会えるとの報告があった。しかし皇后付で。

「お上、失礼します」

「ああ、良宮(ながみや)。どうされました」

「この方、わたくしが最近言っていたでしょう、未来から来た方ですわ」

お二人ともにこやかに話してるけど、未来人ってばれてるの⁉ 

そしてこの天皇、皇后さまが未来人って知ってて結婚したの? そうだとしたらとんでもない夫婦ですよ。

「未来からか、面白いことを言いますね。で、お名前は」

「佐和千早さんです」

「はじめ、まして……」

流されないように、しないと。

わたしは、安藤さんたちの処分を、少しでも軽くしてもらうために、ここに来たんだから。

「なんの、お話かな」

「2.26……いや、昭和維新かな、そのお話です」

ぴしりと天皇陛下の顔つきが固まった。

その気迫は恐ろしいくらいで、やっぱりロイヤルファミリーの威光、半端ないです。

帰りたいなーとぼんやり頭で思いつつも、

「首謀者、首魁と呼ばれる方々を、どうされるおつもりですか」

天皇陛下は皇后さまの顔をご覧になった。皇后さまはにっこり笑った。

「銃殺刑に処する。これは決定であり、覆すことはできない」

「……せめて、殺さない方法は……、選択できないんですか」

天皇陛下は首を振った。それは固い意志の表れのようで。

「できない」

「どうして……!」

「決定は覆らない」

天皇の言葉の重みは、ここに、色濃く表れているように、感じた。

人を殺したのは、そりゃあ悪だ。大臣とか、陸軍の偉い人とか、総理大臣まで殺そうとしたんだから、それは、悪だと言われれば否定はできない。

だけどこの人たちを殺したら……、もっと、もっと悲惨な結果を巻き起こすのに。それを知らないから。

知らないからこそ罪を平気で犯せる、なんて……。

「あなたは……、人殺しです」

びしりと空気が固まった、でもそのことにわたしは気づけなかった。

「彼らはきっとあなたを生かしてくれる。国のことを本当に思い、行動したのはどちらか考えれば明瞭でしょう? 今の日本を、あなたは肌で感じたことがないから、そんな風に椅子に座って偉そうにしてられるんですよ。……飢えに苦しむ子供をご存知ですか? ……家族を食べていかせるために、二束三文で売り払われた娘の行く先をご存知ですか? あなたはそんな、日本を背負って立つ子供たちの未来を、奪ってるんですよ……!」

わたしだって、何も知らない子供だった。

この時代が飢えと差別と……それから、のちの日本に根深く残る自虐思想、自嘲壁につながることは、頭では理解していたけれど。心では理解できてなかった。

けれど彼らと共にいて、……話を聞いて、助けたいと思った。

わたしは歴史を歪めちゃいけないけれど。

歪めることは禁忌だと言われたけれど。

でも、……少しでも良くなって欲しいと願うのは、いけないことなんだろうか。

「あなたは何も知らないかもしれない……。わたしも、何も知らなかった。だけど、だからこそ知る必要があるんです。あなたはとんでもない間違いを起こそうとしているんです。彼らを殺すことによって……! 人殺しです。あなたは……! あなたが、未来ある多くの若者たちからそれを奪い、後々、地べたに這いつくばって許しを請うことになるんです……!」

長い長い、沈黙。

わたしは、泣いていた。横を見れば、皇后さまも、泣いていた。

同じ未来人同士だけれど、言いたいことは分ってくれたのだろうか。

……天皇陛下は、きっと無理だろうな。

「………………佐和、千早と言ったな。この者を牢に入れ、即日、処せ」


あげいんあとがきこーなー


作者:お久しぶりです。

鬼灯:作者、男性艦魂を書こうとしたんだって?

作者:うん。

鬼灯:理由は?

作者:作品に、めったうちにされる女の子って出したくないんですよ。

   うちの艦魂は、霊魂のような設定だから一部の戦艦、空母を覗いて有機物には触れられないしいくら艦が壊れようが、彼女たちがダメージを受けることはありません。

   それに戦って男がやるもんでしょ。

鬼灯:それは一概には言えないけれども、まあ大体男がやるな。

作者:でもうちの作品、主人公女の子で、かなり女の子出てくるんですよ。

鬼灯:そうだな。

作者:男のキャラが追い付かなくてバランスとれないんだよ! 

   泣いていい⁉

鬼灯:すげえ現実的な理由だなオイ!

作者:予定では、あの艦とあの艦の艦魂が、最初は男の子設定でててくる……つもり…………。

鬼灯:つもり?

作者:過激なバッシング受けたら取り下げるから。

鬼灯:バッシングもほどほどに頼む。作者メンタルクッソ弱いから。

作者:うん。よろしくお願いします。

鬼灯:ではまたお会いしましょう。

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