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街宣車ラプソディー  作者: 火村虎太郎
午前零時のシンデレラ
24/24

渋滞。

「ピーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 ------------------------

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 ------------------っ・・・・・」


やっと鳴り止むクラクション。

ハンドルに、もたれ掛かった身体がずり落ちて行く・・・

僅かな意識・・・・・・

負けた・・・・

無残に・・・

・・・・



「・・・・・・・・・・っ・・」突破した者がわずかに口びるをかみ締める



大渋滞で現場に戻る事さえ出来ない

近づけない・・・

鳴り止まぬサイレンの音・・・

集まり続ける野次馬

20台以上の絡む大事故


波乱の一日が終わる・・・

激動すぎた一日が・・・



あの時の事は最初から在りもしない夢だったんじゃないだろうか?

確かに愛した・・・この傷跡がそうだ・・・

やさしく・・微笑んでいた・・

ずっと・・・




七年前の事・・・・

まだ立ち直れない・・・

動けない・・・

くすんだままの視界・・・

失った感情・・・




ここに居た・・・あの時二人で。

夢を語った三年後の・・・





あの時、突破できたのは山本だけ・・・

アクシデントだった・・・

突破できたはずだった・・

運命のイタズラ・・・

目の前を通りすぎようとした車がスピン・・・

こっちが交差点に突っ込んで行く前に事故が起こった。

結局、回りも巻き込み皆殺し・・

僅かな意識の中、かすかに覚えているのは街宣車のマイクの音

男の声で、「愛してるから死ぬな・・・」

ユリア・・・

渋谷から空き地に逃げ込んだ街宣車の中で・・

深く・・・見つめあったまま・・・

やさしく俺の手に爪を立てたお前・・


たった一日の出来事・・・

本当に夢だったんじゃないだろうか?

たった一日で、あんなにも愛したのに・・・



まだここに居る・・聞こえてくる、あの時の言葉


「ずっと待っててあげるから。

 三年後この東京を取るんだ。二人の才能で。」


だけど居ない・・・待っててくれない・・・

最後の目に焼きついてるのは

ぶつかる寸前、沙織が俺の前に飛び出した・・・

もうぶつかると思ったから最善の策を取った・・

俺を生かすため・・・自分の体で俺を守ろうとした・・


沙織は即死だったと後で刑務所の中で聞いた。

最初で最後の負け・・・

俺が助け出された時、沙織の顔は俺と口付けたままだったと・・

キスしたまま・・・・微笑んだままだった・・




うつむいたままで、風だけを感じる海辺のベンチ・・・


「ふわっ・・」


少し嫌に感じてた風が、

やさしく流れる風に変わった様な・・・

何か・・やさしい匂いと共に・・・



「こんにちは。よくお見かけしますね。

 ここ・・・この辺りがお好きなんですか?」

 (言った!話かけた!よしっ。)女


見知らぬ女性に話かけられる


「んっ?」(あっ、俺か。)女に気づいて、そちらを見る




「悲しかったから・・・・・」





生きるために

悲しみを・・詰め込んだから・・・

さぼてんの様に

だからまだ俺は生きてる。まだ止まったまま。

もう動きだしたい・・・・突き抜けたい・・・

この混沌とした、くすんだ景色から・・


きっかけ・・・・

この心の渋滞から抜け出す・・


もう一度狂い咲け・・・俺の華。

この東京で・・・




街宣車ラプソディー  完



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